人里離れた寒村、離れ小島、教室……ホラー漫画の舞台になる場所はさまざま。閉ざされた空間の中で殺人鬼が次々と人々に襲いかかるというのもホラーの定番です。今回はその中でも、ミステリー要素がたっぷり入ったサスペンスホラーを、年間1,000作品近く漫画を読んでいるDMMブックスの書店員が厳選してご紹介します。リアルなグロテスク描写がおぞましい作品や、謎が謎を呼ぶ展開で読者を飽きさせない名作など幅広くピックアップしました。
計算し尽くされたストーリー展開で、多くの作品が映画化・アニメ化されているのも特徴のサスペンスホラー。読んでから観るか、観てから読むか。映像作品と原作の比較もぜひおすすめです。
目次
狂気に満ちたおすすめサスペンスホラー漫画
殺人鬼や人喰い伝説などを描いたサスペンスホラーの2作品をご紹介します。登場人物の過去の背景までしっかり描いているため、現実にはありえないような狂気に満ちた場面にも説得力が感じられます。
新装版 ミュージアム 完本(全2巻完結)
ある事件の裁判に関わった裁判官や裁判員が次々に無残に殺害されていくーー。連続猟奇サスペンスホラー!
主人公の刑事・沢村久志の妻もその裁判員の一人で、猟奇殺人鬼のカエル男に捕まってしまいます。沢村は妻子を助け出し、カエル男を逮捕できるのでしょうか?
カエル男は殺人を芸術品とする狂った殺人鬼です。今回の「完本」ではカエル男の視点からの前日譚も追加されています。グロテスクな描写も攻めているので、苦手な方はご注意ください。
ガンニバル(全14巻完結)
圧倒的な緊迫感で放つ、恐怖の村八分サスペンス漫画!
駐在として供花村に赴任してきた阿川大悟。住民に快く受け入れられたと思っていましたが、ある日発見された老婆の遺体と住民の態度に違和感を覚えます。彼が気づいてしまったのは、「人を喰う村」という可能性……。恐怖を感じた大悟は村から逃げようと考えますが、既に遅し。親切だった村人はてのひらを返したように大悟家族に冷たい態度をとるように……。
カニバリズムを題材に、村人と駐在一家の対立を描きます。村人から受ける村八分の制裁が、大悟達を心理的に追い込んでいきます。さらに大悟と家族の辛い過去が描かれるなど、人間ドラマとしても読み応え充分のサスペンスです。
不気味さがつきまとうサスペンスホラー漫画
舞台は昭和チックな片田舎。いつも一緒だった幼馴染みがいつの間にか異形のものに……先祖代々の言い伝えが現代に蘇り、主人公の前に立ちはだかる。という共通の設定が印象的なサスペンスホラー2作品をご紹介します。
光が死んだ夏
あなたの親友は本当に人間ですか?
田舎町に住む少年・よしきは、山奥で一週間行方不明になった親友・光が帰ってきたときには光ではない何かにすり替わっていると気がつきます。しかし、徐々によしきは光もどきが持つ闇の世界に引き込まれていきーー。
光もどきの身体が裂けて広がる闇が不気味でいながら、きれいです。「シャワシャワシャシャ」というセミの声が夏のじめっとした雰囲気を盛り上げています。連載開始以来。あっという間に人気作になった新鋭・モクモクれんの話題のサスペンスホラー漫画をぜひお楽しみください。
サマータイムレンダ(全13巻完結)
2022年4月にテレビアニメ化された話題の作品です。
舞台は和歌山県の架空の離島・日都ケ島(ひとがしま)。主人公の網代慎平は、幼なじみが亡くなり、2年ぶりに故郷の日都ケ島に戻ります。水難事故のはずが、浮上する殺人疑惑。自分の影を見たら殺されるという村の伝説。不穏な要素に緊張感が高まりつつ、物語は思わぬ方向に動き出します。
謎が謎を呼ぶサスペンスホラーを味わいながら、謎の存在「影」との戦いとのバトル要素も見応えがある本作。伏線も張り巡らされているので、考察しながら作品を楽しみたい方にもおすすめです。
おすすめの復讐サスペンスホラー漫画
たった一人の大切な人を奪われた悲しみを憎しみにかえて復讐する。現代に蘇った仇討ちホラー漫画を1作品ご紹介します。
怨讐のレプリカ(全5巻完結)
化け物と身体が入れ替わる、復讐ホラーサスペンス!
