男性同士の親密な関係を表す用語である「ブロマンス」。BLと一見似ていますが、恋愛感情や性的欲求をともわない特別な関係を描くジャンルとして近年ますます人気を集めています。この記事では、日夜男同士の特別な関係性を研究しているDMMブックス書店員がおすすめのブロマンス作品を22作厳選してご紹介！
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目次
ブロマンスとは？
ブロマンスの定義
ブロマンス（bromance）とは男性同士の非常に親密な絆のことで、恋愛・性愛関係にはならないことが特徴です。英語の兄弟（brother）とロマンス（romance）を掛け合わせた造語で、一般的な友人関係よりも一歩踏み込んだ深い友情、ときには家族愛にも近いような強い結びつきを指して使われることもあります。また、シンプルに友情だけではなく、嫉妬や羨望、執着心をともなう関係であることも多いです。
基本的には恋愛感情や肉体的欲求をともなう関係とは別物なので、BLとは異なる魅力を持ったジャンルとして近年注目を集めています。
ブロマンスが流行したきっかけ
日本でブロマンスが流行り始めたきっかけはいくつかありますが、その一つに挙げられるのは海外のドラマ作品の影響です。例えばホームズを現代風に再解釈したBBC制作の『SHERLOCK（シャーロック）』は、2011年に日本でも放送が開始され大人気となりましたが、お互いのよき理解者であり唯一無二のパートナーであるシャーロックとジョンの関係に注目が集まりました（ジョンの結婚式でのスピーチに涙したという人も多いですよね）。もともとコナン・ドイルの原作でもホームズとワトソンはブロマンス的な関係であると解釈することも可能ですが、このドラマはブロマンスという概念が広がるきっかけなったといえるでしょう。
また、国内のアニメ作品でブロマンス的な関係が描かれたことも大きな転機だったかもしれません。2016年に放送されたフィギュアスケートが題材の『ユーリ!!! on ICE』。そして2018年に放送された吉田秋生原作の『BANANA FISH』など、恋愛・性愛関係とは異なる男性キャラクター同士の強い感情的なつながりを描いた作品が人気を集めました。
しかし、概念としてのブロマンスが流行り始める前から、ブロマンス的な関係を描いたフィクションは数多く発表されてきました。ここからは、男2人の特別な絆に目がないDMMブックス書店員がおすすめのブロマンス漫画を実際にご紹介していきます！
共に成長するバディ！おすすめブロマンス漫画5選
ブロマンスを語る上で、絶対に外せないのがバディです。二人一組で行動を共にし、キャラクター同士がお互いに影響を与えながら成長していく姿は読んでいて胸が熱くなります。まずはそんな作品が好きな方に、ぜひ読んでほしい作品をご紹介します。
千年ダーリン
【あらすじ】
不良青年の束ノ間一平（つかのま・いっぺい）は、ある日、暴走する車から子どもをかばって、轢かれてしまいます。死んだはずの一平ですが、時計屋の店主の美青年・仮初銀色（かりそめ・ぎんいろ）の手によって不死身のサイボーグとして蘇り、古代の兵器怪獣との戦いに立ち向かっていくことに！
【見どころ】
少し狂気的にもみえる態度の銀色に最初は不気味がっていた一平でしたが、自らの身をていして仲間を守る行動をとった銀色をだんだんと信頼するように。バディとしての絆が強まっていく過程に少年漫画的な熱さも味わえます。
【書店員イチオシポイント】
どこか昭和チックな懐かしさを覚える作風、クセのある台詞回し、痛快なバトルアクションと魅力が盛りだくさんですが、なんといっても一平と銀色の運命とも言える関係性がたまりません！
