今回はデビューから現在まで勢いが止まらない、ホラー漫画界の鬼才・伊藤潤二のおすすめ作品をピックアップ！ おすすめのホラー漫画や、飼い猫との日常を描いたエッセイ漫画まで幅広くご紹介します。
名作を集めた『伊藤潤二傑作集』のなかでも、代表作「富江」シリーズや「双一」シリーズ、『首吊り気球』に「アイズナー」賞を受賞した『死びとの恋わずらい』など、選りすぐりの作品ばかりです。伊藤潤二独特の美しくてグロテスクな世界観をお楽しみください！
目次
伊藤潤二のプロフィール
・1963年：7月31日岐阜県で生まれる
・幼少期：姉の影響で楳図かずおの怪奇漫画に夢中になる。
・1984年：歯科技工士の学校を卒業した後、歯科技工士になる。
・1986年：『富江』が第一回「楳図かずお賞」にて佳作受賞し漫画家デビュー。3年後に歯科技工士を退職。
・1996年：『ネムキ』で『死びとの恋わずらい』を連載。
・1998年：『週刊ビッグコミックスピリッツ』で『うずまき』を連載。
・2001年：『週刊ビッグコミックスピリッツ』で『ギョ』を連載。
・2004年：『週刊ビッグコミックスピリッツ増刊「Casual」』で『地獄星レミナ』を連載。
・2010年：『ビッグコミック』で『憂国のラスプーチン』を連載。
・2021年：『地獄星レミナ』と『伊藤潤二短編集 BEST OF BEST』がアイズナー賞で日本人作家初の2部門同時受賞。
・2022年：『伊藤潤二傑作集 4 死びとの恋わずらい』がアイズナー賞受賞。
・2023年：Netflixにてアニメ『マニアック』配信。
・2024年：初の大型原画展「伊藤潤二展 誘惑」開催。
伊藤潤二の魅力
ホラー漫画界の鬼才・伊藤潤二。海外からの評価も高く、2022年7月にアメリカの権威ある漫画賞・「アイズナー賞」で『伊藤潤二傑作集 4 死びとの恋わずらい』が最優秀アジア作品賞を受賞しました。2018年にはテレビアニメ『コレクション』が放送され、2023年にオリジナルアニメ『マニアック』がNetflixで全世界に公開されました。2024年には初の大型原画展「伊藤潤二展 誘惑」が開催されました。
伊藤潤二の魅力はなんといっても、奇抜な世界観とそれを作り上げている卓越した画力ではないでしょうか。唯一無二の発想から生み出される不思議な設定には思わず引き込まれてしまいます。また、その奇抜な物語を美しく描きあげる画力も目を見張るものがあります。女性キャラクターの描き方もアンニュイで魅力的です。
伊藤潤二傑作集のおすすめホラー作品
『伊藤潤二傑作集』のなかから選りすぐりの7冊を厳選！ 名作はもちろんおすすめの話をピックアップしてご紹介します。
伊藤潤二傑作集 1 富江
伊藤潤二傑作集の第1弾は、仲村みう、荒井萌の主演で来春公開される映画「富江 アンリミテッド」の原作『富江』。デビュー作にして代表作。これを読まずして伊藤潤二を語ることなかれ。
何度殺してもよみがえる……魅惑の少女・富江に注目！ 有名女優を起用し、何度も実写映画化されている人気作です。
女子高生の富江は、男性を虜にしてしまう魔性の美少女。その美貌は、男性の独占欲から殺意を抱かせてしまうことも。ある日、課外授業の後に富江が行方不明になり、バラバラの死体で発見されます。しかし葬儀の翌日、亡くなったはずの富江が平然とした姿で現れ……！？
殺したはずの女性が再び目の前に現れる恐怖。シュールでグロテスクな描写に、富江の美しさが光ります。予想できない展開がおもしろい作品です。
伊藤潤二傑作集 3 双一の勝手な呪い
恐怖と笑いは紙一重。「おぼえてろよ……ホラーな目にあわせてやる……」。クギ少年双一が、ホラーな呪いで人々を恐怖におとし込む。恐ろしいけど憎めない主人公双一とその家族がおりなすホラーギャグの金字塔。双一シリーズ全作品を収録。
不気味だけどかわいい！？ 呪いをかける少年・双一のシュールさにクスッと笑えるホラー漫画。テレビアニメ『コレクション』でも取り上げられた人気シリーズです！
主人公・双一は鉄分を取るために、いつも釘をなめている変わり者。卑屈な性格で、嫌なことがあると親戚やクラスメイトをためらいなく呪います。そしてその呪いは本物の力を持っていて……！？
