今回は、年間1,000作品近く漫画を読むDMMブックスの書店員が、コミケをはじめとした同人・創作活動を描いた作品をピックアップ! 描かれる姿は一般参加者やサークル参加者、コスプレイヤーにカメコとさまざま。漫画好き・アニメ好きにとっては夏と冬の風物詩でもあるコミックマーケット(通称コミケ)が登場する作品も紹介しているので、ぜひ気になる漫画をチェックしてみてください。
目次
創作活動を描く名作漫画
オタク漫画の代表作『げんしけん』、熱い漫画道を描き切った名作『あーとかうーしか言えない』など、同人誌即売会での創作活動を描いた漫画の名作をご紹介します。
げんしけん(全21巻完結)
オタク大学生サークルに意を決して入部した主人公に待ち受ける、波瀾万丈の日々を描いたモラトリアム青春物語。アニメ化やスピンオフも展開された大人気作品です。
同人・創作活動漫画としてのポイントは、サークルメンバーでサークル参加することになる5巻。同人誌イベント参加の空気感を描いているのが見事です。一方で、「漫画を描ける人と描けない人との微妙な距離感と衝突」といったサークル参加者特有の悩みを描いているのも魅力。決して明るく楽しいだけではない、同人イベントの難しい側面にも光を当てている名作です。

あーとかうーしか言えない(全4巻完結)
『バクマン』や『まんが道』などの系譜につらなる漫画家漫画。成人向け漫画雑誌を描くために単身上京してきた新人漫画家・戸田セーコと、彼女と同居することになった担当編集・タナカカツミの成長創作物語です。漫画業界の中でも、成人漫画をテーマにしているのが大きな特徴の本作。漫画家と編集者がどのように物語を作るのか、その実情を細かく知ることができます。
同人誌イベントが描かれているのは2巻。成人漫画家仲間からの依頼を受け、戸田は二次創作同人誌にゲスト寄稿します。さらに、コスプレ姿で売り子をすることに! 初参加者の視点・売り子の視点や、作家を発掘したい編画編集者の視点などさまざまな観点からの同人活動模様が描きだされています。

ドージン活動の、ススメ!?(全2巻完結)
同人活動のことを詳しく知りたい、ガイドブックのような漫画をお探しの方におすすめの作品がこちら。原稿執筆、入稿からイベント会場の立ち回りまで、主人公の櫻井遥斗に寄り添いながら知ることができます。
仕事と同人の両立なんてどうすればいいかわからない。そうした悩みに寄り添った貴重な作品です。

タイムスリップオタガール(全8巻完結)
オタク女子の主人公・城之内はとこは、タイムリープによって学生時代の1996年へタイムスリップしてしまいます。中学時代に戻った彼女は、自分の黒歴史ノートを前に何かを表現することへの意欲を思い出し、オタク創作活動をスタートします!
主人公に寄り添う同級生たちとの同人活動、そして恋。「好き」を諦めない主人公はかつての人間関係を見つめなおしながら、自分の人生をやりなおします。シンプルで熱いあらすじは共感を誘います。
コミケ的な観点での注目ポイントは時代描写。ポスター、ラミカに便箋……96年を生きたオタクの共感を誘う小ネタの数々も楽しいです。96年のコミケはこんな感じだったのかも!?

同人活動を描いた名作漫画
創作だけが同人活動ではありません。コスプレイヤーと彼らを撮影するカメコを描いた『野良カメコのピラミッド』や異世界を舞台に即売会を開く『魔法使いの印刷所』などの名作をご紹介します。
魔法使いの印刷所(全6巻完結)
コミケからの帰り道にトラブルに巻き込まれ、異世界へ転生してしまった主人公・紙谷美香。彼女は元の世界に戻る魔法を探すため、魔導書の即売会「マジック・マーケット」を開催することに……。
異世界を舞台に同人活動や即売会を描く、類を見ないファンタジー漫画です。魔力のこめられたサークルカットが動き出したり、列形成がガチバトルになったりと、ファンタジー世界を活かしたワクワクする展開が盛りだくさん。同人イベントという交流の場を作りつづけることでたどりついたラストには胸が熱くなります。

終わりに
漫画・同人漫画特集はいかがでしたか? 同人活動は一人ではできません。今回紹介した作品は、創作の楽しさと同じくらい、人同士の繋がりを描いた名作ばかりです。誰かと一緒に趣味を楽しむすばらしさを、ぜひ味わってみてください。
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