命を投げ出して戦う岩男児×命をかけて修復する枝美男驚異の新人・岩澤美翠のデビュー作。ロマンティック全開！男二人、切っても切れないハート＆イノセント血と肉と鉄で結ばれた束ノ間一平＆仮初銀色のブロマンス・ストーリー。【あらすじ】気がつくとそこは知らない美少年の家だった――。二人は出会ってしまう。あらかじめそう決められていたかのように。死んだはずなのに改造人間として蘇った束ノ間一平が、怪人・怪獣たちと大格闘！古代兵器・千年人機を操るネイロンより放たれる刺客VS愛する街を守るために戦う昭和の人造人間1980年代の千年谷を襲う一大事変。※電子版は5ページの電子限定特典を収録しています。
BANANA FISH（全20巻完結）
1985年、ストリートキッズのボス、アッシュはニューヨークのロウアー・イースト・サイドで、胸を射たれて瀕死の男から薬物サンプルを受け取った。男は「バナナフィッシュに会え…」と言い遺して息を引き取る。ベトナム戦争で出征した際、麻薬にやられて正気を失ったままの兄グリフィンの面倒をみていた彼は、兄が時々つぶやく「バナナフィッシュ」と同じことばを聞き、興味を抱いた。殺された男を追っていたのは暗黒街のボス、ディノ・ゴルツィネ。アッシュは男と最後に接触した者としてディノに疑われる。雑誌の取材でアッシュと出会った、カメラマン助手の英二も巻き込んで事件は思わぬ展開を見せ…。
【あらすじ】
1980年代ニューヨーク。ストリートギャングのリーダーであるアッシュと日本からきた青年の英二は、｢バナナフィッシュ｣という言葉を手がかりに、裏社会の陰謀に巻き込まれていくことに。
【見どころ】
ニューヨークのストリートを生き残るために強さと賢さの両方を兼ね備えているアッシュと、純粋で優しい心を持つ英二。人種や背景などなにもかも違いますが、魂でつながっている二人の関係に心打たれます。
【書店員イチオシポイント】
2018年にアニメ化された本作。長きにわたって愛され続けている、もはや言うことなしの少女漫画界の名作であり、ブロマンス漫画の金字塔です。
さんかく窓の外側は夜（全11巻完結）
書店員の三角は、昔から不気味なモノを視てしまう体質で、除霊師の冷川にその才能を見い出され、無理やりコンビを組まされてしまう。冷川はすご腕ではあるが、情緒や生活能力に欠けており、お茶出しや「空気読み」など三角の出番は多い。そんな中、ある殺人事件に遭遇し…。日常に潜む恐ろしくかつ不思議な現象を見つけてはズバリ解決☆ 凸凹コンビの霊感エンタメ！
【あらすじ】
霊が視えてしまう体質の三角康介（みかど・こうすけ）は、除霊師の冷川理人（ひやかわ・りひと）にその才能を見込まれ、拝み屋（除霊師）の仕事を手伝うことになります。しばらく経ったある日、知り合いの刑事の依頼で、ある殺人事件の捜査に協力することになりますが……。
【見どころ】
ゾッとするような描写もありますが、冷川が三角を「通して」除霊をするシーンに色気が含まれていたり、サディストな冷川に振り回される怖がりな三角がいい中和剤になっていたりと、ホラーが苦手な方でも読みやすい作品です。
【書店員イチオシポイント】
2021年にアニメ化、同年に岡田将生＆志尊淳を主演に映画化もされています。エキセントリックな作品を読みたい方におすすめです。
秘密 -トップ・シークレット-（全12巻完結）
【あらすじ】
死体の脳にある記憶を映像として映し出す「MRIスキャナー」が発明された近未来の日本。その技術を使い解明困難な事件の真相に迫る組織、通称「第九」の室長である薪が新米捜査官の青木とともに数々の事件に立ち向かっていくミステリー作品。
【見どころ】
薪に対して憧れを持つ青木と、過去にある秘密を持ちそのせいからか青木に対して複雑な感情を抱えた薪の、友情や仕事仲間を超えるような関係に目が離せません。
【書店員イチオシポイント】
本作は「第15回文化庁メディア芸術祭」マンガ部門優秀賞受賞。犯罪捜査と人間ドラマが絡み合っており、ミステリー好きの方におすすめします。
LIMBO THE KING（全6巻完結）
