『週刊少年マガジン』で連載されていたコミカライズ版『化物語』の完結22巻が5月17日に発売されました。原作は西尾維新の小説シリーズ。アニメ化もされた人気作で、原画は『エア・ギア』『バイオーグ・トリニティ』の大暮維人が担当しています。
漫画版『化物語』の特徴は、原作からの大幅なアレンジ。この記事では、年間1,000作品近く漫画を読んでいるDMMブックスの書店員が、漫画版にしかない魅力を掘り下げていきます。

戦場ヶ原ひたぎ。阿良々木暦がある日受け止めた少女。そう、彼女の体には―体重がなかった。1匹の’蟹’に行き遭い、体重を根こそぎ持っていかれていた。化物は、はじめからそこにいる。いつも。どこにでも。『掟上今日子の備忘録』西尾維新×『エア・ギア』大暮維人で贈るこれぞ新たな怪異! 怪異! 怪異! 新しく、今巻き起こる〈物語〉!漫画『化物語』完結!! 激しい戦いを乗り越えた暦は、ついにひたぎとの約束の時を迎える。満天の星のもと、二人は――。西尾維新書き下ろし短々編「つきひエンドレス」、西尾維新×大暮維人による特別往復書簡を収録! 大暮維人描き下ろし本編&限定カラー口絵ページ収録! 特別寄稿「化物画廊」 (兼田彌生[Veia]/しらび/鈴木央/深崎暮人/つるまいかだ/夢乃狸/岩崎優次/VOFAN/大暮維人) カラーイラストカード9枚封入!
目次
『化物語』と〈物語〉シリーズ
『化物語』をはじめとする〈物語〉シリーズは、西尾維新が手がける現代伝奇ファンタジーです。吸血鬼もどきの高校生・阿良々木暦(あららぎ・こよみ)と周囲のキャラクターたちが遭遇する、怪異に関する事件を描いています。
2023年5月現在、原作小説のシリーズ累計数は30冊!(※DMMブックスでは『化物語(上)』『化物語(下)』の2巻が3分冊となっているため30冊になっています)
・高校2年の春休みから高校3年の夏休み頃までを描いた「ファーストシーズン」6巻(電子書籍版は7巻)
・2学期以降から阿良々木暦の卒業後のエピソードを、時系列をシャッフルしながら描いた「セカンドシーズン」6巻
・阿良々木暦のバックボーンや彼に立ちはだかる最大の危機を描いた「ファイナルシーズン」6巻
・ファイナルシーズン以降のエピソードや、阿良々木暦の社会人編などを描いた「オフシーズン」4巻
・大学に進学した阿良々木暦に降りかかる事件を描いた「モンスターシーズン」6巻
・西尾維新の別作品とのクロスオーバーを描いた『混物語』1巻
・2023年5月17日発売の『戦物語』1巻(5月16日時点の情報)
と、2006年に刊行がはじまってから十数年かけて大長編シリーズに成長しました。
漫画版最大の特徴「原作アレンジ」
漫画版『化物語』の魅力は、大幅なアレンジが加わったことで原作・アニメどちらとも異なる新しい「物語」が生まれていること。アレンジポイントは、大きく3つに分けられます。
1.原作の行間を埋める設定追加
漫画版『化物語』は、「小説で描かれなかった設定」が織り込まれているのが特徴の一つ。
わかりやすいのは戦闘シーンです。たとえば、漫画第8巻収録「なでこスネイク」で、阿良々木は腕から2本のブレードを出して神社に現れた怪異と戦います。ですがそんなシーンは原作にもアニメにもありません! 本稿を執筆しているどくしょ部員もはじめて読んだときは衝撃を受けました。その他、「阿良々木暦が周囲から浮いている」という設定も、漫画版では「周囲からものすごく怖れられている」という描写で補完されています。
原作にはないアレンジを加えつつ、それを絵面のかっこよさでしっかり勢いよく描いている……。スタイリッシュなアクション漫画を数多く手がけてきた大暮維人の面目躍如です。ちなみに、どくしょ部員のおすすめは8巻とのこと。
2.原作からの大幅な時系列変更

