2023年4月1日(土)深夜1時30分より、新作アニメ『僕の心のヤバイやつ』(通称「僕ヤバ」)の放送がスタートします。2018年から現在もWeb連載が続いている大人気ラブコメ漫画です。登場人物の感情の動きが細やかに描かれており、現在も最新話の更新当日はSNSで感想が飛び交います。
アニメ「僕ヤバ」のキャッチコピーは「今一番応援したくなる、青春初恋ラブコメ」です。主人公・市川とヒロイン・山田、二人はどんな青春と初恋を経験するのでしょうか。
今回はアニメ化を記念して、「僕ヤバ」のヤバイ魅力について見ていきます。
目次
「僕ヤバ」を彩るメインキャラ、山田と市川
重度の中二病をこじらせる中学生・市川京太郎。彼はある日、クラスメイトの女の子・山田杏奈が学校の図書室で自由奔放に振る舞う姿を目撃します。それ以来、市川は山田の行動に目を離せなくなってしまい……。
まずは改めて、中心人物の二人のキャラクターをご紹介します。
僕の心のヤバイやつ
『山田』の見た目と行動のギャップがヤバい
山田のキャラクターを一言で表すと「無邪気で自由奔放な、背が高い美人」です。
容姿端麗で、雑誌のモデルも務める山田。文化祭では写真を求められたり、先輩からしつこくアプローチをかけられたりと、その存在は学校中に知られる人気者です。ファッション雑誌に掲載されている山田の姿に、市川は「まるで知らない女の人みたい」と密かに衝撃を受けることも。
そんな学校のマドンナ的存在ですが、図書室では密かにお菓子を食べたり、親友におんぶされたがったり、彼女の行動は予想外のものばかり。天真爛漫な姿に心を奪われる読者も続出中です。
『市川』の自意識とその成長がヤバイ
主人公の市川は、中二病まっただ中の中学生。学校で黙々と殺人鬼の本を読み、カッターをいじりながらほくそ笑むなど、黒歴史になること間違いなしの言動を繰り返しています。
中二病だけでなく、思春期特有の「視野の狭さ」にもとらわれている市川。スクールカースト上位の山田は底辺を見下しているはず、女子は自分より顔が良い女子を妬むはず……。彼の言動からは、「この人はこんな人だろう」というある種の思い込みが垣間見えます。
そんな彼にとって、山田は外見のイメージからは予想がつかない振る舞いをしてきます。彼女の予想外な言動・意外な一面を見る度に、市川はドキドキさせられたり、時には落ち込むことも……。
山田の行動一つで心を揺さぶられる市川ですが、その描写の数々は、山田を異性として意識するというラブコメ演出だけではありません。山田を通して、市川の視野が広げられていくという成長過程としても捉えられることが出来ます。
どくしょ部員が選ぶ序盤の名場面3選
無邪気な山田に市川が振り回され、惹かれていくのが魅力の「僕ヤバ」。今回は、本作の魅力が堪能できる序盤(1巻〜2巻)から、どくしょ部員が厳選した名場面を3つご紹介します。
市川視点で物語が進むため、「市川から見た山田」の姿はあますことなく描かれています。では、山田から市川はどう見えているのでしょうか?
「山田から見て、市川の行動が予想外だったシーン」を厳選してお届けします!
市川がとった予想外の行動:1巻6話「僕は嫌だ」
「僕は頭がおかしいのか?」
(『僕の心のヤバイやつ』1巻より引用)
1巻の中でもっとも「アツい」回です。
5話で、モデルとして華々しく活躍する山田の姿を見たことで、一方的に壁を感じてしまった市川。「山田なんてどうでもいい」と自分に言い聞かせていました。しかし、登校中に山田がしつこくナンパされているのを目撃し、衝動的に「ある行動」をとってしまい……。
1話冒頭では、「僕は頭がおかしい」と心の中でうそぶいていた市川。そんな心情を踏まえてこの回を読むと、1話の台詞「僕は頭がおかしい」と今回のモノローグが相まって素晴らしい余韻を読者に与えます。
市川の衝動的な行動に笑い泣きする山田と、照れて顔を真っ赤に染める市川にも青春ラブコメの爽やかさが感じられます。
「山田が市川を強く意識したのはこの回から」と言える重要な回でした。
市川なりの精一杯の気遣い:1巻15話「僕は抱きしめたい」
市川の優しい気遣いが伝わってくる、心あたたまる回です。
体育の授業で怪我をした山田は、モデル撮影の仕事が流れてしまいます。悔しさに涙を流す山田に対して、市川は慌ててティッシュを用意しますが……?
涙を見せる山田に、ティッシュを用意したい市川。しかし、その気遣いを山田に知られたくはありません。その結果、机の上にティッシュを置きまくるという暴挙に出ます。(さながら、ラーメン屋の席ごとに一定間隔で設置されているティッシュのように!?)
自然を装いたいあまりに、逆に不自然すぎる市川の行動はギャグとしてユーモラスですが、「山田から見た市川」という点で重要なのは最後のコマです。
山田は、市川が匿名でくれたティッシュを見ながら笑顔を浮かべています。誰がくれたかわからないなら、こんな笑みは浮かべないはず。おそらく、山田は「市川が気遣ってくれたことに気づいている」でしょう。
一方、市川は自分の行動が気づかれたことに気づいていません。相手に自分の気持ちが伝わっているのに気づいていない。この気持ちのすれ違いを、「ヤバイ」ほど巧みに描いています。
市川の優しさが伝わった瞬間:2巻27話「僕らははぐれた」
2巻で一番ヤバイシーンを挙げるなら、この回しかありません。
職場見学の帰り、山田と市川はグループからはぐれて二人だけ電車に乗り遅れました。責任を感じるあまり、山田は市川の前で泣いてしまいます。そこで市川は、彼女を気遣ってミルクティーを渡し……?
この回の演出は、25話の冒頭の会話が読み解く鍵になっています。実は、女子同士の何気ない会話に登場していたミルクティー。「市川が自分の欲しがっていたものをちゃんと知っている」ことに気づいた山田は顔を赤らめます。つまり、「市川が自分を見ていること」にはっきり気づくのです。
2巻の巻末で、作者・桜井のりおは「人を好きになった時とその気持ちに気づいた時、初恋にはタイムラグがあるんだよ」とコメントしています。作者のコメントを踏まえてこの回を読み返すと、初恋の甘酸っぱい瞬間を見事に捉えていることが分かります。
まだまだ語りたりない「僕ヤバ」のヤバさ
今回は、アニメ公開にあわせて「僕ヤバ」の魅力を、特に序盤(1〜2巻)に絞って紹介しました。読み返す毎に味わい深さが増す「僕ヤバ」。じれったい二人の関係性はどうなるのか……先の展開にも目が離せません!
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