実写映画第2弾『岸辺露伴は動かない 懺悔室』の公開に加え、『岸辺露伴は動かない』、『岸辺露伴ジャンプ』、『JOJO magazine』最新号の発売など今最大級に注目されている漫画家・岸辺露伴。今回は「ジョジョラー」のDMMブックス書店員が結集し、『岸辺露伴は動かない』シリーズの魅力を本編画像&ネタバレありで徹底解説ッ!初心者の方も露伴先生ファンの方も必見です。
DMMブックスなら『岸辺露伴は動かない』シリーズが最大28%pt還元で読めるッ! 本作が気になっている方はぜひDMMブックスでお得に楽しんでくださいね。
目次
『岸辺露伴は動かない』とは?
まずは『岸辺露伴は動かない』シリーズがどんな作品なのか、そして「岸辺露伴」とは何者なのかを解説していきます。
漫画『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズのスピンオフ作品
『岸辺露伴は動かない』は『ジョジョの奇妙な冒険』のスピンオフ作品です。『ジョジョの奇妙な冒険 第4部 ダイヤモンドは砕けない』に登場する大人気漫画家・岸辺露伴が、漫画の取材先で体験した奇妙なエピソードを紹介する構成の短編集となっています。
作者の荒木飛呂彦によると、タイトルの『岸辺露伴は動かない』は露伴が物語の主人公ではなく「物語のナビゲーター」であることを示しているとのこと(※1)。確かに本作の岸辺露伴は狂言回し的な役割を担っており、露伴自らが直接「動く」エピソードは少ないのが特徴です。
『岸辺露伴は動かない』シリーズはもともと単発で発表された読み切り作品でしたが、ジョジョファンを中心に大きな話題を呼び、その後不定期でさまざまな媒体に続編が掲載され、単行本化されるに至りました(※2)。
本編の『ジョジョの奇妙な冒険 第4部 ダイヤモンドは砕けない』と登場人物は共通しているものの、完全に同じ世界観ではなく、パラレルワールドのようなものと考えると良いかもしれません。ミステリーやサスペンスの要素が見事に織り込まれていて、ジョジョ本編を知らなくても楽しめるのが本作の魅力の一つといえるでしょう。
※1『死刑執行中脱獄進行中』という荒木飛呂彦の短編集内の後書きで語られています。
※2まだ単行本化されていないエピソードもあります。それらも含め、「『岸辺露伴は動かない』シリーズの漫画・小説一覧」の章で紹介します。
主人公「岸辺露伴」はどんなキャラ?

岸辺露伴は現在27歳の天才漫画家(※1)。16歳の頃から『ピンクダークの少年』という人気漫画を週刊連載しており、アシスタントを雇っていないのに4日で連載分を描き終わるという驚異の才能を持っています。
売れっ子漫画家の露伴ですが、性格はお世辞にも良いとは言えません。人間嫌いで非常にわがまま、好奇心が強く負けず嫌いというクセの強い人物ですが、漫画に対するこだわりはすさまじいものがあります。おもしろい漫画を描くために重要視している「リアリティ」を追及するためなら、どんな手段も犠牲も選びません。人を本にして記憶を読んだり、文章を書き加えて命令することができる特殊能力「ヘブンズ・ドアー」を、漫画の取材にもどんどん活用(悪用?)していきます。
この情報だけだと悪役のように見えてしまいますが、『ジョジョの奇妙な冒険 第4部 ダイヤモンドは砕けない』本編では凶悪な殺人鬼を倒すために主人公たちに協力したり、『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』で描かれた青春時代にはピュアで淡い初恋(!?)を経験していたりと、多面的な魅力を持つキャラクターですよ。
※1『ジョジョの奇妙な冒険 第4部 ダイヤモンドは砕けない』第4巻では20歳と語られていますが、『岸辺露伴は動かない』1巻では27歳と紹介されています。
▼『ジョジョの奇妙な冒険 第4部 ダイヤモンドは砕けない』の岸辺露伴初登場回はこちら!
2020年から始まった実写シリーズも人気
『岸辺露伴は動かない』は2020年に初めてNHKで実写ドラマ化されました。岸辺露伴役に高橋一生、脚本にジョジョのアニメシリーズで構成・脚本を担当していた小林靖子を迎えた本作は、アレンジを加えつつも原作の独特な空気感を見事に映像化しており、新作が発表されるたびに話題になります。
原作ファンはもちろん、ジョジョを知らない視聴者からの評価も高く、2023年には初めての映画版『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』が劇場公開されました。
また、2025年5月には新作映画『岸辺露伴は動かない 懺悔室』が公開され、注目を集めています。
【ネタバレ】実写版『岸辺露伴は動かない』の原作エピソード紹介
続いて、この章では実写版『岸辺露伴は動かない』の原作エピソードを画像あり・ネタバレ込みでご紹介します! 原作と比べながらもう一度実写版をみてみると新たな発見があるかも?
ドラマ第1話 富豪村