多大なる犠牲者を出した眠り病撲滅から8年――。任務中に瀕死の重傷を負い、退役の危機にあったアダムは、軍幹部から特殊任務を伝えられる。それは、なくなったはずの眠り病再発に絡む極秘ミッションで！？ 不屈のNAVY男と伝説の元英雄が記憶を食い荒らす奇病’眠り病’に立ち向かう！！
【あらすじ】
任務中に片足を失うほどの大怪我を負ったアダムは、軍幹部から特殊任務を言い渡されます。それは根絶したはずの｢眠り病｣と呼ばれる奇病から世界を救うための｢コンパニオン｣になれというもの。かつて｢眠り病｣を根絶した英雄であるルネ・ウィンターとバディを組み、患者の脳内に飛び込んで治療を行うSFミステリーアクション開幕！
【見どころ】
陽気でパワフルな元軍人と、クールで無口な元英雄の凸凹っぷりで、”バディもの”の楽しさを大いに堪能することができます。
【書店員イチオシポイント】
独自の世界観と設定が凝らされており、映像を見ているような臨場感があります。海外ドラマがお好きな方に特におすすめです！
唯一無二の特殊な関係！？おすすめブロマンス漫画7選
物語の設定や舞台が特殊であればあるほど、登場人物同士の関係性も特別なものになり、そこには他にはない魅力がありますよね。そんな少しひねりのある関係を読んでみてみたい方におすすめの作品をご紹介いたします。
光が死んだ夏
【あらすじ】
とある田舎の村で小さい頃から一緒に過ごしてきたよしきと光。ある日行方不明になっていた光が1週間後に帰ってきますが、よしきは彼が外見こそ変わらないが確実に｢ナ二カ｣とすり替わっていることに気がついてしまい……。
【見どころ】
よしきと”ヒカル”は今まで通りに過ごそうとしますが、これまでの日常は続くはずもなく、彼らの周りで次々と起こる不気味で不可解な出来事に引き込まれます。
【書店員イチオシポイント】
「このマンガがすごい！2023」にてオトコ編1位！ 2025年夏にはTVアニメが放送予定です。光ではないとわかっていながらも、いないよりはいいと怪異を受け入れてしまうよしき。一緒にいたいと思う二人の恐ろしくも切ない怪作です。
あれよ星屑
【あらすじ】
敗戦後、焼け野原の東京で雑炊屋を営む川島徳太郎。酒に溺れる毎日を過ごしていたある日、軍隊時代の部下である黒田門松に再会します。一文無しで故郷に帰る気のない黒田は、そのまま川島のもとに住み着き行動を共にするように。
【見どころ】
戦中の記憶に苦しむ川島と黒田を軸に、戦後を生き抜く人々の力強くエネルギッシュな姿が鮮やかに表現されています。
【書店員イチオシポイント】
本作は「第48回日本漫画家協会賞」コミック部門大賞受賞と、「第23回手塚治虫文化賞 」で新生賞を受賞しました。戦争という重いテーマをコミカルに描いており、戦後のリアルな様子を感じられる傑作です。
新月の虎（全3巻完結）
捨てられた太子×独りぼっちの妖虎出会うはずのない二人が出会う─。中華仙侠風ブロマンス！大陸を六つの国に分けたうちの一つ、「臨国」の太子・孟雀。愛する国と偉大な父王のために少しでも役に立ちたいと思っているが、政策も意見も受け入れられることなく、父王の関心は弟ばかりでやるせない日々を送っていた。ある日、父王の名代で隣国へ赴くことになった孟雀は、父王に頼られた嬉しさから意気揚々と出かけるが道中様子がおかしく──？しがらみだらけの太子と、虎の妖に憑かれた男が 幸せを求めて闘う中華仙侠風ブロマンス！【目次】第1回 危難の森第2回 謎の青年第3回 虎のカミサマ第4回 二人で帰ろう
【あらすじ】
父である王の命令によって、他国への同盟を結ぶ使者として選ばれた太子・孟雀（もうじゃく）。他国へ向かう途中、父の裏切りにより部下に殺されそうになっていたところ、野生の虎に遭遇します。部下から突き飛ばされ、絶体絶命のピンチになりますが、草むらから飛び出した男・ユトに命を救われ……。
