怖いとわかっていながらもついついページをめくる手が止まらない……。ホラー漫画は、そんなスリリングな展開がクセになる、人気ジャンルの一つです。
そこで今回は、年間1,000作品近く漫画を読んでいるDMMブックスの書店員が、おすすめの名作ホラー漫画を10作品厳選！ 約60年前のレジェンド的作品や、何度も映画化された人気作、最新作までを取り揃えました。魂から震え上がるような恐怖を描いた作品をご紹介します。
目次
話題の人気ホラー漫画！
古典的なホラーの伝統を踏まえながらも、新たな味つけでホラー漫画の可能性を拓く話題の人気作を3作品ご紹介します。
うなぎ鬼（全3巻完結）
借金地獄の男が知ることになる、真の地獄——。
借金に追われていた倉見勝（くらみ・まさる）は、やくざ者の千脇に拾われて、裏社会で生きていくことになります。ある日彼は、貧困街の黒牟（くろむ）にあるマルヨシ水産に、「人間一人分ほどの重さのコンテナ」を運ぶ仕事を任されます。そのことをきっかけに、彼は見てはいけない人間の闇を知ることに……。
それぞれが抱えた事情で、一般社会から離れて生きている人々がリアルに描かれます。気弱で純朴な男が裏社会に引き込まれていく様子に、じわじわと恐怖が迫ります。そしてついにある罪を背負うことになった倉見の行く末は……？ 本当に怖いのは人間だと教えてくれる、サイコホラーの傑作です。
サユリ （全2完巻結）
長年の念願が叶い、ようやく築40年の一軒家を手に入れた神木家。しかし、そこからが恐怖の始まりでした。最初に父が死に、弟が行方不明に。やがて祖父や姉さえも次々に謎の死を遂げていき……。そして、長男・則雄は同じ学校の住田奈緒に、女性の霊が見えると告げられ……。
『ミスミソウ』や『おののけ！ くわいだん部』の作者・押切蓮介が手がけるホラー漫画です。1970年代にブームになった『悪魔の棲む家』『オーメン』などの一軒家で起こるホラー映画を彷彿とさせる本作。下書きなしで描く独特のタッチがさらに恐怖をあおります。
背筋の凍る恐怖の展開から一転、後半では勢いのあるサスペンスストーリーが待っており、その落差も大きな魅力です。
火葬場のない町に鐘が鳴る時（全14巻完結）
人口6000人、山あいの小さな町・みとず町。その田舎町では夕方6時になると不協和音の鐘が鳴り響く。その音が聞こえたら、夜明けまで決して外に出てはいけない。だが、10年ぶりに東京からこの町に戻ってきた勇人は、この掟を知らずに破ってしまう。そこに現れたのは、冥奴様と呼ばれる得体の知れない化け物だった。PC＆スマホ漫画雑誌『ヤンマガ海賊版』発のサスペンスホラー！！
主人公・卯月勇人（うづき・ゆうと）は、父親の転勤で、かつて生まれ育ったみとず町へ10年ぶりに戻ってきました。彼は幼なじみの豊橋咲（とよはし・さき）との再会を喜びますが、二人は「6時の鐘が鳴ったら、夜が明けるまで外に出てはいけない」という掟を破ってしまい、謎のバケモノ「冥奴様（めいどさま）」に襲われて……！
閉鎖された田舎町で絶望的な戦いが繰り広げられる、ジュブナイルホラーです。もう一人の幼なじみ・山神龍児（やまがみ・りゅうじ）との三角関係要素も入り混じりながら、冥奴様の正体を巡る壮大な物語が繰り広げられます。極限状況で展開される登場人物たちのドラマにもご注目。
不朽の名作！ おすすめ名作ホラー漫画
ここでは名前を聞けば誰もが知っている巨匠の名作や、映画化もされた人気作品をピックアップ。まだ読んだことがない人は、これを機会に手にとってみてはいかがでしょうか。絶対保証付きの恐怖を味わえる、不朽の名作ホラー漫画7作を紹介します。
恐怖（全2巻完結）
みやこ高校新聞部に所属する二人の恐怖体験を、1話完結で綴った作品です。作者は「ホラー漫画の神様」とも呼ばれる、『漂流教室』の楳図かずお。
