1985年の連載開始以来、ファンを増やし続けている不朽の名作『BANANA FISH』。そんな本作の魅力といえば、生まれた国も育った環境も何もかもが違う2人の少年の強い絆です。あまりにも過酷な境遇を生き延びてきた天才的な頭脳を持つストリートギャング・アッシュと、平凡だが優しい心を持つ日本人青年・英二。そんな2人が逆境のなかで心を通わせていく姿に多くの読者が心を震わせてきたことでしょう。
この記事では、本作の大ファンであるDMMブックス書店員が結集して『BANANA FISH』を徹底解剖! あらすじ、キャラ紹介はもちろん、原作とアニメ版の違いや『BANANA FISH』をもっと楽しむための豆知識もご紹介します。
目次
『BANANA FISH』とは?
『BANANA FISH』とは、1985年から1994年にかけて『別冊少女コミック』(小学館)で連載され、今でも根強い人気を誇る吉田秋生の名作です。
1985年のニューヨークを舞台に、アッシュ・リンクスと奥村英二という2人の青年たちの絆と、彼らを巻き込んだ本格犯罪サスペンスが描かれています。少女漫画でありながら、ハードボイルドな要素を取り入れたその作風は、ジャンルの枠を超えて多くの読者を魅了しました。
本作は、番外編を含めた全20巻で完結しました(本編は19巻で完結)。完結後もファンに愛され続け、2005年から2021年まで何度も舞台化されました。さらに2018年にはテレビアニメ化され、新たに幅広い世代のファンを獲得しました。
時代を超えて通じる深いテーマや複雑な人間ドラマ、キャラクターの魅力、緻密なストーリー展開は、完結から30年経った今も多くの読者を惹きつけています。
『BANANA FISH』のあらすじ
1985年のニューヨーク、ストリートキッズを仕切っているアッシュは、「バナナフィッシュ」という謎の言葉をつぶやく瀕死の男性から薬物のサンプルを受け取ります。ベトナム戦争から変わり果てた姿で帰ってきた兄・グリフィンがときどき同じ言葉をつぶやくため、興味を持ったアッシュは「バナナフィッシュ」の謎を追うことに。偶然出会った日本人カメラマンの助手・英二とともに、大きな陰謀に巻き込まれていきます。
『BANANA FISH』の主なキャラクター紹介
主要人物のアッシュと英二をはじめ、彼らの仲間から敵対する組織まで、物語に関わる登場人物たちを幅広くご紹介します。
アッシュと仲間たち
アッシュ・リンクス
【初登場:1巻】
ニューヨーク・ダウンタウンの「リンクス(山猫)」と呼ばれるストリートキッズグループのボスで、登場時は17歳の少年です。アッシュ・リンクスは通称で、本名はアスラン・ジェイド・カーレンリース。
金髪に緑色の瞳を持つ美しい容姿に加え、IQ180以上の高い知能と卓越した戦闘能力を兼ね備えています。周りから一目置かれるカリスマ的な存在です。
子どもの頃家出したアッシュは、コルシカ・マフィアのボスであるディノ・ゴルツィネに才能を見いだされ、英才教育を受けます。その才能と美貌から、周囲から利用され孤独な心を持ったアッシュでしたが、英二と出会うことで初めて愛情を知ります。
奥村英二(おくむら・えいじ)
【初登場:1巻】
カメラマン・伊部の助手として、ニューヨークにストリートギャングの取材に訪れた19歳の大学生。島根県出雲市出身で、高校時代はインターハイで活躍するほどの実力を持つ棒高跳びの選手でしたが、けがでのスランプをきっかけに伊部に誘われて渡米します。
周囲を和ませる穏やかで純粋な性格で、アッシュが唯一心を許す人物です。
