子どもに悪影響を及ぼす親や、過度な過干渉や価値観を押しつける親を「毒親」と呼称することが増えてきました。親子関係の見つめ直しや、ときには離縁や決別などの実体験も赤裸々に描かれる毒親漫画。漫画家・つつみの『毒親に育てられました』は、自身の体験談を綴ったInstagramや『つつみブログ』での投稿で話題を集め、漫画化されました。他にも、実体験を元にしたエッセイ漫画は多く発売されています。本記事では、毒親・機能不全家族を元にしたおすすめ漫画を8作品ピックアップ!
リアルな壮絶さを感じる作品から、コミカルな作風で読みやすい作品まで幅広くご紹介します。
目次
元祖・話題のおすすめ毒親エッセイ漫画
InstagramをはじめとしたSNSやブログ上で話題を集めた漫画、元祖毒親エッセイ漫画を3作品をご紹介します。
母がしんどい
日本で初めて「毒親」を題材にし、話題を集めた元祖毒親エッセイ漫画です。主人公・エイコの母親は元気でひょうきん者。一見仲良しな親子に見えますが、母親は怒ると豹変します。過干渉な母親から逃げられないエイコ。大人になって家を出た後も、親からの洗脳や干渉に悩みます。とうとう苦しみに耐えられず、両親との決別を決意します。
かわいらしいポップな画風ですが、内容は壮絶。毒親と闘い、決別する様子は同じく親との関係に悩む人に勇気を与えるはずです。
毒親に育てられました 母から逃げて自分を取り戻すまで(全3巻完結)
作者兼主人公のつつみがシングルマザーの母親に暴言や虐待、ネグレクトを受ける話。Instagramの投稿や『つつみブログ』での投稿が話題となり、漫画化された作品です。両親が離婚し、仕事で忙しかった母はつつみを祖父母の家に預けます。好奇心旺盛な子どもに育ったつつみですが、1年後迎えに来た母親。そこからつつみと母親の壮絶な生活が始まります。
全3巻完結で、1巻は『母から逃げて自分を取り戻すまで』というストーリーが描かれています。2巻は『多感な思春期に毒母と暮らして自己肯定感ゼロの少女になりました』、3巻は『親子の縁を切るまでの話』と各巻毎にテーマが掘り下げられています。母親から支配され怯えて生きてきたつつみが、どのようにして親子の縁を切ったのか。彼女の成長も見どころです。
汚部屋そだちの東大生(全2巻完結)
冒頭に「これは私が愛すべき美しいママを捨ててしまう物語」とあるように、美しく過保護でだらしがない母と決別する物語。作者・ハミ山クリニカの半自伝です。
トイレも流せずお風呂にも入れず、ゴキブリが何匹もいる汚部屋で母親と二人暮らしをする主人公・ユウ。昔から学校に提出する作品は母親が作り、友達関係にも口出しされ、進学先まで母親の言いなりで生きてきました。
ユウを「自分の理想の娘」にしようとする母親。半自伝だからこそ伝わるリアリティがあります。ユウは毒親から逃げることができるのでしょうか。全2巻で完結しているため、一気に読み進めることができます。
エピソードの中に毒親が登場するエッセイ漫画
毒親の話がメインではないけれど、登場人物の背景に実は毒親がいた……? エピソードの中に毒親が登場する2作品をご紹介します。
岡崎に捧ぐ(全5巻完結)
笑いあり涙ありの友情エッセイ! 2014年にWEB上で公開されるやいなや1000万ビューを記録。「2015ブロスコミックアワード」で大賞を受賞した人気作です。
転校先の小学校で出会った親友・岡崎さんとの些細な思い出や大人になってからの出来事が赤裸々に描かれています。
作中に登場する岡崎さんの両親は、いわゆるネグレクト。しかし、育児放棄の描写でさえコミカルで読みやすい作品です。物語のはじまりは1990年代なので、同世代の人には懐かしさを感じられる演出も! 岡崎さんと山本さんの、切なさもあるおもしろエピソードをぜひお楽しみください。
‘隠れビッチ’やってました。(全1巻完結)
人に愛されたいために隠れビッチになった……? 3年間で200人とデートをした経験をもつ作者・あらいぴろよは、いわゆる「隠れビッチ」。ぴろよをそうさせたのは、父親からのDVや家庭不和が原因でした。自分に自信を持てないから、誰かに愛され自信を得る……。そんなぴろよが本気の恋をして結婚し、子育てをする中でコンプレックスや過去のトラウマと闘っていく物語です。
毒親とのエピソードではなく、過去のDV経験によってコンプレックスを抱えることになった主人公の葛藤がメインです。激しい描写が苦手な方にも、比較的読みやすい作品です。今までの恋愛エピソードやモテるためのテクニック講座なども描かれており、恋愛エッセイ漫画としても読み応えがあります。