【原作エピソード名】
『岸辺露伴は動かない』1巻収録「エピソード#5 富豪村」
【原作あらすじ】
岸辺露伴と担当編集者の泉京香が打ち合わせをしていた際に、泉が「自分が山奥の別荘を買うとこを取材しないか」と提案してくる。怪しむ露伴だが、道路もない山奥にいくつもの豪華な別荘が並ぶ写真を見せられ、その家主は購入後に必ず大金持ちとなる、そんな話を聞かされると興味をそそられてしまい……?
【見どころ(ネタバレあり)】
『岸辺露伴は動かない』の中でも特に危険なエピソード。山奥の豪邸で、マナーを間違える度に大切なものを一つずつ失っていき、身近な人の命も危ないという絶体絶命の状況に追い込まれます。「山の神々」を相手にイカサマあり(!)のマナーバトルを仕掛ける露伴の度胸はさすが! 担当編集・泉京香のとぼけたキャラクターもクセになります。
多くの見どころがあるエピソードですが、帰り道、保護した小鳥の無事を確認する露伴の優しい表情にも注目です!
ドラマ第2話 くしゃがら
【原作エピソード名】
『岸辺露伴は叫ばない 短編小説集』収録「くしゃがら」
【原作あらすじ】
露伴と同じ雑誌で連載している漫画家の志士十五(しし・じゅうご)。彼は担当編集に渡された「禁止用語リスト」にあった「くしゃがら」という謎の単語が気にかかり、調べていくうちにどんどん様子がおかしくなっていきます。露伴ならこの言葉を知っているのではと考え志士十五は露伴のもとを訪れますが、「くしゃがら」の被害に露伴も巻き込まれ……!?
【見どころ(ネタバレあり)】
まるで「くしゃがら」に取りつかれたように常軌を逸した行動を繰り返していく志士十五。一人の人間が徐々に狂っていく過程の不気味さが見事に描写されていて、ミステリーやサスペンス好きにはたまらない! ヘブンズ・ドアーと相性が悪い今回の「敵」に、露伴がどう対処していくのかが見どころですよ。
ドラマ第3話 D・N・A

【原作エピソード名】
『岸辺露伴は動かない』2巻収録「エピソード#8 D.N.A」
【原作あらすじ】
『ジョジョの奇妙な冒険 第4部 ダイヤモンドは砕けない』にも登場する山岸由花子に呼び出された露伴は、由花子の友人の女性を紹介される。彼女の娘は逆さ言葉で話し、おしりになぜか生えているしっぽに触られると体が保護色に変化するなど、変わった特徴を持っていた。露伴の「能力」を使ってこの娘を治してほしいという依頼だったが……?
【見どころ(ネタバレあり)】
『岸辺露伴は動かない』シリーズの他のエピソードはミステリーやサスペンス仕立てになっていますが、このエピソードは毛色が異なっていて、血のつながった家族の結びつきに感動するファンタジー要素の強い短編です。他のエピソードやジョジョ本編とは少し違った露伴の表情を見れるのがポイント。親子の顛末を聞いた後、露伴が満足げに笑っているのもかわいいですよ!
ドラマ第4話 ザ・ラン

