『RAVE』『FAIRY TAIL』『EDENS ZERO』と、ヒット作を次々と生み出した冒険ファンタジーの名手・真島ヒロ先生に独自インタビュー! 画業25周年を振り返った感想、2022年に開設されたYouTubeチャンネル、今後の展望についてお話を伺いました。真島先生が漫画家になると決意したきっかけなど、本記事初公開のエピソードもあるので最後までご覧ください!
プロフィール
漫画家・真島ヒロ(ましま・ひろ)
1977年生まれ、長野県出身。1998年に『MAGICIAN』で第60回週刊少年マガジン新人漫画賞に入選し、『マガジンFRESH』より『BAD BOYS SONG』でデビュー。『RAVE』や『FAIRY TAIL』などアニメ化された人気ヒット作を生み出し、25年間少年バトルファンタジーの第一線で活躍。現在は、『週刊少年マガジン』で『EDENS ZERO』を連載中。2022年には、YouTubeチャンネル「真島ヒロ.mashima Ch.」を解説し、新人漫画家やファンに向けてお絵かき動画や漫画の描き方ハウツー動画などを配信中。
25年間を振り返ってーー原動力は「読者の声」

ーー画業25周年おめでとうございます。
ありがとうございます。もう25周年なんですか?(笑)あまり実感がありません。
ーーこれまで週刊連載を休載せず、イベントやゲーム関連など執筆以外の活動も含めて25年間精力的に活躍されてきましたが、走り続けてきた原動力は何でしょうか?
「読者の声」ですね。僕が漫画を描き始めた頃は、まだネットとかSNSが普及していなくて、主に読者アンケートやファンレターを通じて読者の声を聞いていました。今はSNSを通して読者の声を聞いています。やはり読者の声があったから続けてこられたんだと思います。
ーーファンレターはすべて目を通されているんですか?
読んでいますよ。さすがに今の時代になってからは、SNSの声をすべて確認することはできないんですけど、いただいたファンレターは全部読みますし、いまだに捨てられずにいます。
ーー25年分だと結構な量になりそうですね。
段ボールが何十箱もあります(笑)。すべて大切に保管していますよ。
ーー子どもの頃から漫画家を目指していたんでしょうか? きっかけになる出来事があれば教えてください。
子どもの頃から漫画家になりたいとは思っていましたが、高校の頃は女子にモテたくてバンドでギターをやっていて、本気でプロを目指していました。
ーーどんなジャンルのバンドですか?
パンクロックです。当時はロックがすごく流行っていて、特に「THE BLUE HEARTS」が好きでした。
ーーなぜ、バンドではなく漫画の道に決めたのでしょうか?
当時、バンドメンバーと「TEENS’ MUSIC FESTIVAL」っていう10代が参加できる音楽コンテストに参加したんです。結果は、コンテストの最初の地方予選で最下位でした(笑)。参加資格最年少の10歳のソロギタリストに負けたんです……。そこですっぱりバンドの道は諦めて、やっぱり漫画を描くしかないと思って上京しました。
ーー続いて作品について教えてください。25年間で特に思い入れのある作品やキャラクターがあれば教えてください。
思い入れのある作品でいえば、長期連載で一番長かった『FAIRY TAIL』。キャラクターは、初期の作品『RAVE』で登場するプルーですね。実は新人賞を獲得した短編作品の『MAGICIAN』からプルーは登場しています。当時の編集長が犬好きだから、犬を登場させたら新人賞が取れるという噂を聞いて、無理矢理犬だって言いはって登場させたのがプルーなんです。結果的に新人賞をいただけて、編集長から「あの犬かわいいね~!」と言われました(笑)。僕の原点的なキャラクターなのですごく思い入れがあります。
ーー戦略通りでしたね! 確かに、プルーはかわいいです。
最初は少し変なキャラクターとして描いていたんですよ。不細工というか、気持ち悪いキャラとして。でもそのときの編集長がプルーのことをかわいいと言ってくれたので、もっとかわいく描こうと思いました。

