【ネタバレ】『九龍ジェネリックロマンス』徹底解説!あらすじ&キャラも紹介

 ノスタルジックな街・九龍城砦を舞台に、不動産屋で働く主人公と彼女が恋する職場の先輩をめぐるミステリー・ラブロマンス『九龍ジェネリックロマンス』。アニメと映画のWメディア化が控え、今大注目の作品です。そこで今回はDMMブックスの書店員が、あらすじや主要キャラクター、作品の見どころ、書店員イチオシのシーンをネタバレありで解説します!
 DMMブックスなら『九龍ジェネリックロマンス』が最大28%pt還元で読める!『九龍ジェネリックロマンス』が気になっている方はぜひDMMブックスでお得に楽しんでくださいね。

『九龍ジェネリックロマンス』作品情報

【原作】
 眉月じゅん『九龍ジェネリックロマンス』(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載)

【受賞歴】
 「このマンガがすごい!2021」オトコ編3位

九龍ジェネリックロマンス 1

九龍ジェネリックロマンス 1

此処は東洋の魔窟、九龍城砦。ノスタルジー溢れる人々が暮らし、街並みに過去・現在・未来が交差するディストピア。はたらく30代の男女の非日常で贈る日常と密かな想いと関係性をあざやかに描き出す理想的なラヴロマンスを貴方に――。

『九龍ジェネリックロマンス』あらすじ

 物語の舞台は東洋の魔窟と呼ばれる街「九龍城砦(くーろんじょうさい)」。その上空では、人類の新天地として建造中のコロニー「ジェネリック地球(テラ)」の工事が進められていました。
 九龍にある不動産屋で働く主人公・鯨井令子は、2歳年上の先輩社員・工藤発に振り回される毎日を過ごしていましたが、仕事や私生活での会話を通して次第に彼に対する恋心が芽生えてきます。
 ある日、令子が散らかった工藤のデスクを片付けようとした際に、一枚の写真を見つけます。そこに写っていたのは、工藤と自分に瓜二つの女性。身に覚えがないどころか、自分に過去の記憶がないことに気づき……?

記憶がないことを楊明に相談する場面

『九龍ジェネリックロマンス』主要キャラクター一覧

 まずは『九龍ジェネリックロマンス』に登場する主要なキャラクターをご紹介します!

鯨井令子

工藤に対して自分を見てくれと言う場面

 九龍城砦の不動産会社「旺来地產公司」に勤める32歳の女性。スイカを食べた後にタバコを吸うのが好きで、工藤から貰った金魚に「サクセス」と名付け大切に育てています。
 工藤に好意を持ち、触れ合う中で自分が過去の記憶を持たないことと、自分に瓜二つな「鯨井B」の存在を知り、「絶対の私」になりたいと決意します。

鯨井B

工藤のクセを見つけ教えると言う場面

 過去に「旺来地產公司」で働いていた工藤の先輩社員。享年34歳。鯨井令子が「自分と同じ顔をした他人」として鯨井Bと名付けました。ミステリアスな雰囲気を纏い、九龍支店に転属したばかりの工藤に対し、九龍に関することや仕事や生活面での助言など、いろいろなことを教え影響を与えた存在です。

工藤発(くどう・はじめ)

令子を見つめる場面

 「旺来地產公司」に勤務する34歳の会社員で、過去に鯨井Bと付き合っていました。ガサツで大雑把、遅刻の常習犯ですが、面倒見のいい性格。九龍の街や人々、食べ物を愛しており、「八」の数字を見かけると触ってしまうクセがあります。蛇沼グループを嫌っており、蛇沼みゆきに対しても反抗的な態度を取っています。

蛇沼みゆき

メガネが気に入っているとドヤる場面

 製薬・医療・美容などを手がける「蛇沼グループ」の代表取締役。九龍に医療施設「蛇沼総合メディカル中心」をオープンし、院長として自ら診察なども行っています。
 冷静で頭脳明晰な一方、何を考えているのか読めないミステリアスな人物。舌はスプリットタンで、全身に蛇の刺青を施しています。ある目的のためにジルコニアン(≒クローン人間)の研究をしており、特別な存在である令子に興味を持っているようで……。

タオ・グエン

オリジナルのグエンが仮面を脱ぐ場面

 喫茶店・金魚茶館の元ウェイター。工藤とは昔からの友人で、鯨井Bとの過去を知っている数少ない人物です。蛇沼みゆきのことを「みゆきちゃん」と呼び、何やら親しい関係のようですが……?