双一の行動は時に度を超えてしまいますが、最後は自業自得の展開に陥ります。少し怖いけど、なんだか憎めない愛されキャラの双一がクセになる！ ギャグ要素もあり読みやすい作品です。
伊藤潤二傑作集 4 死びとの恋わずらい
幼いころ住んでいた街に母と戻ってきた娘が幼なじみの少年と再会する。その街には、霧の濃い夕暮れの四ツ辻に現れる、魅惑の美少年の噂が……。ホラーコミック界の旗手・伊藤潤二の傑作。鮮烈の血しぶき絵巻、全話を一挙収録。
Netflixで配信中アニメ『マニアック』で映像化された「怪奇ひきずり兄弟」の収録巻です。ここでは表題作「死びとの恋わずらい」のあらすじをご紹介！ 2022年にアメリカの権威ある漫画賞・「アイズナー賞」を受賞した名作です。
交差点に立ち、最初に通りかかった人に、占いをお願いする風習「辻占（つじうら）」が流行する難澄市。十年ぶりに難澄市に戻ってきた中学生の龍介には、辻占で出会った女性に冷たい回答をして自殺に追い込んでしまった過去がありました。龍介が引っ越してきて以来、町では辻占で「四つ辻の美少年」に出会い自殺する人が続出。自責の念にかられていた龍介は、四つ辻の美少年を捕まえようと探し始めます。
残酷な美少年の正体は誰なのか……、恋に煩う人間の狂気が感じられる一作。美少年に焦がれた少女たちがおかしくなっていく混沌とした描写に、背筋がぞくりとさせられます。
伊藤潤二傑作集 6 路地裏
伊藤潤二の恐怖、ここにまた蘇る。4月に映画「富江 アンリミテッド」の公開を控え、シリーズはますます怪奇な方向へ。最新刊は第5弾「脱走兵のいる家」と第6弾「路地裏」が同時刊行。伊藤潤二ワールドがますます恐怖を増してゆく。
テレビアニメ『コレクション』で放送された「ファッションモデル」や名作「道のない街」の収録巻。ここでは『ファッションモデル』をご紹介します。
映画サークルに所属する大学生の岩崎は、偶然手に取ったファッション誌で見た異様な風貌のモデルが頭から離れずにいます。ある日、サークルで撮る映画のヒロインを一般公募したところ、応募のなかにあのモデル・淵の姿が……。興味本位で出演をお願いしたところ、撮影中にある事件が起こり……！？
淵さんの独特な風貌が読者の頭からも離れない！ 伊藤潤二の特色、ビジュアルの異様さが際立つ作品です。
伊藤潤二傑作集 8 うめく排水管
伊藤潤二傑作集の続巻がいよいよ登場。ホラーコミック界の旗手・伊藤潤二の傑作を集めた人気の作品集。『マツコ＆有吉の怒り新党』（テレビ朝日）でも紹介された伊藤潤二の恐怖の世界が再び蘇る！
2021年東京五輪にあわせて行われたアートプロジェクトで、東京の空に「巨大な顔」が突然出現。その景色を見て伊藤潤二のある短編を思い出す人が続出し、X（旧Twitter）上で作品タイトルがトレンド入りしました。ここでご紹介するのはその「首吊り気球」です。
遺書を残さずに首吊り自殺した人気アイドル・輝美。そして世間では輝美の巨大な頭の幽霊を見たとの話題で持ちきりになります。目撃情報は増えていき、ついには大きな顔が首を吊り上げるために街を襲い始めます。
次第に増殖する巨大な首吊り気球に恐怖が止まらない作品。ホラー漫画らしい、なんともいえない読後感が味わえます。
伊藤潤二傑作集 9 墓標の町
「マツコ＆有吉の怒り新党」（テレビ朝日系）でも紹介されたホラーコミック界の鬼才が放つ恐怖名作集第9弾！ 友人に会うために訪れた町ではそこかしこに墓が立っている。これはいったい……！？ 表題作ほか全11作を収録。
もしも、ずっと夢のなかにいられたら？ 死んで無になる恐怖か、永遠の夢か。ここでは人間の精神をテーマとした「長い夢」をご紹介します。
ある病院に、長い夢を見て困っている男性・向田哲郎が訪れます。様子を見るために病院に入院した向田。一晩で二、三日分の長さだった夢が、一年、十年と日を追うごとに長くなっていき……。一方、同じ病院に、死んで無になることを恐れる病気の女性が入院していました。そこで、医師はある恐ろしいことを行います。
ほかにもテレビアニメ『コレクション』で放送された「なめくじ少女』や「隣の窓」も収録。読み応え抜群の作品集です。
伊藤潤二傑作集 11 潰談
