美しくも厳しいバレエの世界。バレエを描いた漫画は数としては少ないながらも、読みごたえのある名作ぞろいなことをご存じですか?
この記事では、年間1,000冊近く漫画を読んでいるDMMブックス書店員が、おすすめのバレエ漫画を14作品ご紹介します。これだけは読んでほしいという王道・定番の作品はもちろん、往年の名作から最新の注目作まで幅広くピックアップ。もちろん、男性が主人公のバレエ漫画もご紹介します!
目次
迷ったらこれ!王道・定番のおすすめバレエ漫画
まずはバレエ漫画といえば必ず名前があがる、王道・定番のおすすめ作品をご紹介します。バレエ漫画を読みたいけれど何から読もうか迷っている方は、本章の作品から読んでみるのはいかがでしょうか?
SWAN ―白鳥― 愛蔵版

【書店員イチオシポイント】
バレエ好きなら一度は読んでほしいバレエ漫画の金字塔! 主人公の聖真澄(ひじり・ますみ)は、憧れのセルゲイエフとプリセツカヤの「白鳥の湖」公演に感動したあまり、2人の前でブラックスワンの一部を踊ります。それがきっかけでセルゲイエフに才能を見いだされた真澄が、努力を続け一流のバレリーナへの階段を駆け上っていくシンデレラストーリー。
マイヤ・プリセツカヤなど実在するバレリーナや舞踏家が登場するのも本作のポイント。バレエが好きな方なら間違いなく楽しめる名作バレエ漫画です! 本作の次世代編ともいうべき『まいあ Maia』もあわせてお楽しみください。

バレエ漫画の金字塔『SWAN-白鳥-』愛蔵版が美麗カバーで新登場!15歳の聖真澄はマイヤ・プリセツカヤのスワンに大きく感動を受け、公演後、彼女の前でブラック・スワンの一部を舞う。全ての始まりはそこからだった……。■特装シリーズ『SWAN-白鳥-』愛蔵版1〜12巻は、カバーデザインは一新されますが、内容はこれまでのものと変わりません。13巻以降の特装シリーズ『SWAN-白鳥-』愛蔵版には、『SWAN-白鳥-モスクワ編』『SWAN-白鳥-ドイツ編』を収録。描きおろし番外編イラストも収録されます。『SWAN ―白鳥― 愛蔵版』刊行スケジュール第1、2、3、13巻……3月刊行第4、5、6、14巻……5月刊行予定第7、8、9、15巻……7月刊行予定第10、11、12、16巻……9月刊行予定
『まいあ Maia』はこちら!
昴(全11巻完結)

【書店員イチオシポイント】
『め組の大吾』『capeta』などの曽田正人が描く、天才の宿命を描いた傑作バレエ漫画! 主人公・宮本すばるは病気で寝たきりの双子の弟・和馬のために、その日の出来事を踊りで伝えていました。バレエを習いたいすばるですが、和馬の病状もあって許されず、感情のままに心ない言葉を口にしてしまいます。その様子を見ていた和馬の容態はほどなく悪化してしまい……。本当は弟を大切に思っていたすばるは、心に大きな傷を負いながらも自らの業と向き合いバレエにのめり込んでいきます。
さまざまな試練に直面しながらも、天性の才能を発揮していくすばるの生きざまに大きく感情を揺さぶられる作品です。続編の『MOON -昴 Solitude standing-』まで、ぜひ見届けてください!
『MOON -昴 Solitude standing-』はこちら!

MOON -昴 Solitude standing- (1)
アメリカを後にした宮本すばるは、芸術監督のミハイロフに引き抜かれ、ベルリン・ワルデハイム・バレエ団に所属していた。バレエ団の日本ツアーが決まり、母国のバレエファンからは凱旋を待望されていたすばるだったが、肺炎によりキャンセル。にも関わらず、プロサッカーリーグの練習に乱入するなど、とんでもない無理をしていて…
絢爛たるグランドセーヌ

【書店員イチオシポイント】
「チャンピオンRED」で連載中の新しい王道クラシックバレエ漫画です! 青年誌に掲載されている作品ですが、主人公は隣家のお姉さんに憧れてバレエを始めるごく普通の少女・有谷奏(ありや・かなで)。ライバルに圧倒されたり、逆境に苦しむことがあっても、前向きに努力を続け世界に羽ばたいていきます。持ち前の観察力と熱心な研究をいかした奏の演技は迫力抜群! 現代的な設定で感情移入しやすいので、バレエ漫画を初めて読む方にもおすすめです。
ダンス・ダンス・ダンスール