【見どころ】
しがらみだらけだった孟雀は、ユト本人やその自由な生き方に惹かれていきますが、ユトもまたある過去を抱えて一人で生きてきました。隙間を埋め合うように互いが大事な存在へとなっていく関係性に注目です。
【書店員イチオシポイント】
見た目は大人のユトですが、5歳から一人で生きてきたためか表情や言動が当時のままで、そのギャップがかわいらしいです。
シェアーズ
優しさで〈心〉がつつまれる男2人のハッピーエンド・ストーリー。人に触れることで記憶や思考を共有できる特殊能力者の見崎ユージンは、小説家の小鹿野尋輝から人に触れられることが苦手になった原因と思われる「過去の記憶」を探ってほしいと依頼される…。『ストレンジ』作者が描く、特別で最高の関係性ーー。
【あらすじ】
触れた相手の思考や記憶の情報共有を脳内で行うことができる「コネクタ」という能力を持つユージン。ある日、小説家・小鹿野尋輝（おがの・ひろき）から、｢俺の記憶を探ってほしい｣と依頼されます。いつからか人に触れられることが苦手になってしまった小鹿野。ユージンはその原因を探します。
【見どころ】
心を開いた相手ではないとノイズが起こり記憶が視えにくくなるユージンと、人に触れられることが苦手な小鹿野の相性は最悪。しかし、ユージンの元に足繁く通ううちに、次第に心を開いていく二人のやりとりに心が温かくなります。
【書店員イチオシポイント】
拒絶されながらも関係を築き上げていく様が美しく、誰かに寄り添うということが丁寧に描かれています。オムニバス形式となっており、2巻で登場する会話の苦手なおじさんと、人間不信の高校生の物語も優しさで胸がいっぱいになります。
流転のテルマ（全4巻完結）
「助けてくれ」とメールを残し行方不明となった兄を捜しに、大学生の徳丸は西チベットに旅立つ。ガイドのソナム、キッチンボーイのナムギャルと、標高3000メートル越えの大地をひたすら歩く男3人旅が始まった！
【あらすじ】
｢助けてくれ｣とのメールを最後に行方不明となった兄を探すため、西チベットへ行くことになった大学生・徳田徳丸。トレッキングガイドのソナム、食事係のナムギャルと共に西チベットの奥地、ヌン谷に向かう険しい旅に挑むことになります。
【見どころ】
遊牧民出身で元僧の過去を持つソナムと、チベットのことを何も知らない徳丸。価値観や立場が違う二人が、ぶつかり合いながらも理解していく物語に引き込まれます。
【書店員イチオシポイント】
二人の関係を軸にチベットの文化がふんだんに取り込まれており、丁寧に解説されていますので、異文化に触れてみたいという方にもおすすめです。
AandD
【1400万PV突破！！2021年 最も注目されている＜天使と悪魔のブロマンス＞が遂にコミックス化！】「なぁ、今日は泊めてくれよ。」天使のハニエルと悪魔のサタナキア、彼らはこっそり仲良し。ハニエルの家で一緒にドラマを観たり、パンケーキを焼いたり、時には共に家事をしたり… まったりとしつつも、急に血みどろ展開な毎日。 天界でも魔界でも変わり者扱いなコンビを描くダーク・コメディ。
【あらすじ】
ある日ケガをして動けなくなっていた悪魔のサタナキアは、偶然通りがかった天使のハニエルにケガを直してもらったことがきっかけで、ハニエルに懐きます。天使と悪魔、相いれない存在であるはずの2人が友情を育んでいく物語です。
【見どころ】
「とにかくハニエルの家に泊まって一緒に過ごしたい！」というサタナキアのアピールがとてもかわいらしい！ ハニエルもサタナキアを大切に思っており、ドタバタな2人の日常にはほっこり癒されます。しかし、天使と悪魔という立場上、天使ハニエルは「堕天」して悪魔になることを疑われていたりと、シリアスな要素もあります。
【書店員イチオシポイント】