「マツコ＆有吉の怒り新党」（テレビ朝日）でも紹介されたホラーコミック界の鬼才が放つ恐怖名作集、最終弾！南米ジャングルから蜜壺を持ち帰った男。極上の味の蜜に人は群がるのだが……。表題作ほか全14作を収録。※『伊藤潤二傑作集11 潰談』には『闇の声』及び『真・闇の声 潰談』に掲載されているタイトルがすべて収録されております。
ここでは油がテーマの恐怖作、「グリセリド」をピックアップ！ 食事前に読むのは要注意の作品です。
父親が経営している焼肉屋の上の階に自宅がある少女・唯。焼肉屋の油混じりの煙が充満し、油まみれの家に住んでいます。その上、陰気な兄はサラダ油をのむ癖が。油嫌いの唯は、次第に油の濃度までわかるようになります……。
身近な食材「油」がテーマなだけに、想像がしやすく恐怖をかき立てられます。読んでいると胸焼けしてしまうような不快感の表現が秀逸。グロテスクな描写が好きな人にもおすすめです。
傑作集以外のおすすめホラー作品
伊藤潤二の名作・代表作から、アイズナー賞を受賞した話題作まで！ 読み応え抜群のホラー漫画を6作品ご紹介します。
幻怪地帯
2021年に刊行された伊藤潤二のホラーオムニバス作品です！ 作者は本書収録作品で初めて漫画アプリ連載にチャレンジしており、「雑誌とは違い、ページ数の制限がないため、思う存分描けた」と本作の「あとがき」で語られています。
今回は、収録作品のなかから「青木ヶ原の霊流」をご紹介。病に絶望する谷口則夫は、自殺をするために恋人の美加と富士の樹海を訪れます。そこで、霊魂が密集して移動する「霊流」を目撃。霊流に飲み込まれればあの世に行けると思った則夫は、思い切って流れに飛び込むことに。翌日、生き残っていた則夫に、ある変化が起こり……！？
霊流に入った則夫の身体に変化が起こるというスピリチュアルな展開に、どこかユーモアを感じる一作。ホラー味もありつつ、霊流パワーにあやかりたくなるような不思議な気持ちになれます。
うずまき（全3巻完結）
▼第1話/うずまきマニア:その1▼第2話/うずまきマニア:その2▼第3話/傷跡▼第4話/窯変▼第5話/ねじれた人びと▼第6話/巻髪▼あとがき●登場人物/五島桐絵（黒渦高校の生徒。本作の主人公）、斎藤秀一（桐絵の元同級生。隣町の高校に通っている）●あらすじ/女子高生の五島桐絵は、隣町の高校に通う斎藤秀一を駅に迎えに行く途中、路地に座り込んで壁をじっと見つめている秀一の父親を見つけた。彼は桐絵のあいさつにも気付かない様子で、壁にはりついたカタツムリの殻を見つめ続けていた。駅で秀一を出迎えた桐絵は、彼にさっきの出来事を話すが、秀一はその話題を避けた。公園で秀一は、自分の住む街、黒渦町に嫌悪を抱き始めていることを打ち明ける。帰り道、秀一はつぶやく。「渦…渦だ…うずまきだ…このまちはうずまきに汚染され始めている …」（第1話）。
次々に起こる「うずまき」の怪奇現象……！ 実写映画化もされた伊藤潤二の代表作です。
海辺の黒渦町に住む高校生の五島桐絵（ごしま・きりえ）は、隣町の高校に通う元同級生・秀一の父親がカタツムリを眺めている異様な光景を目撃します。父親を始め、うずまき模様に異常に執着する町の異変に気づいた秀一は、桐絵に町を出ようと提案し！？
次第に蔓延する「うずまき」により狂っていく町の人たち……。日常の何気ないうずまき模様の物が、圧倒的な画力で美しくグロテスクに描かれています。模様の気味の悪さと、シュールなおもしろさのある作品です。
ギョ（全2巻完結）
陸を歩く魚に日本中が大パニック……！ 未知なる生物に侵食されていく終末感漂うホラー漫画です。
沖縄旅行に来たカップル・忠と華織は、別荘で素早く動く足の生えた魚と遭遇。それを発端に沖縄では、次々と足の生えた魚や、巨大なサメまでもが陸上で目撃されるように……。そしてその異様な状態は日本各地へ広がります。
襲いかかる大量の異性生物に、悪臭が漂ってくるかのような不気味な描写がクセになります。2巻で完結しているので、さくっと読めておすすめです！
地獄星レミナ（全1巻完結）