【原作エピソード名】
『岸辺露伴は動かない』2巻収録「エピソード#9 ザ・ラン」
【原作あらすじ】
偶然ジムで会ったモデルの卵・橋本陽馬に、トレッドミルの速度が限界に達した際に1台しかない停止ボタンを取って押した方が勝ちというゲームを持ちかける露伴。最初は勝利する露伴だが、この勝利が自分を窮地に追い込むことを露伴は知らなかった……。
【見どころ(ネタバレあり)】
橋本陽馬の執念が恐ろしすぎる! 同棲している彼女のお金を勝手に使い込んで家を改造してボルダリングしたり、ズルをしようとした露伴の指を折ったりと、橋本陽馬は淡々とぶっ飛んだ行動を重ねていきます。そんな筋肉の化身に肉体的にも精神的にも追い詰められ、普段はクールな露伴も死に物狂いの形相で必死にトレッドミルを走り続けます。普段の勝ち気な露伴とのギャップも楽しめる、露伴ファンにはたまらないエピソードです!
ドラマ第5話 背中の正面

【原作エピソード名】
『ジョジョの奇妙な冒険 第4部 ダイヤモンドは砕けない』11巻「チープ・トリック」編
【原作あらすじ】
火事で家が半壊した露伴邸に、修理の見積もりに訪ねてきた建築設計士の乙雅三。彼はなぜか自分の背中をかたくなに見せようとしません。ヘブンズ・ドアーで乙を読んでも背中を見られることに対して異様な恐怖を抱いていることがわかります。嫌だ嫌だと言われるほど見たくなってしまうのが露伴の性分。露伴が強引に乙の背中を見ると、なんと乙は血を吹き出して死亡してしまい……!?
【見どころ(ネタバレあり)】
ドラマ版では大胆なアレンジが加えられた本エピソード。市川猿之助演じる乙雅三を露伴に扮した高橋一生がおんぶしているシーンが印象に残っている方も多いでしょう。ドラマでは怪異として扱われましたが、ジョジョ本編では背中に取りつくスタンドです。通行人に背中を見られないよう露伴が杜王町を必死で移動するシーンにはスリルがあります!
このエピソードのもう1つの見どころは広瀬康一の登場シーン。一度は露伴のイタズラだと思って帰ってしまう康一くんですが、再び露伴を助けに現れるところに2人の友情を感じます!
ドラマ第6話 六壁坂

【原作エピソード名】
『岸辺露伴は動かない』1巻収録「エピソード#2 六壁坂」
【原作あらすじ】
妖怪伝説を取材するために山を購入した露伴。付近で進められていたリゾート道路開発を阻止するため、周囲の6つの山も買ったおかげで一文無しになってしまう。しかし、そんなことより漫画に必要なリアリティ=ネタを得られたことに喜ぶ露伴は、取材で知った「六壁坂の妖怪」について編集者に語り出す。
【見どころ(ネタバレあり)】
露伴が名付けた「妖怪六壁坂」の正体は、相手の目の前で自ら死亡することで罪悪感を与え、他者の心の弱みにつけ込んで一生自分の世話をさせる恐ろしい妖怪でした。取りつかれた人間は「二度」も相手を見殺しにすることはできず、子孫さえ作ってしまう……。実在しているのではないかと思えるほど生々しく不気味な生態の妖怪です。どこか郷愁を感じる怪談テイストの短編で、和風ホラーが好きな方に特におすすめ!
ドラマ第7話 ホットサマー・マーサ
【原作エピソード名】
『JOJO magazine 2022 SPRING』収録「エピソード#10 ホットサマー・マーサ」
【原作あらすじ】
愛犬のバキンと散歩していた露伴は、いつの間にかある神社に迷い込んでしまう。境内にある神木の幹が空洞となっており、その中に古びた鏡がまつられているのを発見する。しかし、露伴が新作の執筆のために家に戻ると、なんとそこには既に完成した原稿があった。日時を確認すると、散歩に出掛けた日から3か月も経っていて……!?
【見どころ(ネタバレあり)】
自分の知らぬ間に数か月もの月日が流れていたことで、露伴は複数のトラブルに悩まされます。その中でも、自分が描いていないのに原稿が完成している事実にキレているところが露伴らしいです。
露伴の意識がなかった3か月の間、露伴の代わりに活動していたのは「藪箱法師(やぶばこぼうし)」。鏡に映った人間の暗黒面として、本人に成り代わって生活する怪異です。露伴の暗黒面がもたらした人間関係のトラブルがどんどん泥沼化していく様子がコワおもしろい……! 人間の怖さ&オカルト的な怖さの両方を楽しめるエピソードです。