【書店員イチオシポイント】
思春期のキャラクターたちの等身大の姿がまぶしい、青春男子バレエ漫画! 作者は『溺れるナイフ』などで知られるジョージ朝倉です。主人公は中学二年生の男の子・村尾潤平。父の死をきっかけに「男らしくいなければ」と意識していた潤平ですが、幼い頃に魅了されたバレエへの思いを断ち切れず、葛藤しながらもバレエの道に進みます。潤平のバレエへの憧れにいち早く気付いたヒロインの都、そして複雑な環境で育った才能豊かな流鶯(るおう)など、多感な中学生たちが織りなす繊細な空気感が魅力です。
アラベスク(完全版)(全4巻完結)
【書店員イチオシポイント】
ソビエト連邦時代のロシアを舞台にした名作バレエ漫画です。主人公のノンナ・ペトロワはキエフ・シエフチェンコバレエ学校に通う少女。バレエに不利な自分の身長や、優秀な姉に対してコンプレックスを抱えていましたが、レニングラード・キーロフ・バレエ団のユーリ・ミロノフと出会い、レニングラード・バレエ学校に編入。ミロノフの厳しい指導を受けながら、ノンナはバレリーナとしての才能を開花させていきます。ソ連時代の文化や芸術の雰囲気が感じられる名作です! 主人公がひたむきに努力するスポ根漫画が好きな方にもおすすめ。
テレプシコーラ/舞姫 第1部(全10巻完結)
【書店員イチオシポイント】
名作『アラベスク』から約30年を経て、山岸凉子がおくる現代日本が舞台の傑作バレエ漫画。主人公の篠原六花(しのはら・ゆき)は、母が運営するバレエ教室でバレエを習っている小学生です。優秀な姉の千花や、貧しい家庭で苦しむ転校生の空美など、身近な人たちに刺激を受けながら六花は成長していきます。
バレエの世界の厳しさが克明に描かれている本作。厳しい競争、嫉妬、けが、そしてバレエを続けられるかを左右する家庭の経済状況など……。挫折したり心に傷を負ったりしながらも、自分の強みを見つけてバレエと向き合う六花の姿をぜひ見届けてください!
女性が主人公のおすすめバレエ漫画
続いて、女性が主人公のおすすめバレエ漫画をご紹介します。有名作家のバレエ漫画作品もピックアップしているので、要チェックです!
Do Da Dancin’!(全9巻完結)
【書店員イチオシポイント】
『おいしい関係』『ダンシング・ゼネレーション』などで知られる槇村さとるのバレエ漫画。主人公の桜庭鯛子(さくらば・たいこ)は踊ることが大好きな魚屋の一人娘です。4歳のときからバレエを始め、ローザンヌ国際バレエコンクールに参加しようとするほど打ち込んでいましたが、母と死別してからはバレエへのやる気を失ってしまいます。そんな鯛子が20代になって再びバレエへの情熱を取り戻し、成長していくストーリー。少女が主人公であることが多いバレエ漫画ですが、本作の主人公は大人の女性です。大人のバレエ漫画を探している方にぴったりの作品です!
フラワー・フェスティバル(全1巻完結)
【書店員イチオシポイント】
『トーマの心臓』『ポーの一族』など、数々の名作を生み出している萩尾望都の短編バレエ漫画です。主人公・五所みどりはバレエを習っている高校生。イギリスの名門バレエ学校で働いている義理の兄・薫の同僚であるガブリエルに見いだされ、サマーキャンプに誘われます。イギリスに渡ったみどりを待っていたのは予想だにしない大抜擢で……!?
1巻で完結するとは思えないほどドラマチックな展開で読みごたえがあり、たくさん登場するキャラクターたちの人間関係も繊細に描かれています。バレエ好きの方はもちろん、萩尾望都ファンの方にもおすすめですよ。
トウ・シューズ(全5巻完結)
【書店員イチオシポイント】
少女漫画雑誌「りぼん」で連載されていたバレエ漫画です。主人公のくるみは初めて観た「くるみ割り人形」に感動し、バレエを始めた中学生の女の子。くるみが周囲とのレベルの差を感じたり、逆境に陥ったりしながらも、前向きに努力を続けてバレリーナを目指す物語です。とにかく、くるみがバレエにひたむきで可愛らしく、爽やかな読後感があります。他のバレエ漫画に比べて人間関係も複雑化していないので、バレエ漫画初心者の方や、バレエの知識があまりない方でも安心して楽しめる作品ですよ。
天使なやつら(全3巻完結)
【書店員イチオシポイント】
少女漫画雑誌「ちゃお」で連載されていた作品ですが、シビアな展開があり少女漫画とは思えないほど読みごたえのあるバレエ漫画です。主人公・さららは教室などには通っていませんが、母にバレエの基礎を習っている少女。ある日さららが憧れていた元アイドル・九原黄河(くはら・こうが)が現れ、バレエのパートナーになってほしいと頼まれて……!? 少女漫画らしい絵柄やポップな雰囲気から明るい印象を受けますが、シリアスな展開やキャラクターたちの葛藤が大人にも刺さる深みを出しています。ちゃおの愛読者だった方にもおすすめ!
男性が主人公のおすすめバレエ漫画
最後に、この章では男性が主人公のバレエ漫画をご紹介します。女性を描いた作品に比べて数は少ないですが、名作ぞろいなので注目です!
ナビレラ(全5巻完結)