伊部俊一(いべ・しゅんいち)
【初登場:1巻】
取材のためにニューヨークにやってきた日本人カメラマン。英二をモデルにした写真をきっかけにプロカメラマンになった経緯があり、棒高跳びでスランプに陥った英二を心配し、助手としてニューヨークに連れて行きます。英二の保護者代わりの立ち位置です。
マックス・ロボ
【初登場:1巻】
フリーのジャーナリストで伊部の友人。元アメリカ陸軍の軍人で、ベトナム戦争時代は、アッシュの兄・グリフィンと友人でした。正義感が強い性格で、アッシュとともに「バナナフィッシュ」の真相を追います。
ショーター・ウォン
【初登場:1巻】
ニューヨーク・チャイナタウンのギャンググループのボスでアッシュの親友。ユーモアがある気さくな明るい性格で、友人思いな一面も持っています。
シン・スウ・リン
【初登場:5巻】
チャイナタウンのギャンググループの一員で、ショーターの次のボスになる少年。アッシュを尊重し、強い意志と行動力で積極的に動きます。
ラオ・イェン・タイ
【初登場:5巻】
チャイナタウンのギャンググループの一員でシンの異母兄。シンのことを常に気にかけていますが、シンがアッシュに協力していることに対して不満を抱いています。
コルシカ・マフィア
ディノ・ゴルツィネ
【初登場:1巻】
ニューヨークを拠点としたコルシカ・マフィアのボス。児童売春クラブを運営し、アッシュもそこの商品の一つでしたが、幼いアッシュの才能を見抜いて英才教育を施した人物。アッシュの美貌と才能にほれ込み寵愛し、自分の後継者にしようと画策します。
フレデリック・オーサー
【初登場:1巻】
かつてはアッシュが率いるストリートキッズの一員でしたが、アッシュに強い対抗心と嫉妬心を持ち、コルシカ・マフィアと手を結びます。
ブランカ
【初登場:11巻】
元KGBのプロの殺し屋で、かつてアッシュに戦闘技術を教えた人物。殺し屋を引退していましたが、ゴルツィネの依頼で復帰し、アッシュを狙います。
エドアルド・L・フォックス
【初登場:15巻】
元フランス軍の軍人で、ゴルツィネに雇われた傭兵部隊の隊長。冷酷非道な人物。
チャイニーズ・マフィア
李月龍(リー・ユエルン)
【初登場:4巻】
チャイニーズマフィア・李家の末弟。美しい容姿で冷酷な計算高い性格です。権力を持つ家族の中で孤独に育ち、腹違いの兄たちに支配されてきました。実の母親を兄たちに殺されたことから、彼らに強い恨みを持っています。
李王龍(リー・ワンルン)
【初登場:3巻】
李家の長男でチャイニーズマフィアを束ねる総帥。最初はゴルツィネと対抗するためアッシュに手を貸していましたが、ゴルツィネと取引をして寝返ります。
李華龍(リー・ホアルン)
【初登場:5巻】
ワンルンの弟でユエルンの兄。自信たっぷりな野心家で、兄・ワンルンとともにアッシュたちを捕らえる計画に協力します。最終的には、ユエルンに「バナナフィッシュ」を投与され廃人状態に。
そのほかの登場人物
チャーリー&ジェンキンズ
【初登場:1巻】
ニューヨーク市警の警官コンビです。「バナナフィッシュ」関連で起こる事件を捜査し、アッシュのことも気にかけています。チャーリーはマックスの友人で、伊部のストリートキッズの取材に協力します。
グリフィン
【初登場:1巻】
アッシュの兄でマックスのベトナム戦争時代の友人。兵役中に「バナナフィッシュ」を実験として投与され廃人状態に。帰国後はアッシュが身柄を引き取り面倒を見ます。
マーディア・ウォン
【初登場:1巻】
チャイナタウンで中華料理屋を切り盛りしているショーターの姉。アッシュやシンのことも弟のように気にかけています。
