2023年手塚治虫文化賞 マンガ大賞候補8作品紹介

 朝日新聞社が主催する手塚治虫文化賞の結果発表の時期が近づきました。年に一度、優れた漫画作品にマンガ大賞が贈られます。
 本記事では、2023年度の「手塚治虫文化賞候補」8作品をご紹介します。よりすぐりの作品がそろっているので、最新のおもしろい漫画が知りたい方や次に読む作品を迷っている方は、ぜひチェックしてみてください!
 また候補作品を読んで大賞を予測してみるのも、作品をさらに楽しめるのでおすすめです。今注目の漫画を読んでみませんか?

第27回 手塚治虫文化賞 マンガ大賞候補8作品

 手塚治虫文化賞とは、手塚治虫氏の業績を記念し、日本国内で刊行・発表された漫画で、優れた成果をあげた作品および個人・団体に贈られる賞です。過去には『チ。-地球の運動について-』や『ゴールデンカムイ』が大賞を獲得しました。
 選考委員には『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の作者・秋本治や、タレントの高橋みなみ、芸人であり漫画も描いている矢部太郎らが勢ぞろいしています。
 今年の大賞には、どの作品が選ばれるのでしょうか。候補として発表された8作品を順に見ていきましょう。

海が走るエンドロール

海が走るエンドロール 1

海が走るエンドロール 1

65歳を過ぎ夫と死別し、数十年ぶりに映画館を訪れたうみ子。そこには、人生を変える衝撃的な出来事が待っていた。海(カイ)という映像専攻の美大生に出会い、うみ子は気づく。自分は「映画が撮りたい側」の人間なのだと……。心を騒ぎ立てる波に誘われ、65歳、映画の海へとダイブする!!

 青春をもう一度! 映画から始まる新しい人生に、胸が熱くなる物語。「このマンガがすごい!2023」オンナ編6位をはじめ、数々のランキングや賞にも選ばれた注目作です。 
 映画作りに目覚めた65歳の主人公が、美大へ入学し映像制作に挑みます。若者たちの間でもがきながらも、前に進んでいく主人公の姿に勇気をもらえる本作。読んでいると、新しいことを始めたくなります。
 映画のカメラワークを意識したコマ割りや、心情が波となって背景に押し寄せる演出など、漫画表現の魅力も味わい深い作品です。

女の子がいる場所は

女の子がいる場所は

女の子がいる場所は

「ここに描かれている遠い国の少女と私たちは一緒だ。そう、私たちは差別される側。認めるのはつらいけど、事実を知れば知るほど『ぶち破ってやるぞ!』と力が湧いてくる」山内マリコ(作家)「こんな世界が情けなくてやるせないけど知らないままの方がよっぽど恥ずかしいからページをめくる手を止めない冷笑的な態度に負けたりするもんか生まれついた性別で育った場所で奪われる夢があるなんて絶対に間違ってる」宇垣美里(フリーアナウンサー)「わたしたちは結婚しないと生きていけないの?」サウジアラビアに暮らす10歳の少女サルマ。同級生の姉は、顔も見たことのない8つも年上の男性と結婚する。外ではヴェールが必要で、大好きだったサッカーはもうできない。モロッコ、インド、アフガニスタン、そして日本……国も宗教も文化も違う少女たちに降りかかる「女の子だから」を見つめる作品集。◎ダークでファニーな怪談御伽噺『かわいそうなミーナ』も同時発売。◎やまじえびね ビームコミックス好評既刊『レッド・シンブル』全3巻『ナイト・ワーカー』『アイム・ノット・ヒア やまじえびね作品集』『女神たちと』(共著:河井克夫他)◎コミックビーム 公式ツイッター@COMIC_BEAM

 「このマンガがすごい!2023」オンナ編4位を獲得した短編作品です。世界における女性差別について、少女たちの視点で描きます。
 本作では、「女の子だから」という理由で将来が決まってしまう子どもや、辛い少女時代を過ごした大人が登場します。読後は、性別によって勉強や就職の機会を奪われることについて、深く考えさせられます。
 フェミニズムや世界情勢に関心のある方、人権について考えたい方におすすめです。

SPY×FAMILY

SPY×FAMILY 1

SPY×FAMILY 1

名門校潜入のために「家族」を作れと命じられた凄腕スパイの〈黄昏〉。だが、彼が出会った‘娘’は心を読む超能力者! ‘妻’は暗殺者で!? 互いに正体を隠した仮初め家族が、受験と世界の危機に立ち向かう痛快ホームコメディ!!

 累計発行部数2900万部を突破! 勢いが止まらない仮初め家族のアクションコメディです。
 「第4回みんなが選ぶTSUTAYAコミック大賞」大賞ほか、多数の受賞歴を持つ話題作。アニメ化、舞台化に続き、劇場版アニメの制作も決定しています。昨年は、作品名で「ネット流行語100 2022 pixiv賞」も受賞しました。
 家族の絆がテーマの本作。スパイの夫、暗殺者の妻、超能力者の娘がそれぞれ正体を隠しつつ、偽装家族として生活を始めます。目的達成のために集った3人が本当の家族になっていく過程と、ハラハラドキドキのアクションシーンが見どころ。心温まるホームドラマとして、バトルアクションものとしても楽しめます。

タコピーの原罪(全2巻完結)

タコピーの原罪 上

タコピーの原罪 上

【デジタル版限定!「少年ジャンプ+」掲載時のカラーページを完全収録!!】地球にハッピーを広めるため降り立ったハッピー星人・タコピー。助けてくれた少女・しずかの笑顔を取り戻すため奔走するが、少女を取り巻く環境は壮絶。無垢なタコピーには想像がつかないものだった。ただ笑って欲しかったタコピーが犯す罪とは…!?