『RAVE』(講談社)1巻8ページより。初回登場時(1999年ごろ)のプルー。
ーー真島先生の作品のなかで特に印象に残っているシーンはありますか?
『RAVE』の最後に、墓を守っているドクロの伏線が明かされるシーンがあるんですけど、あそこは特に緊張して気合いを入れて描いたので印象深いですね。
ーー確かにあのシーンは、真実がわかった瞬間に震えました。とても反響がありましたね。

『RAVE』(講談社)12巻119ページより。エリーと同じペンダントを持つ不穏なドクロが発見されるシーン。
ーーこのシーンのように、人の心をつかむエピソードやシーンを作るコツはあるんでしょうか?
人の心を動かすのは簡単ではないですが、一番大事にしているのはキャラクターの感情です。やはり登場人物の感情が読者に一番伝わりやすいと思っているので。
ーー喜怒哀楽をわかりやすく表現されているとか?
はい。喜怒哀楽の表現もありますし、敵だったら「こいつムカつく」でも良いんですよ。何かしら読者の感情を動かせたら。
ーーなるほど。確かに嫌だった敵が味方になると心動かされます。
少年誌あるあるですね(笑)。
ーーまさにそうですね。『FAIRY TAIL』のガジルとか、最初は怖い印象でしたが、仲間になってからはだんだん良いキャラクターになっていって、気がついたら好きになっていました(笑)。
実は最初は仲間にする設定はなかったんですよ。『FAIRY TAIL』は見切り発車の作品なので、毎週「来週どうしょう……」って頭を悩ませながら物語を作っていました。その場のノリで仲間にしてしまいましたね。
ーーそんな感じで制作されていたんですね! すごくきれいに伏線も回収されて終わりましたね。
良く言われます。長年のコツで作り上げました(笑)。
2006年から2017年まで11年間長期連載された人気バトルファンタジー
多彩な趣味が作品づくりのインスピレーションに
ーー世界観やキャラクター、物語の設定などいつもアイデアが豊富ですが、どのようにインスピレーションを受けているのでしょうか?
漫画に限らず、テレビ、アニメ、ゲーム、読書、オーディオブックなど、さまざまなエンタメに触れることが好きなので、そこからヒントを得ることがあります。おもしろそうなエピソードをかみ砕いて、自分だったらどう表現するかイメージすることもありますね。
ーー確かに真島先生の作品は、ゲームや映画のような壮大な世界観が魅力ですよね。
ゲームや映画は大好きです。映画を観てかっこいいアクションシーンがあったら、これを漫画にするとどういうコマ割りにしたらいいかを考えます。ゲームも、最近は豪華で派手な演出が多いので、漫画に落とし込むとしたらどう表現するのかを思わず想像してしまいます。
ーー趣味が仕事につながっているんですね。真島先生は「どんでん返し」系の映画が好きと聞きました。
よく調べましたね(笑)。ネット記事の「大どんでん返し映画ベスト○選」とかで紹介されている映画はすべて観たくらい、「どんでん返し」系の映画は大好きです。おもしろい作品があったら教えてください!
ーー最近観た映画は何ですか?
アメリカのミステリー映画『ザリガニの鳴くところ』です。原作小説がおもしろかったので観たんですけど、映画も良かったです。
ーー物語の伏線の張り方が秀逸ですが、普段からミステリー作品を観て勉強されているのですか?
はい、ミステリーは好きなジャンルなので、映画を観たり小説を読むことで勉強になっていると思います。
ーー小説も好きなんですね! よく読むミステリー小説の作家はいますか?
そのときのブームによっても変わりますが、『かまいたちの夜』から入ったので、ずっと我孫子武丸さんが好きです。あと宮部みゆきさん、東野圭吾さんも読みましたし、最近だと道尾秀介さんの作品を気に入っています。
ーー趣味も多く、さらに一週間フルでお仕事をされていますが、休みたいと思うことはありますか?
仕事=趣味なので、休みたいと思うことはあまりありません。長期休みが取れたら大変なことになっちゃいます(笑)。
YouTube・ゲーム制作ーー漫画以外の新しい挑戦
ーー2022年からYouTubeでも活動されていますが、チャンネルを立ち上げたきっかけを教えてください。
元々、仕事の合間にVTuberやゲーム配信とかを見ていて、楽しそうだなって思ったんです。以前オンラインでサイン会をやったときは、ずっとサインを書いていて視聴者の方とコンタクトが取れなかったので、もっと交流できるような配信をしたいと思って始めました。キャラクターのお絵かき動画などでファンの皆さんが楽しんでくれたらうれしいです。
ーー撮影が大変だった動画はありますか?
コスサミの動画がバズりましたが、実はあれが一番撮影が大変でした。僕のチャンネルは新人の漫画家さんに向けたレクチャー動画やお絵かき動画が中心なんですけど、ちょっとYouTuberっぽいことをやってみたらそれがバズっちゃって。