60年代のきっちり整ったコマ割りの中に、突然大写しになる魔物たちのおぞましい姿は圧巻。得体の知れない存在に襲われて、クラスメイト、教師、関係者が次々と犠牲に……。それでも次の回の冒頭では毎回何ごともなかったようにエミ子と夏彦が学校に通うのはご愛敬。鏡・面・木・目・など日常のどこにでもあるものも、恐怖を駆り立てる要素として作り込まれた作画は必見です。
【毎日￥0】不安の種（全3巻完結）／不安の種＋（全4巻完結）／不安の種＊
あなたのすぐ側に怪異は存在する。暗い夜の道ばたに、部屋の片隅に、誰にでも一つ二つは背中がゾクっとするような、この世のものではない存在の気配を感じたことがあるのでは？
「不安の種」シリーズはそんな普通の人が出くわした、ちょっとした、けれども確かに得たいの知れない恐怖のエピソードを集めたオムニバス漫画です。2013年には実写映画化されていて、ポスターにも描かれた「オチョナンさん」のエピソードは『不安の種＋』に掲載されています。
第3弾『不安の種＊』は2023年9月時点で好評連載中。一つ一つのエピソードが短いので長編漫画が苦手な人にもおすすめです。
ひぐらしのなく頃に 鬼隠し編（全2巻完結）
寒村・雛見沢で楽しく生活していた少年・前原圭一は、平和なこの村で起きたバラバラ殺人の事を知る。そしてその事件は、「オヤシロさまの祟り」と呼ばれる奇怪な連続怪死事件に繋がっていたのだった…。謎と恐怖でネット界を揺るがした同人ノベルゲーム、そのプロローグ・シナリオの「鬼隠し編」をコミック化！！
田舎町・雛見沢に転校してきた中学生・前原圭一。すぐに町に馴染んだ圭一ですが、あるとき村で起こった連続怪死事件や失踪事件を知り、村の伝説「オヤシロさまの祟り」と繋がっているのではと疑いはじめます。
2006年にはアニメ化もされた人気同人ゲームシリーズのコミカライズ！ 萌え系の絵柄で美少女とのイチャイチャシーンから一転、事件について調べている圭一に気付いた同じクラスの竜宮レナや園崎魅音が豹変し、ミステリー・サスペンスの世界に入っていくバランスが絶妙です。
本作「鬼隠し編」は全8シリーズの第1弾。ストーリーにいくつもの謎が隠された、考察好きにはたまらない作品で、全作を読み通すことで全ての真相が明らかになります。本作を読めば壮大な「ひぐらし」沼にはまることまちがいなし！
恐之本（全10巻完結）
高港基資が描くホラーの傑作選集。どこにでもある日常に訪れる、身の毛もよだつ恐怖体験の数々が収められています。ギョッとする異形のモノが描かれることもあれば、狂気に犯されたおそろしい人間が描かれることも。
事故物件や先祖から続く縁、安く買えた中古車、幼少期に住んでいた家、帰り道で出会った人など、「もしかしたらいつか自分にも……」と思わされるような絶妙なリアリティと、インパクト大のホラー演出が魅力です。背筋が冷えるおどろおどろしい展開をお楽しみください。
伊藤潤二傑作集 1 富江
伊藤潤二傑作集の第1弾は、仲村みう、荒井萌の主演で来春公開される映画「富江 アンリミテッド」の原作『富江』。デビュー作にして代表作。これを読まずして伊藤潤二を語ることなかれ。
殺しても絶対に蘇る、日本ホラー漫画史上最凶の女性……。
女子生徒・川上富江がバラバラ死体となって発見されます。事件の目撃者はおらず、犯人はわからないまま。ところが翌日、富江は平然と教室に戻ってきて……。
ホラー漫画界の鬼才・伊藤潤二の代表作で、何度も実写映画化されている名作です。関わる男性がつい殺意を抱いてしまうほどの魔性の魅力を持つ富江。グロテスクな描写と読めない奇妙な展開が人気のホラー漫画です。
終わりに
今回は、ホラー漫画の名作をご紹介しました。中でも人気作は、長期シリーズ化されているのも特徴です。気に入った作家やシリーズを制覇していくのもおすすめ！ 身の毛もよだつような恐怖を味わってみてください。
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