『逃げ上手の若君』とは?ネタバレ込みで徹底解説!キャラ一覧も紹介

 『週刊少年ジャンプ』にて好評連載中、鎌倉幕府の滅亡を起点に、「逃げる」ことで嵐を巻き起こした北条時行の成長を描く歴史漫画『逃げ上手の若君』が2024年7月よりアニメ放送開始予定! 作者は『暗殺教室』『魔人探偵脳噛ネウロ』を手がけた松井優征です。
 本作を含め、長期連載作品が3作連続でアニメ化されるのはなんとジャンプ史上初。原作ファンの期待も高まっているいま、改めておさらいしておきたいあらすじや主要キャラ、人気を集めている本作の見どころをご紹介します。
 記事の最後にはネタバレ込みで作品の感想や、放送スケジュールなどのアニメ情報もあわせて掲載しているので、ぜひチェックしてみてください!

逃げ上手の若君 1

逃げ上手の若君 1

1333年、鎌倉――。幕府の後継として生きるはずだった少年・北条時行は突然の謀反で故郷も家族も全て失う。しかし時行は、生き延びることに関しては誰よりも秀でていた。信濃国の神官・諏訪頼重に誘われ、少年は逃げて英雄になる道を歩み始めた!

あらすじ

 舞台は1333年の鎌倉。主人公の北条時行は、幕府の跡継ぎながらも「逃げる隠れる」を得意とし、才の目立たない日陰者でした。期待されていなくても、生まれ育った鎌倉を愛し人々が笑顔で平和に暮らしていければいいと考えていた中、未来予知ができると言う信濃の国の神官・諏訪頼重に出会い、「十歳のときに天を揺るがす英雄となる」と告げられます。

木の上で頼重が時行に語りかける場面

 すぐに逃げた時行ですが、一か月後に事件が起きます。
 後醍醐天皇と内通していた幕府の御家人・足利高氏(足利尊氏)の突然の謀反により、鎌倉幕府は滅亡。一族を皆殺しにされた時行は、父・高時から時行を逃がすように命じられた頼重と再会しますが、敵討ちをあきらめていました。しかし武士らしく死なせてほしいと言いながらも、頼重に崖から突き落とされた時行は、多くの敵を前に生き延びてみせます。

突き落とされた時行が逃げの才能をみせる場面

 こうして、「生き延びる悦び」に気付いてしまった時行は、諏訪頼重のもと身分を偽り、長寿丸として仲間たちと打倒・足利高氏の旗を揚げます。

2024年7月からアニメの放送スタート!

【スケジュール】
2024年7月6日より毎週土曜日23:30〜TOKYO MX・BS11ほかにて放送開始!

【主題歌】
OP:「プランA」DISH//
ED:「鎌倉STYLE」ぼっちぼろまる

【制作会社】
CloverWorks

【原作】
松井優征(集英社『週刊少年ジャンプ』連載)

主要キャラ一覧

 まずは登場人物のご紹介! 主要なキャラクターと現在発表されている声優情報をまとめています。

北条時行【CV:結川あさき】

第3話「仇討 1333」の扉絵

 鎌倉幕府の執権・北条高時の息子。地位や権力には興味がなく、戦いを好みません。一方で、「逃げる」ことに関しては大人が何人がかりでも止められないほどの才能の持ち主。足利高氏によって全てを奪われ、鎌倉奪還を目指し「逃若党」という郎党(武将と主従関係のもと命をかけて戦う配下)の主君として戦いに身を投じます。
 時行と「逃若党」の雫・弧次郎・亜也子たちは同い年です。

雫【CV:矢野妃菜喜】

守屋山で神楽を躍っていた雫の場面

 諏訪大社の巫女で「逃若党」の1人。諏訪頼重を父様、時行を兄様と呼びます。頼重ほどではないですが神力を操る秘術を持ち、「逃若党」では良き執事として時行の身の回りのお世話をこなします。品行方正ですが、たまにとんでもない毒を吐いて周囲を驚かせることも。

弧次郎【CV:日野まり】

渋川との一騎打ち直前の弧次郎の場面

 同世代随一の刀の使い手で、その実力は大人にも劣りません。時行とは主従関係にありながらも友人として親しく振る舞います。荒っぽいところもありますが、「逃若党」の中では常識的な性格のためか、ツッコミ役に回ることも多いです。

亜也子【CV:鈴代紗弓】

時行のピンチに田楽を用いて助ける亜也子の場面

 天真爛漫な「逃若党」の便女(メイド的な役割で、戦う人も)。かわいい顔立ちに、時行たちよりも頭一つ違うほど背が高いです。サッカーボールより大きい岩を軽々と投げる化け物じみた身体能力で、戦場での活躍は怪力無双。主君を守れるような強い女性に憧れがあり、時行に対しては甘々です。