アレクシス・ドースン
【初登場:5巻】
「バナナフィッシュ」の開発者の一人。医局員時代に、同僚と学生だった弟・エイブラハムと一緒にドラッグを作る過程で、偶然「バナナフィッシュ」の原型を生成してしまいます。
エイブラハム・ドースン
【初登場:1巻】
「バナナフィッシュ」の開発者の一人。兄・アレクシスに薬の破棄を命じられますが、密かに研究を続け、ベトナム戦争でグリフィンを含む仲間たちに実験を行います。その後、ゴルツィネと手を組み、コルシカ・マフィアの研究所で「バナナフィッシュ」の研究を続けます。
『BANANA FISH』の魅力がわかる名シーン【ネタバレ】
『BANANA FISH』では心に残る数々の名シーンがあります。そのなかでも特に印象的なシーンをピックアップしてご紹介します。
英二が高いへいを飛び越えるシーン
【登場巻数:1巻】
伊部と英二がストリートキッズを取材中に、オーサーたちに襲撃され、少年・スキップと英二が誘拐される事件が起こります。助けにきたアッシュとともに逃げるものの、追い詰められた先には大きなへいが……。
日本で棒高跳びの選手だった英二は、腐った水道管を使ってへいを飛び越えようとします。アッシュやスキップに「無理だ」と止められるものの、「どうせ死ぬならやってやる」と英二が勇気を見せた印象的なシーンです。
ショーターを失うシーン
【登場巻数:6巻】
「バナナフィッシュ」をめぐって巻き起こる抗争のさなか、アッシュの親友・ショーターに「バナナフィッシュ」が投与されてしまいます。英二を殺すように洗脳されたショーターは薬の作用に苦しみながら、アッシュに「自分を殺してくれ」と懇願します……。
英二を殺そうとするショーターを撃ったアッシュ。親友を自分の手で殺さないといけないアッシュの残酷な運命に、多くの読者は感情が揺さぶられたのではないでしょうか……。涙なしでは読めない悲しいシーンです。
そばにいる約束をするシーン~アッシュと英二の友情~
【登場巻数:7巻】
ショーターの死後、これまで何人もの人を殺してきたことで傷ついているアッシュに対し、英二が優しく寄り添うシーンがあります。強く見えますが本当は誰も傷つけたくないアッシュの心の葛藤が鮮烈に描かれたシーンです。英二だけに見せる弱い部分に、2人の信頼と絆の強さを感じさせられます。
アニメ版でも再現されたこのシーンですが、原作では「今だけでいいからそばにいて」というアッシュに対して、英二が「ずっとだ」と答えるところまで描かれています。
アッシュとオーサーの決闘シーン
【登場巻数:8~9巻】
因縁の敵・オーサーと決着を付けるため、黒人ギャンググループのボス・ケインと、チャイニーズグループのボス・シンの立ち会いの元、深夜の地下鉄のプラットホームで決闘を行います。
一対一の戦いのはずが、電車を使って襲撃を仕掛けてきたオーサー。アッシュはなんとその電車に乗り込み、オーサーを追います。
陰鬱とした雰囲気の地下鉄で繰り広げられる死闘は、息をのむほど迫力満点です。アッシュに強烈な劣等感を抱いているオーサーは卑怯な手も使います。しかし結局はアッシュの圧倒的な力を見せつけられてしまいます。天才ならではの宿命を感じさせるシーンです。
病院でアッシュが英二に別れを告げるシーン
【登場巻数:18巻】
ユエルンの陰謀が引き金となり襲撃に遭ったアッシュと英二。英二はとっさにアッシュをかばい銃で撃たれてしまいます。ブランカの手助けをえて病院に潜り込んだアッシュは、英二に教えてもらった日本語で静かに別れを告げて立ち去ります。自分と一緒にいることで英二を危険にさらしてしまうことに、罪悪感と悲しみを抱きながら一人泣いているアッシュの姿が切ないシーンです……。