我々の宇宙と別の宇宙をつなぐ「ワームホール」から出現した未知の惑星。その発見者である大黒博士は、一人娘・麗美奈の名にちなんで「レミナ星」と名付けた。この異次元惑星の発見は絶賛され、麗美奈も芸能界デビューを果たすなど、一躍時の人となる。だが、レミナ星が惑星を次々と消滅させ、地球消滅の危機が伝えられると、群衆の態度は一変し、ついには大黒親子の命が狙われる事態に…（第1話）。●本巻の特徴/スピリッツ増刊「Casual」2004年9月16日号〜2005年7月24日号に掲載された、伊藤潤二の新たなるホラー世界。ひきこもりの青年・道夫が遭遇した‘集合遺体’事件を描いた作品「億万ぼっち」（スピリッツ本誌2004年2号掲載）も同時収録。
宇宙がテーマの壮大なSFホラー！ 2021年、『伊藤潤二短編集 BEST OF BEST』とともにアメリカの漫画賞「アイズナー賞」を受賞しました。
ワームホールから突然出現したとある新星。その星を発見しノーベル賞を受賞した科学者は娘の名前からとって「レミナ星」と名付けます。自分の名前が付けられ有名人になった麗美奈（れみな）は、芸能界デビューをして時の人に。しかし、レミナ星が光速のスピードで地球に接近。不安に陥った人たちは、レミナ星を呼び寄せた元凶として、麗美奈と父を殺そうと暴徒化します。
物語は、魔女狩りを彷彿させるような恐ろしい事態へと進んでいきます。レミナ星が迫る地球はどうなるのか。先が読めないパニックホラーな展開がおもしろい作品です。
伊藤潤二短編集 BEST OF BEST（全1巻完結）
伊藤潤二氏が江戸川乱歩の短編を漫画化した『人間椅子』を始めとして、単行本未収録の10作品を掲載。書き下ろしのピンナップを含め、ファン垂涎のカラーページが満載。伊藤潤二の漫画世界が堪能できる豪華本です。
こちらも『地獄星レミナ』同様、アイズナー賞受賞作です。推理小説家・江戸川乱歩のコミカライズ作品「人間椅子」などを収録！
本作の「人間椅子」は、原作を基にオリジナルのストーリーが加えられています。もしも自分が座っている椅子のなかに人間が入っていたら……？ と想像するだけでホラーな物語。江戸川乱歩の名作を漫画で読みたい方にもおすすめです。
また伊藤潤二が影響を受けた楳図かずお作品との思い出が描かれた「楳図先生と私」は、作者のプライベートな一面を見ることができてファンには読み応え抜群！ カラーのイラストも満載なので、伊藤潤二ファンの方はぜひ。
魔の断片
「黒い鳥」など『Nemuki＋』連載された7編に、『シンカン』に掲載された「耳擦りする女」など、全8編が収録されたホラー短編集です。ここでは『コレクション』でアニメ化もされた「緩やかな別れ」をご紹介します。
父との死別を恐れて夢にうなされてばかりいた璃子は、嫁いだ先で幽霊を見ます。夫に話すと、なんと亡くなった親族を念じて呼び戻した残像で……。20年ほどで消えてしまうものの、時間をかけて別れを受け入れていくと聞いた璃子は、自身の父親の時も同じようにできないか相談することに。
死や別れをテーマにした本作。別れの辛さを優しく描く珍しさもありつつ、呼び戻すための儀式や閉塞的な一族にホラー感もしっかりと味わえます。代表作とは少し違う伊藤潤二作品を読んでみたい方におすすめです。
伊藤潤二のホラー以外のおすすめ作品
ホラーではないのに、どこかホラータッチでシュールに描かれているところが見どころ。ヒューマンドラマやサスペンス、猫のエッセイ漫画まで、おすすめの3作品をご紹介します。
人間失格（全3巻完結）
太宰治の最後の完結作品である日本文学の名作『人間失格』を、伊藤潤二が独自の表現で描きます！
本作は、作家・太宰治が愛人と入水自殺をする場面から始まり、『人間失格』冒頭の有名な一文「恥の多い生涯を送ってきました。」から主人公・大場葉造の物語が語られていきます。
他人を理解できず孤独を感じながらも、人を愛そうとした青年の、苦悩にまみれた人生が綴られた本作は、伊藤潤二のホラータッチな絵柄で、葉蔵が抱えた人間に対する絶望感がひしひしと感じられます。日本の純文学を味わいある絵で楽しみたい方におすすめです。
憂国のラスプーチン（全6巻完結）