YouTube「真島ヒロ.mashima Ch.」「原作者がコスプレイヤーに凸してみた![コスサミ]」より
ーー確かにあの動画は見応えがありました。どこらへんが大変だったんですか?
初めての撮影だったのでカメラや撮影方法がわからなくて。張り切って撮ったはずのオープニング映像が撮れていなかったり……でも大変でしたが楽しかったです。
ーーコスプレされているファンの方との交流が印象的でした。自分のキャラクターの衣装をファンの方がコスプレされている姿を見ると、感じるものがありますか?
もちろんです。キャラクターが好きではないとコスプレはしないと思うので、好きでやってくれていると思うとめちゃくちゃうれしいです。キャラ愛が全部詰まっているなって。
ーー今後はどんな動画にチャレンジしたいですか?
あまりYouTuberっぽいことはしたくないですが(笑)、もしおもしろそうな企画があればまたやりたいと思っています。気がついたら登録者数が10万人超えていて、うれしいので今後も続けていきます。
ーー今後の動画も楽しみです! そのほかに、漫画以外で今後チャレンジしたいことはありますか?
ゲーム制作です。去年は個人で1本作ったんですけど、今年も新しいゲームを作って発表できたらいいなと思っています。去年、個人でゲーム開発をしている方に向けて、「『FAIRY TAIL』のゲームを自腹で一千万出すから作ってください」っていうコンテストを講談社と一緒にやったんですよ。そのゲームもそのうち発売されるので楽しみにしていてください。それ以外に、自分自身でもゲームは作ってみたいですね。
ーー真島先生が作るゲームは、オリジナルのキャラクターを採用するんですか?
既存のIPは使わず、オリジナルのキャラクターでゲームを作りたいですね。最近は、ゲーム制作をするにあたって、ポリゴンの3Dモデル制作に挑戦しています。また新しい趣味が増えました。
ーー本格的にゲーム制作にも携わられているんですね。新作のゲーム・キャラクターも楽しみにしています!
今後の活動・ファンの方へメッセージ
ーー『EDENS ZERO』が最終章を迎えていますが、次回作の構想などは考えられていますか?
「次回作」って言い方が正しいのかわかりませんが、『EDENS ZERO』と並行して短期集中連載をしようと考えています。それが終わったら新作のことを考えます。
ーーどのような作品なのかヒントを教えてください。
今までの真島作品の主人公・ハル、ナツ、シキとはかけ離れたキャラクターが登場する予定ですね。新しい挑戦を盛り込んだ作品になりそうです。
ーージャンルはファンタジー漫画ですか?
ファンタジーアクション漫画ではあるんですけど、既存の作品とはガラッと雰囲気を変えようと思っています。今までの真島ファンが読んだら「こんなの真島の漫画じゃない!」って言われそうなくらい(笑)。新たな読者にも読んでほしいですね。楽しみにしていてください。
ーー最後にファンの方へメッセージをお願いします。
これまで25年間やってこられたのは、本当にファンの皆さんの応援のおかげだと思っています。今後も楽しいと思う作品をたくさん作っていきますので、応援よろしくお願いします。これからも僕の作品を楽しんでください!

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※予約作品および過去に購入された方も対象となります。
▶キャンペーン期間:2023年2月22 日(水)0:00~ 2023年3月7日0:00
※上記のキャンペーンは、2023年3月7日をもちまして終了しました。
真島ヒロ先生の作品一覧はこちらから
https://book.dmm.com/list/?author=161335
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