WBC決勝戦で話題の『MAJOR』名シーンを解説 漫画を彷彿とさせた大谷VSトラウトの熱い激闘

 WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で日本代表が3大会・14年ぶりに世界一に輝きました! 日本に来て一気に愛されキャラになったヌートバー選手のペッパーミルパフォーマンスや、はじめは不調だった村上選手が見せた快進撃など、見応えある試合で日本中の野球ファンが盛り上がりました。
 とくに注目されたのが、アメリカとの決勝戦です。二刀流で活躍した大谷選手が9回にクローザーで登場し、同じエンゼルス所属のマイク・トラウト選手と対決。SNSでは、そのシーンが漫画『MAJOR』の78巻に収録されているあの名シーンに似ていると話題になりました。
 今回は、WBCで話題になった『MAJOR』の名シーンを解説します。

MAJOR (1)

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父親のようなプロ野球選手になることを夢見て、日夜トレーニングに励む5歳の野球少年・吾郎!!友達の寿也君とリトルリーグに挑戦!?

漫画のような大谷vsトラウト対決

 3月22日に行われたWBC決勝の日本vsアメリカ戦は、日本リードの3対2で9回表に突入しました。先攻のアメリカが得点を入れなければ日本の優勝が決定という場面で、大谷翔平選手がクローザーとして登場しました。
 そして、アウトあと1つ取ればゲームセットの状況、バッターボックスに立った最後の選手がマイク・トラウト選手。二人はロサンゼルス・エンゼルス所属のチームメイト。メディアでは大親友と報道されることもあります。
 エンゼルスのスーパースター対決が劇的な状況で実現し、興奮の中静かに見守る観客席。日本代表の選手たちが身を乗り出して応援する中、気がつけば2ストライク3ボールのフルカウントに……。
 そして投げられた最後の一球、大谷の気迫あふれるスライダーを、トラウト選手は空振り。日本の優勝が決まりました。

 この熱い激闘に『MAJOR』の名シーンを思い出した人が多く、SNSでも話題になりました。それは、主人公・茂野吾郎と因縁のライバル・ギブソンJr.との対決です。
 茂野吾郎は大谷選手と同じく、メジャーリーグで活躍し、160キロ超えの速球を武器にしています。それに加えて、優勝をかけた場面で縁が深い相手と対決するのも同じ。
 大谷選手とトラウト選手の対決は、まさに茂野吾郎とギブソンJr.の対決を実写で見ているようでした。

ギブソン親子との因縁

 名シーンに触れる前に、茂野吾郎とギブソンJr.の因縁について解説します。彼らの因縁は一世代前、二人の父親までさかのぼります。経緯を知れば、より対決シーンに深みを感じるでしょう。

父親ジョー・ギブソンとの因縁

 ギブソンとの因縁は、吾郎が6歳の頃にさかのぼります。吾郎は幼い頃から、プロ野球選手の父・本田茂治(ほんだ・しげはる)のようなプロ野球選手になることを夢見る野球少年でした。
 ある日、茂治はメジャーから移籍した剛速球投手ジョー・ギブソンと対決します。バントで攻めてくる日本の野球にいら立っていたギブソンは、次第に投球が荒くなり茂治の頭部にデッドボールを投げてしまいます。球場では何事もなかった様子の茂治でしたが、深夜に体調が急変し帰らぬ人になってしまいました。

 病院で悲しみに暮れている吾郎たちの前に現れたギブソン。泣きながら体当たりをする吾郎に対し、ギブソンは英語で謝りながら背を向けて立ち去ってしまいます。ギブソンは一人の名選手を奪ってしまったことを償うため、日本で少しでも長くプレーすることを決めました。
 3巻の時点ではまだ登場しませんが、実はギブソンにも吾郎と同じくらいの年の息子がいました。それがギブソンJr.です。ギブソンの選択は、息子に対しても大きな影響を与えることになります。

 それからさまざまな困難を乗り越えながら野球を続けた吾郎は、高校三年生でプロ野球の球団から声がかかります。進路に迷う中、吾郎はメジャーで現役で活躍しているギブソンのインタビューを目にしました。
 ギブソンは、吾郎に対してテレビ越しに「メジャーで待っている」とメッセージを送ります。父の死後、父の代わりにギブソンを目標にしていた吾郎は、ギブソンが現役のうちに戦えることを夢見て、メジャーへの挑戦を決意します。
 ギブソンからのメッセージを受け取るエピソードは、『MAJOR』のアメリカ編のきっかけとなる重要なエピソードです。

