藤子・F・不二雄のおすすめSF短編作品4選 ドラマ化の名作も紹介

 2023年は藤子・F・不二雄の生誕90周年。2023年春からは『藤子・F・不二雄SF短編全集』の新装版が順次発売され、第1弾は緊急重版が決まるなど、大きな反響がありました。6月からはSF短編の新作ドラマ第二弾がBSで放送されるので、再び話題になっています。
 藤子・F・不二雄のSF短編集は大人も楽しめる刺激的でシュールな世界観が魅力的です。本記事では、藤子・F・不二雄作品が好きなどくしょ部編集部員が、短編集の中からおすすめの話をピックアップしてご紹介します! 藤子・F・不二雄が描いた「少し不思議な物語」をご堪能ください。

大人も楽しめる藤子・F・不二雄のおすすめ短編作品

 新装版のSF短編集『藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス』は、「異色SF」シリーズ(第1〜6巻)と「少年SF」シリーズ(第7〜10巻)に分かれて、それぞれ順次発売されています。全10巻に収録されている作品数はなんと111作品!
 今回は、現在発売されている1、2、7、8巻からおすすめの作品をピックアップしてご紹介します。ドラマ化された作品もあるので、ぜひチェックしてください。

ミノタウロスの皿(『藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス 1 ミノタウロスの皿』所収)

藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス 1 ミノタウロスの皿

藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス 1 ミノタウロスの皿

SF短編、全作品収録の決定版が登場!2023年、TVドラマ化を機に、藤子・F・不二雄のSF短編シリーズ全110作品+αを単行本全10巻に再編集し、装いも新たに刊行!「異色SF」シリーズ6冊(第1〜6巻)と「少年SF」シリーズ4冊(第7〜10巻)に分け、それぞれ概ね発表順に収録します。第1巻の収録作品は以下の通りです。<第1巻収録作品(異色SF短編)>・「ミノタウロスの皿」・「カイケツ小池さん」・「ドジ田ドジ郎の幸運」・「ボノム=底ぬけさん=」・「じじぬき」・「ヒョンヒョロ」・「自分会議」・「わが子・スーパーマン」・「気楽に殺ろうよ」・「換身」・「アチタが見える」・藤子・F・不二雄「あとがきにかえて」*過去に刊行された、既存の『藤子・F・不二雄 SF短編PERFECT版』全8巻とは作品の収録順と巻立てが異なります。

 これまで子ども向けの漫画一筋だった藤子・F・不二雄が、初めて大人向けに描いた物語が『ミノタウロスの皿』。本作が好評になったことをきっかけに、100本以上のSF短編作品が生まれました。
 宇宙船の故障で知らない星にたどり着いた主人公の青年は、美しい少女・ミノアに救われます。ご飯のことをエサと呼ぶミノアたち。なんとその星は、牛の姿をした生き物が実権を握り、人間が家畜として飼育されている世界でした……。
 食物連鎖の立場が逆転した世界に迷い込んだ主人公。血統のすぐれたミノアは大祭の祝宴で振る舞われる「ミノタウロスの皿」に選ばれ栄誉を感じる一方、主人公の青年は「残ぎゃくだ」と訴えます。価値観の違いに翻弄される主人公の結末はなんともシニカル。常識や価値観がくつがえされる傑作です。

イヤな イヤな イヤな奴(『藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス 2 ノスタル爺』所収)

藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス 2 ノスタル爺

藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス 2 ノスタル爺

SF短編、全作品収録の決定版が登場!2023年、TVドラマ化を機に、藤子・F・不二雄のSF短編シリーズ全110作品+αを単行本全10巻に再編集し、装いも新たに刊行!「異色SF」シリーズ6冊(第1〜6巻)と「少年SF」シリーズ4冊(第7〜10巻)に分け、それぞれ概ね発表順に収録します。第2巻の収録作品は以下の通りです。<第2巻収録作品(異色SF短編)>・「権敷無妾付き」・「ミラクルマン」・「劇画・オバQ」・「イヤな イヤな イヤな奴」・「休日のガンマン」・「定年退食」・「箱舟はいっぱい」・「やすらぎの館」・「ノスタル爺」・「コロリころげた木の根っ子」・「間引き」*過去に刊行された、既存の『藤子・F・不二雄 SF短編PERFECT版』全8巻とは作品の収録順と巻立てが異なります。

 閉鎖空間の宇宙船で繰り広げられる人間心理に注目!
 アルタイルから地球へと帰還するレビアタン号。閉ざされた環境で長期間共同生活を送る5人の船員たちは、異常な精神状態に陥り仲間割れを起こしかけていました。特にトラブルの元になっているのが整備士のミズモリ。こっそりやっていた賭博を船長に告げ口したり、船員たちがけんかしているところを嫌な声で笑ったり……。船内の会話を盗聴までしているイヤな奴・ミズモリの目的とは……!?
 本作はドラマ化され、6月11日にBSプレミアムで放送されます。主人公のミズモリを演じるのは、NEWSの増田貴久。ドラマの公式ホームページで「ここまでイヤな奴を演じたのは初めてです」とコメントしています。どんなイヤな奴なのか気になりますね。本作とドラマ、どちらも要チェックです!