天使と悪魔のブロマンスという設定が非常にロマンチックな本作。登場する天使や悪魔はみんなチャーミングで、コミカルなシーンも多いですが、天使と悪魔の対立関係がシビアに描写されることも。異なる身分や立場を乗り越えた特別な絆を描いた作品が好きな方には、刺さること間違いなしです！
奈落の星
【この執着は、文学にか――それともお前の才能にか。】この時、真ッ黒な墨を選んだのが、私の長い長い奈落の始まりでした。’時は大正。小説家を志すも筆を折った烏丸すばるは、借金取りから追われる人生に嫌気がさし、練炭自殺を為そうと隣家に火鉢を借りに行く。しかし、隣家はまさに若き小説家たちによる同人誌の締め切り前の執筆の渦中。主催者は若手作家の星・柳楽幻歩。この、見目麗しく才能に満ち満ちた悪魔のような男に見つかったところから、すばるの奈落への道がひらけていく……。「烏丸…自分、物書きやろ。書け。――ペンで僕を殺してみろ」※デジタル版限定特典:描き下ろしページ1P収録（C）2025 Yuu Toyota
【あらすじ】
小説家になろうと大学を中退するも書いたものが全く売れず、人生に絶望していた主人公・烏丸すばる。自殺をするために火鉢を借りに行った隣家で、若手の売れっ子作家・柳楽幻歩と偶然出会います。幻歩に促され再びすばるは執筆を始めますが、2人はお互いに対して屈折した感情を抱いているようで……？
【見どころ】
大正時代が舞台の文豪ブロマンスです。序盤は人生のどん底にいるすばるが、若手作家の星である幻歩にコンプレックスを感じていることが描写されます。しかし、読み進めていくと幻歩もすばるに対して複雑な感情を抱いていることがわかります。愛憎が表裏一体となっているような2人の関係に注目です。
【書店員イチオシポイント】
「チェリまほ」こと『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』で知られる豊田悠の作品です。2025年1月に1巻が発売されたばかりなので、今後の展開から目が離せません。才能や嫉妬をめぐるブロマンスが好きな方には特におすすめです！
創作においての相方 おすすめブロマンス漫画4選
一つの目標に向かって互いの心の支えであったり、時にぶつかり合うライバルとして立ちはだかる二人をみていると応援したくなりますよね。ここでは演劇や漫画などの創作において共闘する相方との絆を描いた作品をご紹介いたします。
ダブル
【あらすじ】
卓越した演技力を持ちながらも、いまだに無名の役者・宝田多家良（たからだ・たから）と、その才能に焦がれ彼を支える役者仲間の鴨島友仁（かもしま・ゆうじん）。少しずつ多家良の存在が見つかり、無名の役者二人の物語が動き始めます。
【見どころ】
自身も「世界一の役者になりたい」という夢がありながら、多家良のサポートに徹する友仁。そんな彼を敬いながら甘える多家良でしたが、次第に世間の目を浴び、二人の関係性や多家良自身もまた変化を迫られるようになり……。
【書店員イチオシポイント】
「新井煮干し子｣名義で長くBLコミックを手がけてきた野田彩子のブロマンス作品です。本作は「第23回文化庁メディア芸術祭」マンガ部門優秀賞を受賞しています。二人の関係はもちろん、天才・多家良のぞくりとさせられるような表情や仕草といった画に引き込まれます。
漫身創痍（全3巻完結）
【あらすじ】
なかなか売れずくすぶっていた漫画家・西風時生（ならい・ときお）は、消えた天才漫画家・星衛明日馬（ほしえ・あすま）と出会い、這い上がるためにタッグを組むことに。一度底を見た二人の漫画家が、成り上がるために「まんが道」を走り出します。
【見どころ】
理論タイプで人付き合いのうまい西風と、孤立している天才の明日馬。｢漫画は作者／読者のもの｣と、対照的すぎる漫画へのスタンスにハラハラしながらもアツさを感じます。
【書店員イチオシポイント】
漫画に人生をかけているからこそ、感情をあらわにしながらバチバチにぶつかり合う二人の熱量がすごく、読み応えのある作品です。