 衝撃的な展開でSNSを騒がせた話題作!
 ハッピー星からやってきた宇宙人タコピーが、孤独な少女を幸せにしようと奔走する物語です。かわいい絵柄で虐待、いじめ、育児放棄など、シリアスなテーマを扱った本作は、多くの反響を呼びました。問題を解決するためにタイムリープを繰り返し、不思議なアイテムを用いるSF要素が特色です。
 2022年3月までに連載アプリ「少年ジャンプ+」での総閲覧数が、8000万ページビューを突破。「このマンガがすごい!2023」オトコ編3位など、数々の賞を受賞した注目作品です。

チェーザレ 破壊の創造者(全13巻完結)

チェーザレ (1) 破壊の創造者

チェーザレ (1) 破壊の創造者

「私の母は娼婦――そして父は怪物だ」15世紀のイタリア、ルネッサンス時代。現代政治学の祖・マキァヴェッリに「理想の君主」とまで謳われながら、歴史の闇に葬られた英雄チェザーレ・ボルジア。争いに向かおうとする不穏な時代に、全ヨーロッパ統一という野望を抱いた男の戦いの物語。本邦未訳『サチェルドーテ版チェーザレ・ボルジア伝』(イタリア語原書)を精査し惣領冬実が描く、華麗なるルネッサンス絵巻!

 累計120万部突破の大ヒット歴史漫画! 
 実在の人物「チェーザレ」を題材とした社会派漫画です。ルネサンス期のイタリアを舞台とした本作は、フィレンツェの街並みや文化を精密に描いており、美しい絵に目を奪われます。レオナルド・ダ・ヴィンチを筆頭とした偉人や、時の権力者たちを交えて綴られる群像劇の結末を、ぜひ見届けてください。
 本作は、ダンテ学者・原基晶監修の元、歴史を精査しながら丁寧に制作されています。世界史やヨーロッパの歴史がお好きな方におすすめです。

東京ヒゴロ

東京ヒゴロ (1)

東京ヒゴロ (1)

大手出版社を早期退職した漫画編集者の塩澤。理想の漫画誌を作るため、自分が信じる漫画家たちを訪ね、執筆を依頼する。漫画を描く者、描かぬ者、描けぬ者、東京の空の下、それぞれの人生が交差する。

 『ピンポン』、『鉄コン筋クリート』の松本大洋が描く、漫画編集者と作家のヒューマンドラマ! 「このマンガがすごい!2022」のオトコ編5位にランクインしました。
 元・漫画編集者の主人公は、一度は漫画業界から離れようとしますが諦めきれず、退職金を使って「理想の漫画誌作り」を始めます。
 主人公だけでなく、登場する人物は誰もが漫画への情熱を抱えており、読後は漫画へ思いを馳せたくなる作品です。
 お仕事漫画としても楽しめますので、ビジネスものが読みたい方におすすめです。

ひらやすみ

ひらやすみ (1)

ひらやすみ (1)

心救われる、もらった平屋モラトリアム。生田ヒロト、29歳、フリーター。定職なし、恋人なし、普通ならあるはずの?将来の不安も一切ない、お気楽な自由人です。そんな彼は、人柄のよさだけで、仲良くなった近所のおばあちゃん・和田はなえさんから、タダで一戸建ての平屋を譲り受けることに。そして、山形から上京してきた18歳の従姉妹・なつみちゃんと2人暮らしを始めました。しかし、彼の周りには生きづらい’悩み’を抱えた人々が集まってきて…連載前から雑誌「BRUTUS」でも紹介されるなど、各メディアも大注目の真造圭伍最新作。先が見えず鬱屈した’今’だからこそ、あなたの心をスッと癒してくれる物語です。

 「マンガ大賞2022」3位、「全国書店員が選んだおすすめコミック2022」6位を獲得した、注目の日常系漫画です。『トーキョーエイリアンブラザーズ』『森山中教習所』など、独特のセンスで漫画好きを魅了する作家・真造圭伍の新作です。
 譲ってもらった平屋で暮らす主人公と、周囲の人々の交流を描くヒューマンドラマである本作。温かみのある画風で描かれる平屋暮らしは、読んでいると庭や台所の匂いが感じられます。
 ほのぼのとした雰囲気に心洗われる作品なので、癒されたい方におすすめです。

ゆりあ先生の赤い糸(全11巻完結)

ゆりあ先生の赤い糸 (1)

ゆりあ先生の赤い糸 (1)

かつて姉の影響でバレエをやっていた伊沢ゆりあ50歳。現在は手芸教室の先生として地味ながらも幸せに暮らしている。そんなある日、物書きの旦那が渋谷のホテルで昏倒し、救急車で緊急搬送される。病院に駆けつけるとそこにいたのは旦那と見知らぬ美青年。診断はクモ膜下出血。緊急手術をし一命は取り留めたが、旦那はいっこうに目覚めない。そして後日、病院で再開した美青年の口から語られたのは信じがたい話で……。

 夫の不倫から始まる、赤い糸を辿る物語ーー。第45回講談社漫画賞 総合部門を受賞し、「このマンガがすごい!2020」オンナ編8位を獲得した作品です。
 50歳の主婦・ゆりあの平凡な生活が変容していく様子を、じっくりと描きます。夫の病と不倫発覚をきっかけに、介護、新しい出会いなど、次々と起こる驚きの展開にページをめくる手が止まりません。 
 強くあろうとがんばる、芯のある主人公を応援したくなる作品です。予測のできないストーリーを求めている方は、ぜひ読んでみてください。

終わりに

 本記事では、第27回手塚治虫文化賞 マンガ大賞候補8作品をご紹介しました。どの漫画にも特色があり、おもしろい作品ばかりです。受賞作が発表されるこの機会に、気になった作品をぜひ読んでみてください。
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