『ジョジョ』を愛する全ての人に贈る一冊。「JOJO magazine 2022 SPRING」紙版と同時に配信。/2022年荒木飛呂彦最新作、描き下ろし読切『岸辺露伴は動かない エピソード#10 ホットサマー・マーサ』カラー扉付き71P/描き下ろしカバー「徐倫&承太郎」/新作スピンオフ小説2編 真藤順丈による『無限の王』(リサリサ主人公)、乙一による『野良犬イギー』(イギー&アヴドゥル主人公)/特集JOJO the Animation アニメ『ジョジョ』を総特集/ドラマ『岸辺露伴は動かない』主演俳優 高橋一生インタビュー/and moreッ!!! ほか読み応え十分のページ多数 ※紙版の付録「JOJOスペシャルステッカー2枚組」は、デジタル版にはつきません。
ドラマ第8話 ジャンケン小僧

【原作エピソード名】
『ジョジョの奇妙な冒険 第4部 ダイヤモンドは砕けない』8巻「ジャンケン小僧がやって来る!」
【原作あらすじ】
露伴のもとに謎の少年が「ジャンケン」をしようと訪ねてくる。最初は無視を決め込んでいたが、執拗に付きまとわれて仕方なくジャンケンをする羽目になる露伴。しかしその少年は特殊なスタンド能力を持っていて、ジャンケンで勝つと相手のスタンド能力を吸い取ってしまう。ヘブンズ・ドアーの能力を2/3奪われた露伴はどうする!?
【見どころ(ネタバレあり)】
子どもを相手に大人げない態度を取り、ジャンケンで勝った際に高笑いをするような露伴の底意地の悪い一面が愉快です。ジャンケン小僧にも「少年ジャンプに描いてるマンガ家のくせに」と言われていて思わず笑ってしまいます。
ジャンケンという一見シンプルな戦いですが、緊迫した心理戦が繰り広げられ、しまいには空を飛ぶほど(!?)のハイテンションな勝負になるジョジョ4部屈指の名エピソードです。ジャンケン小僧回は数々の名言があるエピソードとしても知られており、わがままで負けず嫌いながらも筋の通った美学を持っている露伴の魅力を存分に味わえます!
ドラマ第9話 密漁海岸

【原作エピソード名】
『岸辺露伴は動かない』1巻収録「エピソード#6 密漁海岸」
【原作あらすじ】
露伴の知り合いで、杜王町でイタリアンレストランを営む料理人・トニオは、自身の恋人が不治の病であることを打ち明ける。杜王町の海岸で採れる「どんな病気も治す伝説のクロアワビ」を入手したいトニオだが、貴重なものなので漁師たちは簡単には売ってくれない。そこでトニオは露伴に密漁を手伝ってほしいと持ちかけ……!?
【見どころ(ネタバレあり)】
密漁という明確な犯罪行為に対するスリルと背徳感、そして水中でのアワビとの壮絶な格闘シーン(!)などから人気の高いエピソードの1つです。密漁を持ちかけるトニオに「だから気に入った」と粋な返答をするのがなんとも露伴らしいですし、露伴の代名詞ともいえる名言「だが断る」のセルフパロディのようでもあって胸が高鳴るセリフですよね。アワビとの死闘の末に待っている結末には思わず胸があたたかくなりますよ。
映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』
【原作エピソード名】
『岸辺露伴 ルーヴルヘ行く』
【原作あらすじ】
まだ漫画家になる前の17歳の露伴は、祖母が持つアパートに滞在中、入居者の藤倉奈々瀬からこの世で最も邪悪な「黒い絵」の噂を聞かされる。時は流れ、漫画家として成功した露伴はそのことを思い出し、「黒い絵」が所蔵されているルーヴル美術館を訪れるが……。
【見どころ(ネタバレあり)】
『岸辺露伴は動かない』シリーズで初めて映画化されたエピソード。原作は全編フルカラーで描かれており、巧みな色彩表現にほれぼれします。セピア調で描かれる露伴の淡い初恋の思い出、色鮮やかなルーヴル美術館の景観……そして、クライマックスでは大胆な表現で「黒い絵」の邪悪さが演出されており、色の緩急とストーリーの展開がリンクして物語に引き込まれますよ。サスペンスとしても見事な作品ですが、まだ漫画家として成功する前の露伴の若者らしい純粋さやいじらしさも見どころです!
映画『岸辺露伴は動かない 懺悔室』