楊明(ようめい)

「どれが私で私じゃないかは私が決める。」と伝えた場面

 九龍城砦に引っ越してきた住人で、好物はエッグタルト。ミシンを使ってぬいぐるみなどを作る縫製業で生計を立てています。騒音トラブルの際に令子と出会い、以後「レコぽん」と呼ぶ親友の仲に。明るく思いやりのある性格ですが、全身整形をして「過去を捨てた」と語るなど、彼女にも秘密があるようです。

小黒(しゃおへい)

断捨離をしろと言われ言い返す場面

 九龍城砦の住人。両サイドで束ねたお団子や縦ロールと、フリルやリボンがたくさんついたかわいらしい服装が特徴です。映画館や靴屋などさまざまな店でバイトを掛け持ちし、大好きなロリータ服を買い集めています。

ユウロン

みゆきと汪先生の会話に入る場面

 みゆきの幼いころからの友人。子どものように好奇心旺盛でどこか憎めない性格ですが、目的のためなら手段を選ばない冷徹な一面も。みゆきの元でジェネリックテラやジルコニアンの研究を行い、その手がかりを得るために第二九龍の秘密を調べています。
 関西弁で話しますが、作者によると「訛りのある広東語を表現したもの」だそうです。

『九龍ジェネリックロマンス』魅力・見どころ

 ここでは、書店員が考える『九龍ジェネリックロマンス』の魅力や見どころを3つご紹介します!

浪漫と懐かしさがあふれる世界観

工藤が九龍像を語る場面

 「九龍城砦」という場所が本作にとって重要なポイントであるように、背景へのこだわりが並みはずれています! 室内のシーンでは、小物雑貨や家具が一つ一つ丁寧に配置され、実際に人が暮らしているような生活感たっぷりの空間がデザインされています。また、店が所狭しと並び、人で賑わう猥雑な街の空気感が細部まで精密に描かれており、訪れたことがないのにもかかわらず、その熱気や匂いまで感じられるほどの臨場感があります。
 登場キャラクターの仕草や表情もたまらなく魅力的ですが、九龍という場所自体にもキャラクター性があり、読者にその存在感を訴えかけてきます。

 本作を読んで九龍城の雰囲気に惹かれた方は、実際の九龍城内部を取材した伝説の写真集『九龍城探訪』もぜひチェックしてみてください!

九龍城探訪

九龍城探訪

※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。九龍城ファンの間で伝説的な写真集「City of Darkness」の日本語版─在りし日の九龍城が蘇る──魔窟と呼ばれ、惜しまれつつも1993年に撤去されてしまった‘City of Darkness’こと九龍城。九龍城は、大都市香港の中心に紛れもなく存在した。ここでは法律は適用されず、警察官も立ち入ることができなかったため、文字通りの「無法地帯」であった。「一度入ると二度と出られない」などといった数々の都市伝説を持ち、多くの人間を魅了しながらも、外部の人間の侵入を拒み続けたため、その内部での生活について語られたことはほとんどない。その九龍城はどのように生まれたのか?住民たちがこれほど過酷な環境で生活できたのはなぜだったのか? 取り壊しを前にした生活者たちのありのままの姿、さらに九龍城の歴史を収めた本書は、もはや存在しないこの特異なコミュニティを浮き彫りにした、比類なきドキュメンタリーである。全盛期の九龍城内部を取材した唯一の書籍であり、生活者のインタビュー、内部および外観写真、九龍城が完成に至るまでの歴史などで構成された九龍城ファン必携の写真集。

物語に溶け込んだ仕掛け

楊明が令子を励ます場面

 タイトルにある「九龍」と、作中で何度も話題となる「クローン」。この語感が類似しているように「似ていること」が、物語に頻出する概念となっています。外見が一致している令子と鯨井B、過去ではなく今を生きる令子と楊明、「絶対」を目指す令子とみゆき、キャラクター同士で、外見・立場・思想などに多くの共通点が見出せます。しかしそれらが全て同じではなく、対比の関係としても描かれており、この裏返しの構造が興味深いです。歴史的建築物・九龍城と、技術的最先端の建造物・ジェネリック地球。一見すると全く異なるものが実は……と考えが止まらなくなります。
 その他にも、フェイクダイヤやひまわりといったモチーフに登場人物を投影する比喩表現など、さまざまな仕掛けが物語とうまく噛み合い作品に深みを与えています。

現在と過去を織り交ぜるミステリー&二人の恋の行方

見つめ合う工藤と令子

 前作『恋は雨上がりのように』のような叙情的な恋愛模様にトレンディドラマのような雰囲気が加わった……と、思いきや1巻の終盤にはミステリーの気配が漂う展開になる本作。2巻以降、工藤の回想によって鯨井Bとの過去が少しずつ明らかになり、巻を追うごとにサスペンスと緊張感が高まっていきます。また本編では、ちりばめられた謎や伏線が巧みに回収され、さらに絶妙なタイミングで明かされていくSF設定にドンドン引き込まれます。
 そんな絶えず変化していく状況の中で、令子の工藤への想いだけは変わらない……このラブロマンス要素がどんな結末を迎えるのか、一度読んだら目が離せなくなります。

【ネタバレ注意】『九龍ジェネリックロマンス』DMMブックス書店員のイチオシシーン

 ここでは、ネタバレありで書店員イチオシの場面をご紹介します! 

第二九龍城砦の全貌がついに明らかに……!