おれ、夕子(『藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス 7 ポストの中の明日』)

藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス 7 ポストの中の明日

藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス 7 ポストの中の明日

SF短編、全作品収録の決定版が登場!2023年、TVドラマ化を機に、藤子・F・不二雄のSF短編シリーズ全110作品+αを単行本全10巻に再編集し、装いも新たに刊行!「異色SF」シリーズ6冊(第1〜6巻)と「少年SF」シリーズ4冊(第7〜10巻)に分け、それぞれ概ね発表順に収録します。第7巻の収録作品は以下の通りです。<第7巻収録作品(少年SF短編)>・「ポストの中の明日」・「アン子 大いに怒る」・「なくな! ゆうれい」・「ひとりぼっちの宇宙戦争」・「ボクラ共和国」・「ぼくのオキちゃん」・「世界名作童話」・「おれ、夕子」・「みどりの守り神」*過去に刊行された、既存の『藤子・F・不二雄 SF短編PERFECT版』全8巻とは作品の収録順と巻立てが異なります。

 亡くなったクラスメイトにまつわる怪事件の真相とは……?
 ある日、目覚めると亡くなったクラスメイト・夕子のネックレスを付けていた佐藤弘和。優秀な科学者だったと噂される夕子の父親に返しに行きます。その後も、深夜に歩く夕子を見かけた人がいたり、次々と怪奇現象が起こり……!?
 4月にドラマ化され、主人公の佐藤を俳優の鈴木福が演じました。父親と夕子の思い出の回想シーンは、映画にもなった『ドラえもん』25巻に収録されている『のび太の結婚前夜』を連想させます。うるっときてしまうラストに注目です。

未来ドロボウ(『藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス 8 流血鬼』所収)

藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス 8 流血鬼

藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス 8 流血鬼

SF短編、全作品収録の決定版が登場!2023年、TVドラマ化を機に、藤子・F・不二雄のSF短編シリーズ全110作品+αを単行本全10巻に再編集し、装いも新たに刊行!「異色SF」シリーズ6冊(第1〜6巻)と「少年SF」シリーズ4冊(第7〜10巻)に分け、それぞれ概ね発表順に収録します。第8巻の収録作品は以下の通りです。<第8巻収録作品(少年SF短編)>・「耳太郎」・「ユメカゲロウ」・「考える足」・「未来ドロボウ」・「ぼくは神様」・「宇宙人」・「老年期の終り」・「うちの石炭紀」・「流血鬼」*過去に刊行された、既存の『藤子・F・不二雄 SF短編PERFECT版』全8巻とは作品の収録順と巻立てが異なります。

 若さの素晴らしさ、日常の大切さを教えてくれる作品です。
 成功者になるため日々勉強する学。しかし、父親の工場がつぶれてしまい、高校進学を諦めないといけないことに……。人生に絶望した学は、成功者の老人と体を交換します。
 若者の体になった老人は新しい人生を謳歌しますが、ラストの意外な行動に驚きます。ご飯を食べること、体を動かすこと、体が若返るだけで見える世界が変わります。日々を大切に生きることの素晴らしさを教えてくれる作品です。

終わりに

 『ドラえもん』でおなじみのタッチで大人向けに描かれたSF短編集。かわいさと異様さが混じり合う不思議な世界観に引き込まれます。奇抜なアイデアで生み出された数々の作品たちに、潜在的な価値観や常識が揺さぶられること間違いありません! 何度読んでも新しい発見があるので、一度読んだことがある方もぜひ読み返してみてください。
 DMMブックスには、無料で試し読みできる作品や、キャンペーン中の電子書籍がたくさんあります。無料のビューアーとアプリで簡単に読むことができるので、ぜひお試しください!

関連記事

 今回の記事でご紹介した漫画が好きな方は、以下の記事もおすすめ!
一巻完結! さくっと読めるおすすめ読み切り漫画
読み切り・単巻完結の泣ける漫画 感動のおすすめ作品をご紹介

人気の記事