原作通りの漫画化よりも、もっと個性的な作品を読みたい。そんな方のために、今回は年間1,000作品近く漫画を読んでいるDMMブックスの書店員が、名作コミカライズ作品を8作ピックアップしました。
世の中にあまたあるコミカライズ作品。今回とりあげたのは、ストーリーのアレンジや絵面の創意工夫など、独自の視点から漫画化されたものばかり。原作にとらわれない自由すぎるアレンジが光る傑作の数々をお楽しみください。
目次
オリジナリティたっぷり 名コミカライズ漫画5選
独特の読後感を誇る『人類は衰退しました』、『花とアリス殺人事件』。そして2023年を代表する勢いで人気を集めている『追放されたチート付与魔術師は気ままなセカンドライフを謳歌する。』など名コミカライズ作品5作品をご紹介。いずれも独自のアレンジはあれど、当然原作を深く読み込んだ上で丁寧に描かれた漫画ばかりになります。
人類は衰退しました(全1巻完結)
アニメ化もされたライトノベル『人類は衰退しました』のコミカライズです。人類が滅亡し、地球は不思議な「妖精さん」のものになってしまったという原作の世界観を、月刊IKKIにて連載された本作では原作・アニメともまったく違う自由な解釈で描いています。
作者の見富拓哉は、けむほこ名義で『アイカツ!』の二次創作を行っており、そちらでも熱狂的なファンに支持されています。コミティアで発表されるような、独創的な一次創作が好きな方におすすめです。
花とアリス殺人事件(全1巻完結)
石の森中学校3年2組の生徒達に忌避の存在とされている13番の席。そこには去年「ユダ」と呼ばれる少年が死んだという噂がありました。噂に潜む謎に、主人公・有栖川アリスと、不登校のクラスメイト・荒井花が挑みます。
岩井俊二による長編アニメ映画作品『花とアリス殺人事件』を、道満晴明が独自にコミカライズ。漫画ならではのオリジナルキャラクター、そして描かれなかったオリジナルエピソード……。自由な解釈で任された道満晴明のドライなタッチが岩井俊二の情感たっぷりな原作と化学反応を起こし、独特の味わいを生み出しています。
風太郎不戦日記(全3巻完結)
『甲賀忍法帖』や『魔界転生』の山田風太郎の日記文学を、個性派作家・勝田文がコミカライズ。
太平洋戦争末期の日本。召集を見送られた東京の医学生・山田誠也が、「恐るべきドラマチックな一年間」を体験していくさまを描いた作品です。原作ではわずか数行にも満たない情景描写を膨らませ、綿密な取材と資料を基に戦時中の東京を緻密に描き出しています。
見どころは、勝田文によるユーモラスなタッチ。どこか悲壮的なものになりがちな戦時下を描いた作品でありながら、さらりと読ませる力量を見せつけています。淡々と芸術に触れながら日々の幸せを享受していく主人公の姿勢に、不思議と勇気をもらえます。
追放されたチート付与魔術師は気ままなセカンドライフを謳歌する。 〜俺は武器だけじゃなく、あらゆるものに『強化ポイント』を付与できるし、俺の意思でいつでも効果を解除できるけど、残った人たち大丈夫?〜
大胆な原作のアレンジで話題を呼んでいる、チート系異世界作品のコミカライズです。ラフな絵柄から繰り出される毎ページごとの壮絶なギャグ展開は驚きのひと言! コミカルかつエッジの効いたキャラクター造形が癖になります。
怒濤のギャグのなかにも、ホロリと泣かされる展開もある本作。3巻まで読めば、全員のキャラクターが好きになること間違いなし。
天気の子(全3巻完結)
あの新海誠の大ヒット作をコミカライズ。漫画化を担当したのは、アフタヌーン四季賞受賞の作家・窪田航です。
映画の内容そのままのコミカライズでもなく、かといって大幅な改変を施しているわけでもありません。漫画だからこそ描ける細やかな人物描写を追加するなど、確かな演出に裏打ちされた丁寧な作品です。映画を深く理解できる良質なコミカライズ作品としておすすめです。
あの名作をあの漫画家がコミカライズ!? 驚きの3選
もはや原作とは何か考えさせられる漫☆画太郎『星の王子さま』、独自の視点が光りすぎる『楳図かずおの「ウルトラマン」』など、名作を名漫画家が手がけたコミカライズ3作をご紹介。
All You Need Is Kill(全2巻完結)
「ギタイ」と呼ばれる怪物との戦闘を繰り返している人類。主人公・ケイジは最前線へと送られ、出撃しては戦死する同じ1日を何度も繰り返す、タイムループに囚われてしまうことになります。
トム・クルーズ主演で実写映画化もされたSFライトノベルの名作が、『DEATH NOTE』の小畑健によってコミカライズ。複雑だった原作の設定をしっかり説明しつつ、圧倒的な画力で迫力あるアクションを描きだしています。
映画版と異なる丁寧かつビターなラストに驚かされること間違いなし。原作・映画どちらのファンでもぜひ読んでいただきたいです。
星の王子さま(全6巻完結)
あのサン=テグジュペリの名作を、漫☆画太郎が漫画化した作品です。ジャンプ+で掲載されるや即話題を呼んだ『漫古☆知新』や漫F画太郎名義でのドストエフスキー原作『罪と罰』など、数多くの原作付き作品を発表している漫☆画太郎。いずれも豪快な解釈と原作の読み込みに驚かされます。本作『星の王子さま』も小ネタの数々が仕込まれておりサン=テグジュペリファンの方は、きっとニヤリとしてしまうでしょう。
唐突な社会批判も原作の精神通りなのかと疑わずにはいられない? どこまでがオリジナルなのかわからなくなります。原作への大胆なアプローチと原作愛が両立している希有な作品です。
楳図かずおの「ウルトラマン」(全2巻完結)
あの『ウルトラマン』を、あの楳図かずおが大胆にコミカライズ。1966年のウルトラマンTV放映と同時に連載された作品です。
人々が寝静まった夜にバルタン星人がガソリンを飲み干すさまや、バルタン星人に取り憑かれた人々のパニック描写など、怪獣の怪奇描写が楳図かずおの世界観で恐怖たっぷりに描かれています。楳図かずお作品のモチーフも多数見られるのもうれしいポイント。奇妙で怪奇ムードたっぷりなコミカライズが読みたい方にぜひおすすめの作品です。
終わりに
異色コミカライズ漫画特集はいかがでしたか? どれも原作を尊重した上で丁寧に描かれた漫画ばかりです。原作を知らなくても楽しめるものばかりなので、気になった作品があればぜひ読んでみてください!
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