紙では絶版になり、書店になかなか置いていないような伝説の漫画も読めるのが電子書籍の強み。今回は年間1,000作品近く漫画を読んでいるDMMブックスの書店員が、80年代昭和レトロファンシー漫画の名作を8作ピックアップ！ 当時の読者の方も、「昭和レトロ」カルチャーが大好きな方も、パステルカラーで可愛らしい絵柄の魅力に触れて、当時の空気感にたっぷり浸ってみませんか？
目次
密度たっぷりの80年代ファンシー漫画6選
りぼんコミックスを代表する『ときめきトゥナイト』、アニメ化もされた大人気作『オヨネコぶーにゃん』、そして陸奥A子・おーなり由子に川原泉……。こうして名前を列挙していくだけでもワクワクする少女漫画ファンも数多くいらっしゃるのではないでしょうか。80年代の漫画ならではの愛らしさや癒やされる優しい空気感を味わってみてください。
ときめきトゥナイト（全31巻完結）
【「キャッキャッ」「たじっ…」これぞ80年代ラブコメ！】吸血鬼の父、狼女の母を持つ蘭世（ランゼ）は、ドジでおっちょこちょいの女の子。今まで人間界でフツーに暮らしてたのに、真壁くんに恋してから超能力がめばえちゃった！かみついた相手にヘンシンなんて…きゃーどうなっちゃうの！？伝説が幕を開ける第1巻☆
少女漫画雑誌「りぼん」での連載開始から2022年で40周年を迎えた、池野恋先生による人気作品です。吸血鬼の父と狼女の母という秘密を持つ主人公・蘭世は、クラスメイトの真壁君に恋したことで不思議な能力に目覚めていきます。
80年代ラブコメ少女漫画の代名詞と言える一作。魅力的でチャーミングなキャラクターと心地よいユーモア、そして王道のラブコメ展開……。まさに当時の「覇権」作品だったのもうなずけるほど、勢いのある名作です。
主人公・蘭世の健気さと可愛さが魅力の本作は、巻を重ねていくごとに彼女が成長していく姿にも感動します。
現在も女性向け漫画雑誌「クッキー」で続編『ときめきトゥナイト それから』を連載中。2023年夏からは東京・福岡・富山などで連載当時の原画を中心に展示する「ときめきトゥナイト展」も開催される予定です。
天使も夢みるローソク夜（全1巻完結）
バレンタインデーが過ぎ、恋の天使も居眠りする静かな夜。ある街で大停電が発生し、そこに住む人達にロマンチックでちょっぴり不思議な出来事が…。 【同時収録】かるくかすかなる音にて
停電の夜に起こった4つの話を収めた連作短編。メルヘンな雰囲気の表紙通り、陸奥A子の描く愛らしい作品が収められています。
陸奥A子の短編集の中でも特に作画のクオリティが際立っており、見開きページの映画的な迫力・構成の巧みさにハッとさせられます。イラストだけでなく、物語もまた圧倒的にメルヘンですばらしいです。陸奥A子の短編の魅力をぜひ堪能してください。
銀曜日のおとぎばなし（全6巻完結）
【小人族のお姫様、ポーが人間の世界へ！】深い森の奥に住む女の子、ポーは小人族のお姫様。女王様はポーにつめたいけれど、親友の鳥・リルフィーといっしょに楽しく暮らしている。そんなポーが心優しい人間の青年、スコットに出会って…。萩岩睦美が描く、愛と冒険のファンタジー超大作、第1巻！
小人のお姫様・ポーが心優しき人間のスコットと出会い、彼を追いかけて人間の世界に旅立ちます！ 彼女の愛と冒険の物語を描いた作品です。幻想的で心温まるファンタジー超大作として、80年代連載当時のりぼん看板作品として人気を集めました。
ファンタジーかつシリアスな展開が大きな魅力です。全編を通して登場人物たちの想いのすれ違いが切なく愛おしい反面、冒険の中で捧げられる犠牲や絡みあう宿命が胸をうちます。可愛らしい絵柄に心癒やされつつも、ハードな展開に夢中になります。
人と自然との調和・人間の愛や信仰といった、一筋縄ではいかないテーマについて考えさせられる漫画が読みたい方にぜひ。
おーなり由子作品集（全3巻完結）
【ページ数が多いビッグボリューム版！】告白、そして失恋…。そんな少女の前に、突如現れた空飛ぶくじら。少女はくじらの背に乗せられ、空へと舞い上がる。そこに広がる風景は…？ 懐かしさを呼び覚ますハートウォーミングな短編13作。 【同時収録】六月歯医者/おてんきチップス/はくしょんの時計屋/くどうくん/てのひらの夜/春のいちれつ/秋のまばたき/なつやすみ帳/雪やこんこ/てけてけてん！/春が咲いて/冬にriririri