いつか死ぬなら絵を売ってから
【あらすじ】
清掃員のバイトを行いながらスケッチブックに絵を描き続ける主人公・霧生一希（きりゅう・かずき）は、ある日、美術が好きな青年・嵐山透（あらしやま・とおる）に絵を買わせてほしいと頼まれます。この奇妙な出会いをきっかけに手を組むことになった二人は｢絵で大金を稼ぐ｣ことを目標に、物語が転がり始めます。
【見どころ】
価値のある作品を生み出すため、お互いにあまり知らないまま協力関係を結んだ二人。関わっていくうちにどういった変化が訪れるのかに一見の価値ありです。
【書店員イチオシポイント】
アートの価値はどのように決まるか、どのように流通していくのかなど、あまり知られていない裏側が細かく描かれているのも見どころです。
さよならソルシエ（全2巻完結）
19世紀末、パリ。のちの天才画家ゴッホを兄に持つ、天才画商テオドルスの、知られざる奇跡の軌跡。生前、1枚しか売れなかったゴッホが、なぜ現代では炎の画家として世界的に有名になったのか…。その陰には実の弟・テオの奇抜な策略と野望があった！ 兄弟の絆、確執、そして宿命の伝記！
【あらすじ】
舞台は19世紀末のフランス。パリにて再会した、画商のテオドルス・ファン・ゴッホと、画家の兄フィンセント・ファン・ゴッホ。彼らを取り巻く｢芸術は上流階級のためのもの｣とする旧体制を打ち砕くべく、｢人々のありのままの日常を描いた作品｣を世に出すためにテオドルスは動き始めます。
【見どころ】
自らも画家になりたかったテオの、兄に対する愛憎入り交じった切なくも美しい兄弟愛がなんとも言えない魅力を放ちます。
【書店員イチオシポイント】
本作は「このマンガがすごい！2014」オンナ編1位を受賞。私たちが知っているゴッホは実は弟によって創られたものだったという、ゴッホを弟の視点から解釈した驚愕の物語です。
切っても切れない腐れ縁 おすすめブロマンス漫画3選
あまりいいイメージで使われることが少ない腐れ縁という言葉ですが、離れられないほど強く結びついた関係って素敵だと思いませんか？ ここでは心を開いた信頼関係にあるからこそのポジティブな意味にある腐れ縁の関係を描いた作品をご紹介いたします。
セトウツミ（全8巻完結）
【あらすじ】
サッカー部を辞めて時間を持て余している瀬戸と、学校から塾の時間まで時間を潰したい内海。河原で偶然出会った男子高生二人による、シュールなギャグ満載の会話劇です。
【見どころ】
関西の高校生二人が学校帰りにのんびりダラダラと話すだけ。シンプルながらも漫才のようなボケとツッコミ、独特な会話内容、掛け合いがとにかくおもしろいです。
【書店員イチオシポイント】
2016年に池松壮亮と菅田将暉のW主演で映画化されています。たわいない日常を描いた本作ですが、その中に隠された伏線の数々、心に残るような終盤の展開は必見！ もう一度読み返したくなる作品です。
まほろ駅前多田便利軒（全4巻完結）
東京の南西の大きな街、まほろ市。まほろ駅前で便利屋を営む多田は、ある日仕事先の近くで、高校の同級生・行天と再会する。高校時代は言葉も交わしていなかった二人だが、行天は多田の事務所兼自宅に転がり込むことに。便利屋には、庭の掃除や子どもの送り迎えなど、「普通」の依頼が舞い込むが、二人が関わると一筋縄では行かない方向へ…？
【あらすじ】
｢まほろ市｣で便利屋を営む多田は、仕事に向かった先の近くで、学生時代のクラスメイトだった行天（ぎょうてん）と再会します。一晩だけ泊めるはずの多田でしたが、気がついたら行天に居座られており、そのまま流されるように二人で便利屋をすることに。
【見どころ】
暗い過去を持ち、どこか疲れたような人物像として描かれている多田と、心に闇を抱えている行天。単純なビジネスパートナーや友情という言葉で表せられないような絆が深く印象に残ります。
【書店員イチオシポイント】