ある日現れた小さな化け物は、物静かな少年・トキの身体機能を徐々に奪い取っていきます。最初は化け物にとって都合が良いだけの存在だったトキですが、暮らしていくなかで友情が芽生えていきます。しかし、歪ながらも平和な二人の日常に突然惨劇が訪れるーー!
とにかくまず一話を読んで見て欲しい、驚愕のホラーサスペンスです。冒頭の化け物とトキとのほのぼのとした雰囲気と、復讐劇以降のハードな戦いのギャップが印象的です。
映画化された人気のサスペンスホラー漫画
映画化もされて大ヒットしたおすすめサスペンスホラーを3作品ご紹介します。漫画と映画版の違いもぜひ楽しんでみてください。
Another(全4巻完結)
謎の美少女は自分だけしか見えない存在? 山崎賢人や橋本愛など人気キャストを起用し2018年に実写映画化されました。
榊原恒一は、夜見山北中学校の3年3組に転校します。早速親しくなった女生徒・見崎鳴(みさきめい)は、教師からも生徒からも存在しないように扱われています。実は、3年3組は26年前の事件以来、「存在しない者」(生け贄)をクラスに置くことで災厄を避けていました。しかし恒一が鳴と話をしたせいで、災厄が再び3年3組を襲います。
クラスに関わる人が次々と奇怪な死を遂げ……回を追うごとに3年3組の過去と災厄の理由が明らかになっていくーー。ミステリー作家・綾辻行人が原作の学園ホラーのコミカライズです。最後に謎が解けた時、きっと切なくなるでしょう。
さんかく窓の外側は夜(全11巻完結)
繊細で不器用な人間ドラマを描き漫画賞をマンガ大賞に2019年、2020年と連続ノミネートされた『違国日記』の作者・ヤマシタトモコが描くミステリーホラーです。2020年に岡田将生や志尊淳など豪華キャストで実写映画化されました。
三角康介(みかど・こうすけ)は、幼い頃から死人が見える特異体質の怖がりな青年。除霊師の冷川理人(ひやかわ・りひと)に能力を見抜かれて、除霊の手伝いをすることに。やがて心霊探偵コンビとして、連続殺人事件の謎を追っていきます。
ホラー描写に加え、急展開なストーリーと主人公二人の絶妙な関係性に引き込まれます。霊や呪いを扱いながらも、やさしい絵柄のおかげでオカルトが苦手な人でも楽しめるホラー漫画です。
悪の教典(全9巻完結)
密室化した学校で繰り広げられる殺戮! 人間の中に潜む悪を巧妙に描く人気作家・貴志祐介のベストセラー小説『悪の教典』を忠実にコミカライズした作品です。2012年に伊藤英明主演で映画化されました。
端正なルックスに明るくフランクな人柄で、同僚や生徒からも慕われている理想の教師・蓮実聖司(はすみ・せいじ)。問題を次々と解決しますが、ときには手段を選ばない場合も。しかし、完璧な教師には恐ろしい裏の顔がありました……。
狂気的なサイコキラーの思考と、驚くべき行動に引き込まれる本作。歪んだ人間が巻き起こす恐ろしさをご堪能ください。漫画版は、より大殺戮に至るまでのプロセスが丁寧に描かれています。
終わりに
今回は、キャラクターや事件の背景がしっかり作り込まれているサスペンスホラー漫画をご紹介しました。邪悪な登場人物や、殺人鬼やモンスターにもつい感情移入してしまうことも……ハマり過ぎて、暗黒の世界に引きずり込まれないようにご注意ください。
DMMブックスには、無料で試し読みできる作品や、キャンペーン中の電子書籍がたくさんあります。ぜひ、お気に入りの一冊を探してみてください!
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