体験談を集めたオムニバス形式の毒親エッセイ漫画
1冊の中で、何人かのエピソードを集めたオムニバス形式の漫画2作品をご紹介します。同じ題材でも、全く異なる体験談を読むことができます。
毒親サバイバル

アルコール依存症の父親との顛末を描いた「酔うと化け物になる父がつらい」で世に衝撃と共感をもたらした菊池真理子さんが今度は毒親から生還した10人を取材してコミックにまとめました。菊池さん自身も含めて登場する、有名無名の11人の人々が親から受けた傷はみんな違います。アルコール依存症の親、暴言と暴力の親、価値観を一方的に押し付ける親、果てしなくお金をむしりとる親、そんな状況を見て見ぬふりする親……。その体験談は赤裸々。毒親に育てられた子どもたちにとっての最大の悲劇は、「家族ってこんなもの」「これが当たり前」と思いながら育ち、自分が悪い、自分がヘンだとの想いから逃れられないこと。大人になってからは「連鎖」におびえること。本書は、親と同じ道を選ばないために、全身、全力でサバイバルしていく11人のさまを、リアルにコミック化した、コミックだからなしえた作品です。本書が、傷を負って生きてきた人たちが、傷を負い続けないヒントとなりますように……。【以下、はじめにより】「どんな親でも子どもを愛してるんだから」 とか 「育ててくれた親に感謝しなよ」 とか「親と不仲のヤツはヤバい」 とか 「親を捨てるなんて不孝者」 とかとか。そんなバカなこと、言わない世の中にしたい。本当は、愛で満ちた天国のような家ばかりになるのが理想だけど、それがムリなら。あの子が大人になった時、あたり前のように、親から逃げるって選択ができる世の中に。逃げてから、さらに傷つけられたりしない世の中に。それが私たち元子どもの、できることかなと思います。菊池真理子
驚きの毒親を持つ11人の衝撃体験談! ネットで話題になり映画化もされた『酔うと化け物になる父がつらい』の作者・菊池真理子が自身の体験も含めて描く11人の話です。11通りの衝撃的な毒親エピソードや、それぞれの主人公が親や自身に向き合う様子が赤裸々に描かれています。
実話だからこその壮絶なサバイバルストーリー。柔らかい画風のため、リアルな描写が苦手な方でも読みやすい本作。作中に登場する、作者・菊池真理子と担当編集者・ハタノさんの言葉は胸に響くものがあります。最後には臨床心理士の信田さよ子さんの解説付き。さまざまな形の家庭や親子関係が描かれることにより、毒親とは、家族とは、を考えさせられる作品です。
「神様」のいる家で育ちました 〜宗教2世な私たち〜
宗教2世として生まれた7人のリアルストーリー。連載中の一時的な公開停止も乗り越え、無事単行本化された注目作です。
生まれながらに親が宗教に入信しており、その環境が当たり前となっている宗教2世の子どもたち。しかし、学校行事に参加できない、好きな人を作ってはいけないなどの宗教規則に戸惑うことも。宗教2世の方々の葛藤がリアルに描かれています。
同じ宗教2世の立場でも、7人のストーリーはさまざま。当事者でしか分からない心情が赤裸々に描かれています。決して宗教批判ではなく、宗教2世が持つ苦悩を周りが理解するためにも多くの人に読んでほしい作品です。
毒があるのは親だけじゃない!? 機能不全家族を描いた毒親おすすめエッセイ漫画
親だけではなく、家族全員に問題があった……? 機能不全家族をテーマにしたエッセイ漫画をご紹介します。
毒親こじらせ家族(全1巻完結)
極道の父親を中心とした機能不全家族のリアルストーリー。前作『毒親育ち』で語られた作者・耳子の不幸な生い立ちと立ち直りまでの話が、今作ではより深掘りされています。
極道の父親、ヒステリックで神経質な母親、ヤンキーな妹、幼稚園が人生のピークだった弟と5人家族で過ごす耳子。めったに帰ってこない父親が突然留置所から帰宅したり、警察が家宅捜査に来たりと、驚きのエピソードが次々と出てきます。
衝撃の実話ですが、ポップな画風で所々ギャグ要素も含まれているため、読みやすい作品です。1巻の中で22話構成となっているため、サクサクと読み切りたい人にもおすすめします。
終わりに
毒親・機能不全家族をテーマにした8作品をご紹介しました。実体験とは思えないほど驚きのエピソードの数々。衝撃のストーリーの裏にある、作者たちの想いやメッセージを読み解くと真に迫るものがあります。気になる作品があれば、ぜひチェックしてみてください。
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