三浦しをんによる同名の原作は直木賞を受賞。便利屋の二人が依頼を通してさまざまな悩みを持つ人々と関わり、自らの悩みにも向き合っていく、切ないながら人肌の温かみを感じるようなヒューマンドラマです。
ACCA13区監察課（全6巻完結）
13区に分かれた世界にある、巨大統一組織ACCA（アッカ）。ACCA本部の監察課副課長ジーン・オータスは「もらいタバコのジーン」の異名を持つ、組織きっての食えない男。そんなジーンに起こる異変、謎の影…。世界の陰謀が、ジーンを絡め取ろうと動き出す――！！ 属さず従い、あくまで洒脱に…オノ・ナツメが描く、組織に生きる男たちの‘粋’様（いきざま）。
【あらすじ】
13の自治区からなるドーワー王国にある、警察、消防、医療機関などを傘下に置く統一組織「ACCA（アッカ）」。「もらいタバコのジーン」の異名を持つ、監察課副課長の主人公・ジーンは、13区を視察しつつ不正がないか見回っていました。平和であったはずの王国に潜む陰謀、クーデターの噂、知らず知らずのうちにジーンはそれらに巻き込まれていき……。
【見どころ】
内容もさることながら、主人公のジーンを含め、魅力的なキャラクターが多く、特にジーンとは高校時代より15年来の付き合いとなる悪友・ニーノとの関係が見どころです。
【書店員イチオシポイント】
2017年にアニメ化されています。謎や伏線が絡み合いながら話が進み、それらが丁寧に回収されていく後半の展開に、ページをめくる手が止まらなくなること間違いなしです！
世代（年齢）を超えた絆 おすすめブロマンス漫画3選
年齢の垣根を超え、深い絆や信頼を築くことは普通はそう簡単にできるものではないと思う反面、そんな関係に憧れを抱くこともあるのではないでしょうか。ここでは世代を超えた絆が光る作品をご紹介いたします。
カラオケ行こ！
【あらすじ】
合唱部部長の岡聡実はヤクザの成田狂児に目をつけられ、ひょんなことから毎週カラオケで歌のレッスン講師をすることになります。最初は嫌々ながらに引き受けていましたが回を重ねるごとに友情が芽生え……！？
【見どころ】
明らかにヤクザな狂児を警戒しながらも、ズバズバとものを言う聡美。気が抜けるような狂児の言葉遣いにも思わず笑いを誘われます。
【書店員イチオシポイント】
2024年に齋藤潤と綾野剛のW主演で映画化されたのも記憶に新しい本作。2025年7月にはアニメ化も決定しているホットな作品です。異色な組み合わせに漂う穏やかな空気感が魅力で、後日譚にあたる『ファミレス行こ。』も連載中です。『ファミレス行こ。』は「このマンガがすごい！2025」オンナ編6位にランクインしました！
合唱部部長の聡実はヤクザの狂児にからまれて歌のレッスンを頼まれる。彼は、絶対に歌がうまくなりたい狂児に毎週拉致されて嫌々ながら歌唱指導を行うが、やがてふたりの間には奇妙な友情が芽生えてきて……？話題の作品が描き下ろしを加えて待望のコミックス化！！［ 登場キャラクター紹介 ］〇岡 聡実:森丘中学校合唱部の部長。とある悩みを抱えているのだが、なぜか狂児に歌を教えることに。真面目だが毒舌な中学3年生。【得意な歌】教えません。〇成田狂児:四代目祭林組若頭補佐。組長が主催するカラオケ大会の罰ゲームを回避するために歌がうまくなりたい39歳。【得意な歌】紅〇組長:狂児の組の組長。絶対音感がある。1番好きなことはカラオケで、2番目に好きなことは刺青。【得意な歌】タイガー＆ドラゴン
続編『ファミレス行こ。』はこちら！