風間玄蕃【CV:悠木碧】

時行たちの前に登場する場面

 変装を得意とする「逃若党」の忍。狐のお面はどんな人物にも化けることができ、時行と出会う前までは諏訪にまで悪名を轟かせる盗人でした。過去の経験からお金に対する信頼が強く、仲間入りを頼むと法外な金額を請求します。しかし元おぼっちゃまの時行にはまったく効きませんでした。

吹雪【CV:戸谷菊之介】

吹雪が名乗る場面

 涼しい顔立ちの二刀流の使い手。弧次郎と亜也子2人がかりの攻撃をいなすほど武芸に長けており、さらにさまざまな軍略に精通しています。自身の強さを活かせる主君を探していたところ、時行と出会い「逃若党」の軍司に。一見普通ですが、常識外れの大食いです。

諏訪頼重【CV:中村悠一】

木の上で時行と初めて顔を合わせる場面

 信濃の国の神官にして諏訪大社の当主。神力を操り、未来を見通すことができると豪語しています。しかし、その内容が曖昧なことも……。さらになぜかオンオフが可能な後光、その怪しげな笑顔はどこか胡散臭さを放ちます。時行の「逃げる」才能を鍛えるためにさまざまな試練を与えながらも、ハラハラしてしまう心配性な一面もある愉快なキャラクターです。

足利高氏(足利尊氏)

第2話の冒頭高氏に関するナレーション部分

 爽やかで武勇・人望・教養・家柄など全てを兼ね備えた武人。瞬時にして、人を惹きつけてしまうほどの圧倒的なカリスマ性を持ちます。長く鎌倉幕府に仕えており、時行からも尊敬されていましたが、密かに後醍醐天皇と内通し、京の幕府軍を制圧後すぐに鎌倉幕府を滅ぼした敵役です。

足利直義

鎌倉に隠れていた北条の残党を部下に任せ、政務を行う場面

 足利高氏の実弟にして右腕。高氏が天才タイプなら、直義は理論派の秀才タイプ。真面目かつ冷静沈着で弁が立ち、言葉を駆使して計算的に大衆を惹きつけます。唯一の欠点は戦が弱いところですが、精鋭を率いて奪還後の鎌倉を防衛しています。

『逃げ上手の若君』の見どころ

 この章では『逃げ若』の見どころをご紹介します。

記憶に残る強烈なキャラクター

貞宗が犬追者で1位であることを皮肉を交えて自慢する場面

 歴史漫画あるあるの1つに、「登場人物が覚えにくい!」ということがあると思います。しかし本作は、キャラクターの外見や行動に癖があり、一言で表現できるほど個性的です。
 例えば、敵の武将である小笠原貞宗は、超人的な視力の持ち主であることから眼が大きく描かれ、すぐに名前を思い出せなくてもキャラクター性で強烈な印象が残ります。敵味方関係なく、個性と連動して覚えられるようなデザインのキャラクターが多く登場するのも本作の魅力です。

ギャグシーン

神力が使えないせいで旅に送り出そうにも不安がって付きまとう頼重

 おもしろい掛け合い、他作品のパロディ、約700年の時を越えた時事ネタなど、まるでギャグ漫画のように隙あらば入る笑いも特徴の1つです。ギャグを入れることでシリアスな展開の重い空気や、歴史漫画の少し固いイメージの和らぎを感じます。
 過去には「複雑な伏線の直後に笑いを入れると伏線がきれいに隠れる」とも言っており、笑わせるためだけのシーンではないことがわかります。笑いに注目することで、隠されていることに気付けるかもしれません。

史実と創作のバランス

2巻第15話「尊氏1333」の扉絵より

 本作は、日本史で舞台となることが最も少ないといっても過言ではない、南北朝時代がモチーフです。資料も少なく、断片的にわかる出来事もその動機に所説あり、史実として言われていることが本当かどうかもわかりません。時行についても、人物像の資料はあまり残っていませんが、史実をベースに空白の部分を作者の解釈で調理した、リアリティのあるドラマが展開されていきます。
 また、巻末に収録されている歴史監修の本郷和人による「解説上手の若君」のコーナーで、当時の文化や人物などがわかりやすく解説されています。作品をより楽しむために要チェックです!