その後、アッシュの気配に気づいた英二は、ボロボロの体で後を追いますが、アッシュが侵入していたことが周囲にバレてしまいます。必死にアッシュを逃がす果敢な英二の対応は、2人がいかに強く思い合っているかがわかります。切なくも美しい別れのシーンです。
ディノがアッシュを助けるシーン
【登場巻数:18巻】
ディノに捕らわれた仲間たちを助けるために国立精神衛生センターに向かったアッシュたち。しかし、ディノが部下のフォックスに撃たれてしまい思わぬ展開を迎えます。「バナナフィッシュ」をめぐった戦いが佳境を迎えるなか、とうとうアッシュはフォックスに追い詰められることに……。ギリギリのところでフォックスを撃ち抜いたのは、瀕死の状態のディノでした。
ディノがなぜ最後の力を振り絞ってフォックスを撃ったのか。自分を裏切ったことへの報復なのか、「アッシュを殺すのは自分だけ」という執念だったのか、真相はわかりません。しかし、「パパディノなりのゆがんだ形の不器用な愛情だったのでは?」と思うと何だかいたたまれない気持ちになります。本作のヒール役だったディノでしたが、どこか憎めないラストを迎えたシーンでした。
アッシュが英二の手紙を読むシーン
【登場巻数:19巻】
英二が日本に帰国する日、シンは英二から受け取った手紙をアッシュに渡します。かたくなに会いに行こうとしないアッシュでしたが、英二の手紙を読み思わず走り出します。
一度は別れを選択したアッシュは英二の手紙に心が動かされ突き進みますが、その先に待ち受けていたのは衝撃のラストでした……。
最後はどこか穏やかで幸せそうな顔をしているアッシュ。背負っていたものすべてから解き放たれ、唯一無二の友人を通じて愛を知れたことが救いに感じます。別の結末も見たかった……とファンなら思わずにはいられませんが、とても美しいラストシーンです。
『BANANA FISH』の涙なしでは読めない番外編【ネタバレ】
この章では、本編の後日談やそれぞれの出会いが描かれた番外編をご紹介します。アニメしか見たことがない方も、ぜひその後のエピソードや番外編を読んで物語にひたってみてください!
後日談『光の庭』
19巻に収録されている『光の庭』は、本編から7年後の英二やシンの様子が描かれた後日談です。物語は、アッシュの死後、ニューヨークに戻った英二のところに伊部の姪っ子・アーちゃんが訪れるところから始まります。
カメラマンになった英二と大学生になったシン。それぞれの人生を歩みながらもアッシュの思い出にとらわれていました。事情を知らないアーちゃんがアッシュの存在に気づいたことで、2人が抱えていた思いがあらわになっていきます……。
2人が罪や後悔を抱えながらも、未来に向けて前進しようとする姿にじわっと胸が熱くなります。激動の本編を読み終えて、余韻に浸りながら読める貴重なエピソードです。
それぞれの出会いを描いた番外編
ほかにもそれぞれの出会いが描かれたエピソードが19巻から20巻に収録されています。
- アッシュとショーターとの出会い:19巻『ANGEL EYES』
- アッシュとブランカとの出会い:20巻『PRIVATE OPINION』
- 英二と伊部との出会い:20巻『Fly boy,in the sky』
『BANANA FISH』の世界観をより深めてくれる作品たちです。アッシュの少年時代や、英二の棒高跳びの選手時代など、キャラクターの過去が描かれているので必見ですよ!