【原作エピソード名】
『岸辺露伴は動かない』1巻収録「エピソード#16 懺悔室」
【原作あらすじ】
顔の見えない仕切り越しに神父に対して自分の罪を告白し、魂を浄化させるための部屋を懺悔室という。懺悔室の取材のためにイタリアの教会を訪れた露伴は、本来神父が入るべき部屋に間違えて入ってしまう。露伴を神父と勘違いした男が、ある告白を始め……。
【見どころ(ネタバレあり)】
2025年5月に公開される実写映画第2弾の原作エピソード。幸福の絶頂に最大の絶望が訪れる、そんな呪いを受けた男の物語です。自業自得・因果応報がテーマであるだけに、本シリーズの中でもわかりやすいホラーテイストに仕上がっています。ゾクゾクするような展開と驚愕のオチがたまりません!
彼の告白を聞いて「悪人ではあるが、怨霊に取りつかれても孤独に前向きに生きるところは尊敬できる」という感想を抱くのが露伴らしいです。また、露伴がイタリア取材に行くきっかけになった「ある事故」はジョジョ4部のあのエピソードかな? なんて想像を巡らせるのも楽しいですよ。
【ネタバレ】原作『岸辺露伴は動かない』の魅力を解説!
この章では、三度の飯よりジョジョが好きなDMMブックス書店員が『岸辺露伴は動かない』シリーズの原作の魅力を徹底解説! ジョジョ初心者の方でも気軽に本作を楽しんでいただけるよう、少々ネタバレしながら見どころをたっぷりお伝えします。
魅力①:ジョジョ初心者も読みやすい!ホラー・サスペンス短編
『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズは2025年4月現在、累計136冊もの単行本が発売されている長寿作品。「どこから読んでいいのかわからない……」と思っている方もいらっしゃるかもしれませんね。そんな方にこそおすすめなのが本作『岸辺露伴は動かない』シリーズ!
人間に永遠に自分のお世話をさせる妖怪六壁坂、間違ったマナーを犯すと訪問者の命すら奪いかねない山の神々など……一風変わった怪異が登場するホラーサスペンス色の強い短編が多い本シリーズは、ジョジョに関する事前知識がなくても存分に楽しめます。和風ホラーやミステリーが好きな方なら特に相性が良いでしょう。
また、本作にはスタンド能力を用いたバトルこそ登場しませんが、ジョジョ本編と通底する「奇妙」な空気感が漂っています。そのため、『岸辺露伴は動かない』シリーズはジョジョ入門編としてもおすすめです!
魅力②:語り手/当事者としての岸辺露伴

本シリーズの特徴は岸辺露伴が語り手となり、自らが体験した奇妙なエピソードを語る構成をとっていることです。しかし、本作における露伴は単なる狂言回しではありません。まるで「世にも奇妙な物語」のタモリのように読者を物語に誘いながら、同時に自らがその物語の当事者であることで、エピソードに不思議なリアリティを与えています。
また、語り手兼当事者であることで、ジョジョ本編とは違った露伴の魅力が垣間見えるのも本作の大きな魅力。「ザ・ラン」では自分がうぬぼれていたと反省したり、『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』では若い頃の淡い初恋の思い出を振り返ったりと、ファンにはたまらないシーンが数多くあります。本作をきっかけにジョジョ第4部を読んだ後、もう一度このシリーズを読み返すのがおすすめの楽しみ方ですよ。
『岸辺露伴は動かない』シリーズの漫画・小説一覧
最後に、この章では『岸辺露伴は動かない』シリーズの関連本を一覧でまとめてご紹介! 基本的に全て短編集なので、気になるエピソードが収録されているものから読んでみてくださいね。
【書店員イチオシポイント】
実写ドラマ化されたエピソード+最新映画の『懺悔室』の原作エピソードが一気に読めるのがこちら! 『岸辺露伴は動かない』シリーズだけでなく、ジョジョ本編の「チープ・トリック」なども収録されているのがうれしいです。
JOJO magazine 2025 SUMMER