あの、「地獄のカラオケ大会」から4年――。大学1年生の岡聡実くんは、東京で「普通の大人」になるべく学業に勤しんでいた。しかし、ひょんな出来事から始めた、深夜のファミレスのアルバイトをきっかけに奇妙な縁は、再びめぐり始める。バイト先のファミレスに現れるマンガ家・北条先生、マンガオタクでバイトの先輩・森田さん、そして、あの夏の日に出会ったヤクザ・成田狂児など、個性豊かなメンツが聡実くんの日常に関わってきて……。累計55万部突破＆24年1月に実写映画公開の『カラオケ行こ！』の続編がついに刊行！●和山やま ビームコミックス好評既刊●［夢中さ、きみに。］［カラオケ行こ！］●和山やま［ファミレス行こ。］公式X（Twitter）●@YamaWayama_PR●映画『カラオケ行こ！』公式X（Twitter）●@moviekaraokeiko●コミックビーム 公式X（Twitter）●@COMIC_BEAM
昭和元禄落語心中（全10巻完結）
満期で出所の模範囚。だれが呼んだか名は与太郎（よたろう）。娑婆に放たれ向かった先は、人生うずまく町の寄席。昭和最後の大名人・八雲（やくも）がムショで演った「死神」が忘れられず、生きる道は噺家と心に決めておりました。弟子など取らぬ八雲師匠。惚れて泣きつく与太郎やいかに……！？昭和元禄落語心中・与太郎放浪篇、いざ幕開け！！
【あらすじ】
元チンピラの与太郎は、刑務所落語慰問会で聞いた落語界の大御所・八代目有楽亭八雲の落語に惚れ込み、出所後に弟子入りを申し出ます。それまでは弟子を取らない主義だった八雲ですが、気まぐれで与太郎を弟子として迎えます。
【見どころ】
与太郎の奔放な落語に、かつての親友であり兄弟弟子の助六の姿を重ねる八雲。第二部にあたる過去編では小さい頃の八雲と助六の話も明らかになり、その関係もまたブロマンス的です。
【書店員イチオシポイント】
2期にわたってアニメ化、2018年には岡田将生主演でドラマ化もされています。落語家として成長していく与太郎をきっかけに、八雲の周りにあった人間関係のわだかまりが溶けていくことに感動を覚えます。
マイ・リグレット（全2巻完結）
やさぐれた高校生・竜丸は、「ツケ払い」が出来ると噂の千田食堂に友達と足を運ぶ。心優しい店主を前に遠慮なくツケで腹を満たす彼らは、’タダ飯が食えるたまり場’としてそれから何度も通うようになる。しばらく経ったある日、まとまったお金を手に入れた竜丸は一人で千田食堂を訪れるが、何故か扉は閉まっており、その翌日も店は物音一つせず静まり返っていた。【電子限定特典付き】
【あらすじ】
｢ツケ払い｣ができると噂の食堂に訪れた不良高校生の竜丸（たつまる）たち。心優しいおじいさんの店主につけこみ、｢タダ飯が食える場所｣として何度も通っていましたが、竜丸の心に少しの変化が起こります。食事代を払おうと店に訪れると、そこにはおじいさんの代わりに知らない青年がいて……。
【見どころ】
手のつけようがない不良と元秀才で引きこもりの青年。唯一の共通点は、店主のおじいさんに優しくされたところでした。おじいさんをきっかけに出会った二人が、めぐり合わせのように二人の絆を結ぶことになります。
【書店員イチオシポイント】
苦労や葛藤、そして後悔、そういった負の感情が細やかに描かれており、少しずつ前に向かって歩み始める二人の姿が心にしみます。
【無料試し読みあり】ブロマンス漫画のおすすめ独自ランキング！
魅力的な作品が多いブロマンス漫画ですが、今回はDMMブックス書店員が独断と偏見でおすすめランキングを作成！ 全て無料試し読みができる作品なので、まずは気軽にチェックしてみてください。
1位：光が死んだ夏
2位：カラオケ行こ！
3位：BANANA FISH（全20巻完結）
4位：ダブル
5位：まほろ駅前多田便利軒（全4巻完結）
終わりに
今回の記事ではブロマンスという用語について簡単な解説と、おすすめブロマンス漫画をご紹介しました。それぞれに強い絆でつながったキャラクター同士の関係性はどれも味わい深いですよね。一口にブロマンスといっても、作品によって多様な関係が展開されています。ぜひこの記事をきっかけに自分好みの作品を見つけてくださいね！
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