70歳まで仕事一筋で幸せな家庭を築いてきた「シム・トクチュル」。 彼にようやく自分の夢を実現する時が来た。それはバレエだ。 「トクチュル」は子供の頃、初めて見たバレエに衝撃を受けて以来60年、バレエへの憧れを胸に秘めていた。 家族の猛反対や人々の冷たい視線を受けた「トクチュル」だったが、バレエに挑戦する気持ちは揺るがない。 「トクチュル」は、町で偶然見つけたポスターを頼りに、小規模なバレエ団の門をたたく。ここでトクチュルは、有望な若手バレリーノの「イ・チェロク」に出会い、「トクチュル」は彼にバレエを教わることになる。 少々ひねくれた性格のチェロクと共に「トクチュル」は新たな挑戦を始めることになる。果たして「トクチュル」は無事バレリーノになれるのか!?年の差をこえた、男たちのバレエ物語第1弾!
【書店員イチオシポイント】
Netflixでドラマ化もされた、「夢」を追いかける尊さを描いた泣けるバレエ漫画です。主人公のシム・トクチュルは仕事に打ち込んで生きてきた70歳の男性。長年秘めていたバレエへの憧れを家族に打ち明けるところから物語が動き出します。家族に大反対されてもトクチュルの決意は変わらず、町で偶然ポスターを見つけたバレエ団に入ることに。そこで出会った若手バレリーノのイ・チェロクに教わりながら、トクチュルは夢に向かって歩み始めます。トクチュルとチェロクの年齢を超えた友情や、トクチュルのまっすぐさが人々の心を動かす様子に思わず目頭が熱くなります……。いくつになっても夢を持つ大切さを教えてくれる名作です!
coda(全3巻完結)
【書店員イチオシポイント】
名門芸術系高校の舞踊科日舞専攻に通う高校生と、留学生としてやってきた若きバレエダンサーのペアを描く異色のバレエ漫画です。主人公の春一(はるいち)は幼い頃からバレエへの憧れを持っていた男の子。「バレエ王子」と呼ばれるロシアからの留学生のユーリに見込まれ、なんと女装してユーリとペアを組むことに!
バレエ漫画のなかでは一風変わった設定ですが、勢いのあるストーリー展開とキャラクターたちのテンポの良いやり取りが楽しく、夢中になれる作品です。3巻完結と手軽に読める長さなので、少し変わったバレエ漫画を探している方や、初めてバレエ漫画を読む方にもおすすめ!
会社帰りのパ・ド・ドゥ(全4巻完結)
【書店員イチオシポイント】
主人公の小日向瞳(こひなた・ひとみ)は体力がなく、気が弱い性格の平凡な会社員です。誘われるがままにバレエスクールの体験レッスンを受けますが、翌日筋肉痛に襲われ、自分には向いていなかったと思います。しかし、会社の同僚の桜木ほのかがバレエを踊っている姿を見かけて感動した瞳は、バレエに本気で取り組むことに!
特にスポーツが得意なわけでもない大人の男性が、地道な努力を重ねてバレエを楽しむ姿に励まされる作品です。大人ががんばるバレエ漫画を探している方におすすめですよ。
バレエ・リュス ニジンスキーとディアギレフ(全1巻完結)
【書店員イチオシポイント】
実在した伝説のバレエダンサー・ニジンスキーと、バレエ・リュスの創始者で才能を発掘する天才・ディアギレフ。20世紀を代表する芸術ともいわれ、今なお語り継がれる2人の関係を軸に当時の出来事を漫画化した意欲作です。本作にはバレエ・リュスの衣装デザインを担当したココ・シャネルなども登場し、バレエ好きはもちろん、歴史・文化好きの方も楽しんで読めるストーリーになっています。芸術の頂点を極めた天才の栄光と孤独を味わえる、奥深い作品です!
終わりに
本記事ではおすすめのバレエ漫画を14作品ご紹介しました。芸術としての一面や、スポーツとしての一面もあるバレエの魅力を満喫できる名作ばかりです。ぜひお気に入りの作品を見つけてくださいね!
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