外務省と検察の謀略を揺るがす男あり！言論界の雄・佐藤優が、天才ホラー漫画家・伊藤潤二と手を組んだ！！おまけに脚本をサポートするのは、浦沢直樹作品の共同制作者・長崎尚志。この異色の組み合わせが、外務省と検察の秘められた謀略をあぶり出します。‘外務省のラスプーチン’と呼ばれた辣腕外交官が、北方領土返還に尽力しながらも‘国策捜査’の名の下に逮捕されるところから物語が始まります。ソ連、ロシア政権上層部に最も食い込んだ西側の‘スパイ’としての活躍と、取調室で繰り広げられる東京地検特捜部エリート検事との壮絶な闘いを描きます。連載当初から賛否両論の嵐だったのですが、厚労省・村木局長の無罪判決、大阪地検特捜部の前田検事逮捕など、世間の情勢も追い風となり、本作品への関心・支持が高まっています。社会問題に関心の強い読者から、もっと外務省や検察の本質に迫ってくれとの激励も多く、これまでの小学館コミックの中でも異彩を放つ作品となっています。
実話を基にした本格社会派漫画！
身に覚えのない罪で逮捕された外交官の憂木衛（ゆうき・まもる）。マスコミから「外務省のラスプーチン」と不名誉な呼び名を付けられ、不当な取り調べを受けることに……。無実を証明するために、512日におよぶ戦いが始まります。
原作は元外務省の佐藤優による実体験。それを『20世紀少年』などで有名な浦沢直樹の共同制作者・長崎尚志が脚本を担当。伊藤潤二の高い画力で描かれる、政治に切り込んだ本格サスペンスです。
伊藤潤二の猫日記 よん＆むー（全1巻完結）
ホラー漫画家・伊藤潤二のお笑い猫マンガ！ 笑いと恐怖は紙一重、愛猫のコワかわいさにおののいちゃってください！！ 実話エッセイコミックなのにギャグ漫画。こんな強烈な猫マンガ、他じゃ見あたらんよ。伊藤潤二ファン、必読の1冊ですヨ〜。
伊藤潤二の意外な一面が見えるエッセイ漫画です。
新居を購入し、婚約者A子さんと住み始めた作者。A子さんの実家で飼っている、呪いの顔の猫・よんを迎え入れることに。さらに子猫のむーも加わり、初めての猫ライフが始まります！
猫漫画といえば、柔らかいタッチで描かれ、ほのぼのとした作風が多いのが特徴。しかし本作ではかわいい猫たちもホラー漫画風に。おどろおどろしい劇画調タッチで描かれ、そのシュールさに笑わずにはいられません。猫好きのホラーファンにもおすすめです！
ファン必見！伊藤潤二デビュー30周年を記念した超豪華作品
伊藤潤二のデビュー30周年を記念して刊行された、伊藤潤二ガイド集とも言える1冊からおすすめの短編をご紹介します。唯一無二の世界観を創り上げるまでに至った、人生を語るロングインタビューも掲載されているのでファン必見です！
伊藤潤二研究 ホラーの深淵から
2018年1月7日からテレビアニメ（TOKYO MX）の放映も決定し、ますます注目を浴びるホラー漫画界の異才・伊藤潤二。その作品世界を網羅した完全読本が画業30周年を記念して発売。ロングインタビュー、単行本未収録作品、特別寄稿の記事など豪華掲載！！
伊藤潤二本人へのロングインタビューや諸星大二郎との対談記事、高橋留美子などの名作家陣による特別寄稿など、伊藤潤二のことを余すことなく知る事ができるファン必見の一冊！ 単行本未収録の作品も4編収録されています。ここではその中からイチオシの1作、「恐怖の重層」をご紹介します。
小さい頃から母に可愛がられていた麗実。ある日、姉の運転する車に乗っていたところ事故に遭い、顔の皮膚がめくれてしまいますが下から美しいままの顔が表れ……？ 検査の結果、年齢の枚数だけ皮膚が何層にも重なっていることを知った母は、幼い頃の彼女に焦がれ恐ろしい行動を起こします。
「恐怖の重層」は、NHK Eテレのテレビ番組「浦沢直樹の漫勉」2017年3月放送回で、制作現場への取材が入った際に登場した作品です。プロットからシナリオ、さらにはネームといった貴重な制作過程も同時に掲載されているのもうれしいポイントです。
終わりに
ホラー漫画界の鬼才・伊藤潤二の作品のなかからおすすめをご紹介しました。美しくて奇抜な唯一無二の世界観は、怖いと同時に強力な魅力を備えています。読みやすい短編作品が多いので、たくさん読んでみてお気に入りを探してください。
■伊藤潤二の作品一覧はこちらから
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