 5巻「第44話」では、九龍で起こる不可解な出来事に、読者だけでなく、ついに令子や楊明たちも何かがおかしいと違和感を感じ始めます。
 場面が変わり、蛇沼との関係を終えたグエンが香港から向かった場所は九龍城。しかし、到着して描かれたものはというと……

幻想の九龍の姿
実際の九龍の姿

 なんと廃墟同然の九龍の姿でした。ここで謎が謎を呼ぶ物語の中で決定的な真実が明かされます。しかし、令子をはじめとする九龍の住人たちは変わらず生活を続けており、この衝撃的な展開が一体何を表しているのか、続く6巻ではSF設定が整理され物語の核心に迫っていきます。こちらのシーンが気になる方はぜひ5巻までチェックしてみてください! 

九龍ジェネリックロマンス 5

九龍ジェネリックロマンス 5

私と鯨井Bは別人で、鯨井Bは亡くなっているみたい。たちまち鯨井Bの虜になる過去の工藤。調査を続けるみゆきとグエン。非情な表情で鯨井Bを殺したと言う現在の工藤。見る見る明らかになる事実は、本当か絶対か? 月の光に邪魔されてあの娘の欠片は見つからない。理想的なラヴロマンスを貴方に――。

【ネタバレ注意】『九龍ジェネリックロマンス』DMMブックス読者の感想紹介!

香港の九龍城(スラム街)が舞台であり、香港の文化が描かれているのが新鮮で面白かった。この作者さんの漫画は登場人物が皆キャラが立っていて、とても魅力的に感じます。
続きを楽しみに待っております。

ラブロマンスでもありSF的でもあり次巻への展開がちょっとホラー的だったり、絵の美しさだったりちょっとエッチなカットもありで・・・。キラキラとわくわくが止まらなかった一冊です。

不動産屋で働く女性。がさつに見えて不器用なやさしさをのぞかせる先輩。ひそかな恋心。ってそれだけ見れば素敵な「恋物語=ロマンス」。
前半はふたりを通してどこか不思議な九龍(クーロン)の街が淡々と描かれる。ごはんがとってもおいしそう。そして、印象的なたばこの煙。
ところが。5話からなんだか様子がちがう。そこから毎話どういうこと?って思いつつ、どうしようもなく引き込まれた。

TVアニメ『九龍ジェネリックロマンス』は2025年4月スタート!

【スケジュール】
 2025年4月5日(土)23時からテレ東系列にて放送

【主な出演者】
 鯨井令子役:白石晴香
 工藤発役:杉田智和
 蛇沼みゆき役:置鮎龍太郎
 タオ・グエン役:坂泰斗
 楊明役:古賀葵
 小黒役:鈴代紗弓
 ユウロン役:河西健吾

【主題歌】
 OP:「サマータイムゴースト」水曜日のカンパネラ
 ED:「恋のレトロニム」mekakushe

【アニメーション制作】
 アルボアニメーション

実写映画『九龍ジェネリックロマンス』は2025年夏公開予定!

【スケジュール】
 2025年夏劇場公開予定 

【主な出演者】
 鯨井令子役:吉岡里帆
 工藤発役:水上恒司
 蛇沼みゆき役:竜星涼
 タオ・グエン役:栁俊太郎
 楊明役:梅澤美波
 小黒役:花瀬琴音
 ユウロン役:フィガロ・ツェン

本作が好きな方は、こちらの作品もおすすめ

 本作がお好きな方は、幽霊の彼氏との恐ろしくも切ないミステリホラー恋愛漫画『青野くんに触りたいから死にたい』もおすすめです! 

青野くんに触りたいから死にたい (1)

青野くんに触りたいから死にたい (1)

君に触れるなら、死んでもいいよ。これがわたしの愛なんだ。アフタヌーン公式サイト「モアイ」掲載の1話が300000PV突破!話題の「青野くん」がついに単行本化!天然少女・優里ちゃんと、その彼氏・青野くん。ごく普通のお付き合いをしていたふたりだが、ある日突然、青野くんが「いなくなって」しまう……。絶対に結ばれないし、触れ合えないふたりの、でたらめで切実すぎるラブ・ストーリー。

終わりに

 今回は『九龍ジェネリックロマンス』のキャラクターや、魅力・見どころをご紹介しました。本作が持つ独自の空気感、世界観をどう映像で表現するのか、アニメと映画への期待が高まる一方です!
 DMMブックスなら、『九龍ジェネリックロマンス』が最大28%pt還元でお得に読めます。原作が気になった方は、ぜひこの機会にチェックしてくださいね!

九龍ジェネリックロマンス 1

九龍ジェネリックロマンス 1

此処は東洋の魔窟、九龍城砦。ノスタルジー溢れる人々が暮らし、街並みに過去・現在・未来が交差するディストピア。はたらく30代の男女の非日常で贈る日常と密かな想いと関係性をあざやかに描き出す理想的なラヴロマンスを貴方に――。

関連記事

 今回の記事でご紹介した漫画が好きな方は、以下の記事もおすすめ!
ジャンプのラブコメ・恋愛漫画!甘酸っぱいおすすめ作

人気の記事