2023年7月27日に『黒執事』第33巻が発売されました。1年ぶりの新刊にくわえ、テレビアニメの新シリーズ制作も発表され、大きな盛りあがりを見せています。
美しい服装や細やかな舞台設定、ギャグとシリアスが入り混じったダークファンタジーとして15年以上続く人気作『黒執事』。今回は、長年多くのファンを獲得してきた本作の魅力を、全巻読破したどくしょ部編集部員がおさらい! 原作漫画のあらすじやこれまでのアニメシリーズに関する情報をご紹介します。あらためて最新刊まで追いたい方、新シリーズに向けたアニメの予習をしたい方はぜひ読んでみてください。(※本記事では一部ネタバレを含みます。)
目次
『黒執事』のあらすじ
舞台は19世紀末の英国。名門貴族ファントムハイヴ家の当主シエル・ファントムハイヴと、主人の命令は全て完璧にこなす「悪魔で執事」のセバスチャン・ミカエリスを主軸に物語は進みます。
ファントムハイヴ家は、裏社会の秩序を守る「女王の番犬」として政府からの汚れ仕事を請け負う存在。しかし、物語がはじまる3年前にファントムハイヴ家は何者かに襲撃され、シエル以外の家族は全員死亡、自身も誘拐されてしまいます。その際にシエルは悪魔であるセバスチャンを召喚し、契約を交わします。誘拐先から戻ったシエルは爵位を取り戻し、12歳という若さで一族の使命を受け継ぎながら、一家が襲われた真相を追っていくことになります。
33巻まで続く長編シリーズの中でも、最新刊までの物語で特に押さえておきたいエピソードを二つおさらいしておきましょう。
以下、本記事では最新刊までの要点について言及しています。ネタバレにご注意ください。
①葬儀屋(アンダーテイカー)と動く死体
一つ目は、豪華客船編にあたる11巻から。シエルとセバスチャンの出会いが回想の中で描かれた重要な章でもあります。
非合法な人体実験による死者蘇生の話を聞きつけたシエル。セバスチャンの調査により、医師のみで秘密裏に結成された暁学会の情報を手に入れます。二人は豪華客船カンパニア号で行われる暁学会の集会へ潜入しますが、人体実験によって蘇生された死体が、船に乗る人々を襲いはじめます。
暁学会と手を組んでいたのは、ファントムハイヴ家と繋がりのある葬儀屋(アンダーテイカー)でした。その上、葬儀屋は人間ではなく死神だったことが判明します。カンパニア号自体が死者蘇生の結果を試すために仕組まれた場所でした。二人の活躍により、様々な謎を残したまま葬儀屋は逃亡、カンパニア号は沈没します。
本エピソードは2017年に『劇場版「黒執事 Book of the Atlantic」』としてアニメ映画化されました。
②もう一人のシエル・ファントムハイヴの登場
第23巻から始まる青の教団編では、豪華客船編で触れられた死者蘇生の謎にまた一歩近づきます。
シエルとセバスチャンは毎週大規模なパーティーが開かれるスフィア・ミュージックホールを調査します。パーティーの裏では人々からの血液採取が行われていたことが判明。その中で多くの死者が出ていることを突き止めた二人は、ミュージックホールを機能しないように仕向けます。しかし、事件を解決して屋敷に戻った二人を待っていたのは、シエルとうり二つの人物でした——。
注目ポイントは26巻129話からのエピソード、遂に描かれるシエルの過去です。ここで明かされる事実、それはシエルに双子の兄がいたという事実。実は、双子は二人同時に誘拐され、兄が凄惨な儀式の生贄によって惨殺。セバスチャンは兄の魂を生贄に召喚されたのでした。弟は死んだ兄の代わりに「シエル」として伯爵の地位を継ぐと誓います。
しかし、その裏で「本物のシエル」である死んだ兄は、葬儀屋によって保護され、死者蘇生実験の中で調整を加えられ続けていました。スフィア・ミュージックホールで行われていた血液採取は、血液を作ることができない兄の身体に継ぎ足すためものだったのです。
兄の策略によって、ミュージックホールでの事件の罪状などを着せられ、「シエルの偽者」として屋敷を追われることになったシエル。彼はセバスチャンと共に、使用人や仕事相手の中国貿易会社・英国支店長の劉(らう)の手を借りながら「伯爵」の地位を取り戻すために動きます。
『黒執事』アニメシリーズについて
原作の大事なポイントを見てきましたが、アニメも忘れてはいけません。アニメの内容が収録されている巻数のまとめと、7月4日に発表されたアニメ最新作に関する情報を見ていきましょう。
これまでのアニメシリーズ一覧
・第1作:テレビアニメ第1期
内容:原作の第1巻~第4巻収録(一部アニメオリジナルストーリー含む)
・第2作:テレビアニメ第2期
内容:アニメオリジナルストーリー
・第3作:テレビアニメ第3期:『黒執事 Book of Circus』
内容:原作の第5巻~第8巻収録
・第4作:OVA『黒執事 Book of Murder』
内容:原作の第9巻~第11巻収録
・第5作:『劇場版黒執事 Book of the Atlantic 』
内容:原作の第11巻~第14巻収録
10年ぶりのアニメ新シリーズ制作決定!
テレビアニメシリーズとしてはなんと約10年ぶり! 2023年7月4日に待望の最新作について発表がありました。
放送予定時期は2024年。メインキャストについてはこれまでのシリーズ同様、セバスチャン・ミカエリスを小野大輔、シエル・ファントムハイヴを坂本真綾が務めます。さらに監督は『3月のライオン』の演出・岡田堅二朗。シリーズ構成はこれまで『黒執事』アニメシリーズに携わってきた吉野弘幸、音楽は『Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-』の川﨑龍、制作は『SPY×FAMILY』や『ホリミヤ』などの名作を手がける『CloverWorks』といった、豪華制作陣となっています。
内容についての詳細はまだ発表されていませんが、劇場版の豪華客船編以降となれば、原作漫画第14巻からはじまる寄宿学校編では、との期待が高まっています。
1年ぶり! 最新33巻の内容は?
2023年7月27日には、1年ぶりとなる最新刊が発売されました。
本物のシエルが戻ってきたことで屋敷を追い出され、劉(らう)の元に身を隠すことになったシエルたちは、「伯爵」の地位を取り戻すための行動を起こします。
兄が動くために必要な血液の回収先がほかにもある可能性を考え、怪しい施設を洗い出し供給源を断っていくことに。第31巻からは使用人のバルドと劉が、暁学会に所属していた医師が多数勤務する退役軍人療養所に潜入。しかし、不用意に命を奪うことをためらうバルドと、シエルの命令通り始末しようとする劉で意見が割れます。療養所での潜入作戦はどうなるのか、注目の第33巻です!
終わりに
英国という華やかな舞台設定だけでなく、約10年にわたり張り巡らさせた細かな伏線の数々で読者を魅了し続ける『黒執事』。今回はおおまかなストーリーの流れと最新刊について紹介してみました。そのほかにもシエルがセバスチャンと交わした契約の内容、物語に深みを持たせるキャラごとの背景など、見どころの尽きない名作です。物語も大きく進み、アニメ化も控えた『黒執事』から、今後も目が離せません!
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