【ページ数が多いビッグボリューム版!】巻頭企画・読切『懺悔室』生原稿ギャラリー&手塚治虫記念館開館30周年記念トークイベント「荒木飛呂彦〜創作の地図〜」完全収録。 映画『岸辺露伴は動かない 懺悔室』総力紹介。 特集「詳説 岸辺露伴」90ページ超 14の企画で露伴の魅力に迫る。 スピンオフ読切漫画『エコーズACT50』増田こうすけ スピンオフ短編小説 【岸辺露伴】『杜王町のシンクロニシティ』新川帆立 【暗殺チーム】『リゾット・ネエロは観察する』鳥谷綾斗 『野良猫は春風と去る』北國ばらっど その他企画and moreッ! ※本商品の「JOJO magazine 2025 SUMMER」デジタル版には、紙版の付録は付属しません。また、紙版購入者限定通販を購入することもできません。ご了承ください。
【書店員イチオシポイント】
1冊丸々岸辺露伴特集の最新号です。最新映画『岸辺露伴は動かない 懺悔室』特集や、豪華作家陣により読み切り作品が読みごたえ抜群! 岸辺露伴ファンなら必読の1冊です。
岸辺露伴 ルーヴルへ行く
【書店員イチオシポイント】
ルーヴル美術館BD(バンド・デシネ)プロジェクトのために描き下ろされた作品。作者初のフルカラーコミックです。
映画ノベライズ 岸辺露伴 ルーヴルへ行く
【書店員イチオシポイント】
小林靖子の脚本を元にしたノベライズ版です。映画・漫画を補完する役割としても楽しめる1冊なので、ファン必読です!
JOJO magazine 2022 SPRING

『ジョジョ』を愛する全ての人に贈る一冊。「JOJO magazine 2022 SPRING」紙版と同時に配信。/2022年荒木飛呂彦最新作、描き下ろし読切『岸辺露伴は動かない エピソード#10 ホットサマー・マーサ』カラー扉付き71P/描き下ろしカバー「徐倫&承太郎」/新作スピンオフ小説2編 真藤順丈による『無限の王』(リサリサ主人公)、乙一による『野良犬イギー』(イギー&アヴドゥル主人公)/特集JOJO the Animation アニメ『ジョジョ』を総特集/ドラマ『岸辺露伴は動かない』主演俳優 高橋一生インタビュー/and moreッ!!! ほか読み応え十分のページ多数 ※紙版の付録「JOJOスペシャルステッカー2枚組」は、デジタル版にはつきません。
【書店員イチオシポイント】
1冊まるごとジョジョ尽くしのムック本。不定期刊行でシリーズ化されています。2022春号には、単行本未収録作品「ホットサマー・マーサ」が収録!
岸辺露伴は叫ばない 短編小説集
【書店員イチオシポイント】
ドラマ化された「くしゃがら」をはじめ、「Blackstar.」「血栞塗」「検閲方程式」の4作品と、書き下ろし作品「オカミサマ」を加えた複数の作家陣による短編集です。
岸辺露伴は戯れない 短編小説集
【書店員イチオシポイント】
「黄金のメロディ」「原作者 岸辺露伴」「5LDK○○つき」の3作が収録されています。「くしゃがら」の北國ばらっどが3作全て執筆しており、原作に負けずとも劣らない怪異に圧倒されます!
岸辺露伴は嗤わない 短編小説集
【書店員イチオシポイント】
星雲賞を受賞したSF作家であり、自身もジョジョファンである柴田勝家による短編小説を収録した1冊です。「曰くのない人形」「ペア・リペア」「不見神事」「ファン・鏑木八平太の場合」の4作が収録されています。
終わりに
実写ドラマ・映画で注目を集める『岸辺露伴は動かない』シリーズ。原作の雰囲気を知ることで、実写版もさらに細かいところまで楽しめること間違いなし! 最新映画『岸辺露伴は動かない 懺悔室』とあわせて、未読の方はぜひ原作もチェックしてみてくださいね。
▼『岸辺露伴は動かない』シリーズ第1巻はこちら!
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