強者VS弱者

頼重が時行に生き延びる才があると説きつける場面

 これまでの松井優征作品は、「魔界から地上にきた魔人・ネウロと普通の女子高生・弥子」(『魔人探偵脳噛ネウロ』)「マッハ20のスピードと万能触手を持つ・殺せんせーと、落ちこぼれ生徒・渚」(『暗殺教室』)のように、力を持つ者と持たない者が関係性を築き上げていく様子が描かれています。対して、『逃げ若』は全てを兼ね備えた足利高氏に、北条時行が立ち向かう構図です。諏訪頼重も強烈な個性を持ったネウロ的な面と、時行の成長を手助けする殺せんせー的な面を持つキャラクターではあるものの、武力として強いわけではありません。
 これまでにない絶対的な力を持つ敵にどう対抗するのかも、作品を楽しむポイントです。

『逃げ上手の若君』DMMブックス書店員の感想【ネタバレあり】

 ここまでの内容は、キャラクターや見どころなど『逃げ若』の魅力についてでしたが、ここからはネタバレ込みの感想をご紹介します!

「中先代の乱」について

 コミックス7巻に収録されている第61話「中先代 1335」。ようやく時行の名が教科書に載る最初で最後の事件、「中先代の乱」に突入していきます。
 鎌倉が滅ぼされてから約2年、時行は仲間やさまざまな武将と出会い着々と力を蓄えてきました。京での足利高氏との対峙では、憎き仇敵に憶えられていないどころか、とてつもない屈辱を味わいます。苦い経験を積みながらも、兵力、士気、タイミング、心構え、全てが揃い、鎌倉奪還に挑みます。

「中先代の乱」開始直前の場面

 その後、時行は平野将監を討ち取り、諏訪軍は国司軍を追いやることに成功、完全勝利をおさめます。ここから本作屈指の名場面が……!

諏訪軍を前に本名を明かす場面

 いままで長寿丸として身分を偽ってきた時行が、諏訪軍を前に本名を明かす場面は演出も相まって圧巻! 読者まで誇らしくなるような感動を覚えます。
 大人になってから活躍することが多い歴史漫画ですが、「中先代の乱」での時行はわずか十歳、まさにリアル少年漫画のようです!

『逃げ上手の若君』読者の感想を紹介!【ネタバレあり】

 ここではDMMブックスに寄せられたレビューの中から、読者の感想をご紹介します!

面白い!
歴史上の人物を扱っていますが固いところはなく、楽しく読めます!テンポもよかったのでどんどん読み進めてしまいました。頼りになるようなならないような諏訪頼重が好きです。アニメ化も楽しみです。

『逃げ上手の若君』読者レビューより

北条時行が主人公
少年誌で南北朝時代を舞台にするという大胆さはもちろん、内容も面白いです。主人公の北条時行がどんな未来を歩むのか期待です。
また本郷先生の歴史解説は物語をもっと面白くします。

『逃げ上手の若君』読者レビューより

おもしろい!
歴史漫画は、歴史の授業を受けているようで苦手でしたが、この作品は面白い!
夢中で読める巻全て読んでしまいました笑
早く続きが読みたいです。

『逃げ上手の若君』読者レビューより

『逃げ上手の若君』が好きな方におすすめの歴史漫画・本

 今回は『逃げ上手の若君』の主要キャラや見どころをご紹介しました。個性豊かな少年少女たち、強烈な存在感を放つ武将たち、そして戦って死ぬことより、逃げて生きることを選んだ「逃げる英雄」の物語はまだまだ続きます。歴史漫画が苦手な方でもスラスラと読めるので、少しでも気になった方は読んでみてください!
 本作がお好きな方は、『ヒストリエ』や、副読本として『中先代の乱 北条時行、鎌倉幕府再興の夢』などもおすすめです! 

・『ヒストリエ』

ヒストリエ (1)

ヒストリエ (1)

舞台は紀元前。奴隷の身分にありながら、豊かな教養と観察眼、判断力、そしてそれらを駆使して行動を起こす度胸を兼ね備えた、不思議な青年・エウメネスがいた。あの偉大なる哲学者・アリストテレスの逃亡を助けたりしながら、彼が目指していたのは、「故郷」と呼ぶカルディアの街……。のちにアレキサンダー大王の書記官となるエウメネスの、波乱に満ちた生涯を描いた歴史大作が登場!

・『中先代の乱 北条時行、鎌倉幕府再興の夢』

中先代の乱 北条時行、鎌倉幕府再興の夢

中先代の乱 北条時行、鎌倉幕府再興の夢

鎌倉幕府滅亡から二年後の一三三五年、北条高時の遺児時行が信濃で挙兵。動揺する後醍醐天皇ら建武政権を尻目に進撃を続け、鎌倉を陥落させた。二十日ほど後、足利尊氏によって鎮圧されるも、この中先代の乱を契機に歴史は南北朝時代へと動き出す――。本書は、同時代に起きた各地の北条氏残党による蜂起や陰謀も踏まえ、乱の内実を読み解く。また、その後の時行たちの動向も追い、時流に抗い続けた人々の軌跡を描く。

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