多数の絵本を手がけた作家・おーなり由子の作品集です。涙腺を刺激する短編が多く収録されています。まさに絵本を思い出させるような太い線で、ノスタルジックな気分になれる作品です。
おーなり由子作品を読むと「子供のときの気分がそのまま真空パックされている！」と驚かされます。子どもの頃のなんてことのない1日を読みたい、思い出したい、そんな方にぜひおすすめの作品です。
オヨネコぶーにゃん（全9巻完結）
ほのぼのタッチで描く市川みさこのギャグ短編集。不思議な登場人物が不思議なキャラクターたちとしっちゃかめっちゃかな大騒動…。そんな笑いのなかに冷たくふう刺される人間世界が、キラリと光る傑作第一集。
表紙の「ぶーにゃん」と呼ばれる黄色い猫（連載当初は「オヨヨ」）を主人公に、日常のドタバタ騒ぎを描いたギャグ漫画です。猫には見えないくせに図々しく、意地汚く芋が大好きで……けれど憎めない。そんなぶーにゃんの魅力にいつのまにか夢中になってしまいます。シュールでひねくれもののぶーにゃんが、いじらしく、愛らしいです。80年代当時のポップなタッチの画風は見飽きることがありません。
原作漫画は長らく絶版で古書価格が高騰し、なかなか手に入れにくくなっています。気軽な値段で読むことのできる電子版で、当時の雰囲気に触れてみてはいかがでしょうか。
笑う大天使（全2巻完結）
ネコを被ったお嬢様3人の愉快な日常を、独自の空気感で描き出した作品です。学園内で起こる事件を、かしましく解決していきます。実写化もされた川原泉の代表作で、掲載誌『花とゆめ』の80年代連載作品の中でも絶大な人気を誇っています。
作者の教養に裏打ちされた圧倒的な文字量が特徴的ですが、その文字量の多さを感じさせない軽やかさがあります。
作者は古今東西のミステリー作品にも造詣が深く、物語の随所に本格的なトリックが仕組まれています。上質なミステリー漫画を読みたい方にもぜひおすすめです。
隠れた名作ファンシー漫画2選
『週刊ヤングマガジン』連載にも関わらず少女漫画テイストたっぷりな『風呂上がりの夜空に』、タイトル通りに柔らかなタッチで描かれた絵本のような『土曜日の絵本』の2作をご紹介します。
風呂上がりの夜空に（全5巻完結）
町の風呂屋’花の湯’の看板娘、花室もえは、片思い男子続出の人気もの。しかし、そんなもえの頭の中は、オシリに三日月キズのある、ちょっと頼りない同級生、松井辰吉のことでいっぱい！なぜなら、辰吉は体を張ってもえを守ってくれた、もえの命の恩人だから…。甘酸っぱくハート・ウォーミングな高校生2人の恋の行方を描く、小林じんこのデビュー作。
町の風呂屋の娘・花室もえを主人公に甘酸っぱい高校生の恋の行方を描いたラブコメ作品です。なんと『週刊ヤングマガジン』で連載されていました。
当時流行の音楽・ファッション描写や、叙情的な会話が魅力。アンニュイで詩的な台詞、言葉選びの数々が読者をドキッとさせます。この漫画のリリシズムは唯一無二で古びることはありません。岡崎京子や大島弓子などの作品が好きな方はぜひ。
土曜日の絵本（全6巻完結）
元気いっぱいな小学生4人組の素朴な日常を、西洋画家のアルフォンス・ミュシャを思わせる綿密なページ構成と・漫画家の永島慎二を思わせる柔らかい雰囲気で季節感たっぷりに描いた名作です。時代・年齢・性別を超えて、魅力溢れる夢の中のようなファンシーたっぷりのページに癒やされてください。
終わりに
80年代昭和レトロ漫画特集はいかがでしたか？ 40年前ともなれば漫画の流行も随分変化しましたが、どれも未だにおもしろく、絵柄もかわいらしい名作漫画ばかりです。紙では気軽に読めない作品も電子書籍では読めるものもあるので、ぜひこの機会に読んでみてください。
DMMブックスには、無料で試し読みできる作品や、キャンペーン中の電子書籍がたくさんあります。無料のビューアーとアプリで簡単に読むことができるので、ぜひお試しください！
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