ギブソンJr.との因縁

 渡米後マイナーリーグで投手をしていた吾郎は、対戦相手としてスラッガーのギブソンJr.に出会います。
 ギブソンJr.は大物2世として周囲から期待されますが、父・ギブソンに対して屈託した感情を抱いていました。幼少期に父が日本でのプレーを延ばしたことで両親が離婚し、帰国したアメリカで母親と妹が交通事故で亡くしていたのです。
 離婚の原因にデッドボール事故があったこと、ギブソンが吾郎のことを気にかけつづけていることも相まって、ギブソンJr.は吾郎たち親子を恨んでいました。最初の出会いの際、ギブソンJr.は吾郎の父を侮辱し、二人は乱闘騒ぎを起こすほどです。

 吾郎が目障りだったギブソンJr.は、ある賭けを提案します。それは、「吾郎が一回でも三振を取ったら、ギブソンJr.が父・茂治の墓の前で謝る。しかし一本でもホームランを打たれたら吾郎がアメリカから出て行く」というもの。
 運命の対戦日、球場に父・ギブソンが現れます。吾郎を気にかける父にギブソンJr.が賭けのことを伝えると、ギブソンは「今のお前に吾郎の球は打てない」と断言。息子を叱責して去っていきます。しかし、ギブソンJr.はその叱責に父の愛情を感じ取ります。そして、試合の中で、純粋に野球が好きな吾郎と、父親への恨みで野球をしている自分との差に気がつきました。
 勝負は吾郎が三振を取ることで決着。ギブソンJr.は心から吾郎に謝罪をします。そこから二人は、良きライバル関係になるのでした。

話題になった名シーン

 茂野吾郎vsギブソンJr.は、メジャーリーグなどで何度も対戦をしています。今回は、その中でも特に熱いシーンを2つご紹介します!
 WBC決勝戦の際、SNS上ではワールドカップ編とワールドシリーズ編のどちらかのシーンを思い出した人が多かったようです。どちらも名シーンなので要チェックです!

ワールドカップでの決勝対決

 54巻から65巻に収録されているワールドカップ編。作中では、野球のワールドカップがアメリカで開催され、今回のWBCと同じく決勝で日本とアメリカが戦います。

 ワールドカップでギブソンと戦うことを楽しみにしていた吾郎でしたが、ギブソンは狭心症になってしまいドクターストップを受けることに……。しかし、アメリカを引っ張って、吾郎とのけじめを付けたいギブソンは、周囲の反対を押し切り出場します。
 延長16回の裏、ノーアウト満塁のなかギブソンJr.がバッターボックスに立ちました。命をかけて戦う父の姿を見たギブソンJr.は、これまでにない強い気持ちで吾郎に挑みます。
 激しく続く投げ合いの中、ギブソンJr.はサヨナラ満塁ホームランを放ちました。
 このシーンを思い出していた人は、どうか漫画のような結末にはならないでくれと願ったことでしょう。

ワールドシリーズの決勝対決

 ワールドカップの敗戦の後、吾郎はイップスやけがなどの苦難に直面しましたが、どうにか乗り越え、物語は最終章・ワールドシリーズ編に突入します。
 漫画の最終盤、吾郎が所属するホーネッツとギブソンJr.が所属するレイダースが、ワールドシリーズ制覇をかけて争います。10回の裏でホーネッツリードの11対7。あと一つアウトを取れば優勝が決まる場面で、最後にギブソンJr.が登場します。
 吾郎にとっては、ワールドカップのリベンジを果たす絶好の機会。しかし、ギブソンJr.も負けられません。ファールで粘るギブソンJr.に、吾郎の野球人生最高のファストボールが放たれ……。

 『MAJOR』最終巻の78巻に収録された、作品最高の熱さを見せるのがこのエピソードです。二人の決着はどうなるのか。DMMブックスでは、78巻限定で2023年3月31日まで100%還元セールを行っています。決着はぜひ、本編を読んで確かめてみてください。

大谷選手は茂野吾郎が憧れる選手像

 大谷選手は、『プロ野球選手100人「人生を変えたスポーツ漫画」』というアンケート企画への回答で、好きな漫画に『MAJOR』を挙げています。作中で、主人公の茂野吾郎はこんな名言を残していました。

「オレが理想とする究極のプレーヤーは…打って走って守れーそして三振もとれるプロ野球選手さ!!」

(『MAJOR』25巻「選択」より引用)

 「打って走って守れ、そして三振もとれる」とは、まさに二刀流で活躍する大谷選手を表しているかのよう。大谷選手は、高校生のころ人生設計ノートに「WBC日本代表MVP」と書き、今回のWBCでその夢を実現させました。漫画の主人公のような大スター、大谷翔平選手の今後の活躍にも注目です!

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MAJOR (78)

MAJOR (78)

吾郎vsJr.、宿命の対決の決着はいかに!?チャンピオンリングはどちらのチームが手にするのか!?そして時は過ぎ…さらなる驚愕の展開が!吾郎の新たな決意、家族への想い、そして野球への愛が凝縮された、感動のラストシーン。ドラマチックベースボールストーリー、ここに完結!!

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