戦場ヶ原ひたぎ。阿良々木暦がある日受け止めた少女。そう、彼女の体には―体重がなかった。1匹の’蟹’に行き遭い、体重を根こそぎ持っていかれていた。化物は、はじめからそこにいる。いつも。どこにでも。『掟上今日子の備忘録』西尾維新×『エア・ギア』大暮維人で贈るこれぞ新たな怪異! 怪異! 怪異! 新しく、今巻き起こる〈物語〉!最終章――「つばさキャット」!! ’障り猫’再来の原因はなんと、羽川の暦に対する報われえない恋心だった。元凶を絶たんとして消されかける暦。しかし生き延びねばと空に助けを求めた時、現れたのは!?西尾維新書き下ろし短々編「つばさシェルフ」収録、大暮維人描き下ろし本編ページあり、限定カラー口絵ページあり、特別寄稿「化物画廊」(志水アキ/lack/またよし/ヤス/トミムラコタ/榊原宗々/くまおり純/橘夏々/POKImari)収録!
漫画版『化物語』最大の特徴は、時系列が大幅に変更されていることです。
漫画版は、阿良々木暦とヒロイン・戦場ヶ原ひたぎ(せんじょうがはら・ひたぎ)との出会いから6月中旬の文化祭までの出来事を描いています。これは原作『化物語』と同じ。
明確な変更点は、原作では夏休み中に起きる2つの事件の発生時期を前倒ししていることです。
対象エピソードは、シリーズ第16巻の『終物語(中)』と、シリーズ第7巻の『猫物語(白)』。『終物語(中)』は、400年ぶりに復活した忍野忍(おしの・しのぶ)の眷属・初代怪異殺しとの戦いを描く話。『猫物語(白)』は、阿良々木に恋をする少女・羽川翼が、自らの嫉妬から生まれた虎の怪異を解決すべく奮闘する姿が描かれています。
時系列がそのままであれば漫画版で描かれることはなかったでしょうが、忍野忍や羽川翼のストーリーを深掘りするには必須の重要エピソード。時系列を変更してまで、漫画として描く選択をしたのも納得です。
それらが特にフォーカスされるのは、漫画版の19巻から21巻にかけて。原作ファンで漫画版を読んだことがない方は、あえてそこから読んでみるのもおすすめです。
3.描ききれなかったエピソードを詰め込んだ「後日譚」

戦場ヶ原ひたぎ。阿良々木暦がある日受け止めた少女。そう、彼女の体には―体重がなかった。1匹の’蟹’に行き遭い、体重を根こそぎ持っていかれていた。化物は、はじめからそこにいる。いつも。どこにでも。『掟上今日子の備忘録』西尾維新×『エア・ギア』大暮維人で贈るこれぞ新たな怪異! 怪異! 怪異! 新しく、今巻き起こる〈物語〉!漫画『化物語』完結!! 激しい戦いを乗り越えた暦は、ついにひたぎとの約束の時を迎える。満天の星のもと、二人は――。西尾維新書き下ろし短々編「つきひエンドレス」、西尾維新×大暮維人による特別往復書簡を収録! 大暮維人描き下ろし本編&限定カラー口絵ページ収録! 特別寄稿「化物画廊」 (兼田彌生[Veia]/しらび/鈴木央/深崎暮人/つるまいかだ/夢乃狸/岩崎優次/VOFAN/大暮維人) カラーイラストカード9枚封入!
漫画版3つ目の特徴は、終盤の21巻・22巻に納められた「後日譚」です。
原作シリーズは30巻に達しており、それらをすべて描ききるのはなかなか大変です。そこで、漫画版の終盤エピソードでは、各キャラクターがその後遭遇していく事件をほのめかしていきます。
阿良々木暦の妹・阿良々木月火(あららぎ・つきひ)に隠された秘密、千石撫子が蛇の神様に魅入られる話、忍野忍が吸血鬼となった経緯、そして阿良々木暦の前に現れる謎の少女・忍野扇……。
どれも〈物語〉シリーズにおける重要エピソードばかり。続編やスピンオフを思わず期待したくなりますね。
まだまだ続く原作シリーズ
漫画版『化物語』は22巻で完結しましたが、原作〈物語〉シリーズはまだまだ終わりません。最新巻『戦物語』も、漫画版22巻と同日の5月17日に発売されました。
最新刊のテーマは、阿良々木暦と戦場ヶ原ひたぎの新婚旅行! 怪異調査も兼ねたハネムーンでは何が起きるのか。作中の時系列としても最も新しい、最新の物語に目が離せません。
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