『BANANA FISH』をもっと楽しむための豆知識
元ネタとなったアメリカ文学の『バナナフィッシュにうってつけの日』や、『BANANA FISH』のキャラクターが登場する関連作品など、『BANANA FISH』をもっと楽しむための豆知識をご紹介します。
元ネタ『バナナフィッシュにうってつけの日』
漫画では、投与した人に幻覚作用をもたらし洗脳することができる危険な薬物として扱われている「バナナフィッシュ」。J.D.サリンジャーの短編集『ナイン・ストーリーズ』に収録された『バナナフィッシュにうってつけの日』(1948年発表)が名前の由来となっています。
本短編は、第2次世界大戦の終戦3年後に発表された作品です。物語は、戦争のトラウマを抱えた元兵士シーモア・グラスと海で出会った少女の会話が描かれています。会話中にでてくる「バナナフィッシュ」は、「バナナを食べ過ぎてバナナの穴から抜けられなくなった魚」と説明されており、戦争で人を殺す異常な体験をし、元の生活に戻れなくなった主人公の比喩だと考えられます。
一方『BANANA FISH』に登場する薬物も、精神を崩壊させる作用を持ち「精神的な破滅や絶望」といったところが共通しています。また、アッシュも幼少期のトラウマや人を殺した罪悪感に苦しむシーンが何度も描かれており、主人公のシーモアと重なる部分があります。
他にも考えさせられる要素がある作品なので、漫画と照らし合わせながら考察してみるのもおもしろいですよ。
アッシュのモデルになった人物
著者の吉田秋生は、過去のインタビューでキャラのモデルになった人物に言及しています。主人公・アッシュのモデルは、初期は元テニス・プレイヤーのステファン・エドベリでしたが、途中からアメリカの俳優・リヴァー・フェニックスに変更されたそうです。『スタンド・バイ・ミー』で有名になり、若くして亡くなったリヴァー・フェニックス。彼が持つ儚い美しさは、まさにアッシュと重なるところがありますね。
『BANANA FISH』のキャラが登場する関連作品
著者・吉田秋生の作品には、『BANANA FISH』のキャラクターが登場するものがあります。ご紹介する『YASHA―夜叉―』とその続編『イヴの眠り』には大人になったシン・スウ・リンが登場します。シンのファンは必見です!
『YASHA―夜叉―』(全12巻完結)
特殊な能力を持つ双子をめぐる戦いが描かれたサスペンスです。天才的な頭脳を持ち、美形の主人公・静(せい)は、同じく天才だったアッシュを思い起こさせます。
ここでは、チャイニーズギャンググループのボスだったシンが若き青年実業家として登場。双子と会ったシンは「美少年にかかわるとロクなことにならない」など、アッシュを連想させるせりふをぼやいています。さらに「日本人女性と結婚した」といった発言もあり、番外編『光の庭』とのつながりも感じさせます。
『イヴの眠り』(全5巻完結)
『YASHA―夜叉―』の続編で、静のDNAを受け継ぐアリサが主人公の物語です。ここでは、中国財界のリーダーに成長したシンとシンの息子・烈(リエ)が登場します。雄大なハワイを舞台に描かれ、読み応え抜群です。
『カリフォルニア物語』(全8巻完結)
吉田秋生の初期作品で、アメリカを舞台に若者たちの青春が描かれた物語です。本作には、ニューヨーク市警のジェンキンズやチャーリーが登場します。『BANANA FISH』と同じく、一度読み始めると止まらない名作なので、気になった方はぜひ読んでみてください!
『BANANA FISH』原作とアニメ版の比較
2018年にテレビアニメ化され、再び脚光を浴びた『BANANA FISH』。ここでは、原作とアニメ版との違いをご紹介します。
時代設定の違い
一番大きな違いと言えば、物語の時代設定です。原作ではマックスとグリフィンが兵士として出会ったのはベトナム戦争(1975年終戦)でしたが、アニメではイラク戦争(2011年終戦)に変更されていました。
連載時の1985年頃はベトナム戦争の後遺症や、麻薬・ギャングたちの抗争が社会問題として原作に反映されていました。アニメでは、2010年代がベースとなるので、スマートフォンやインターネットなど近代的な技術が登場します。時代や文化はアップデートされていますが、原作と漫画ともに物語の核は変わらず、それぞれ独自の良さを味わえます。
アニメではカットされているシーン
アニメでもたびたび登場するニューヨーク市警のジェンキンズとチャーリーですが、漫画では、警察の捜査の様子がもう少し詳しく描かれています。またチャーリーとショーターの姉・マーディアは捜査の過程で深い仲になっており、ショーターの死後マックスと伊部がチャーリーの家を訪れたとき、原作ではチャーリーの家にいたマーディアも弟の死を知ることになりました。
原作では、脇役のキャラの心情などもより細かく描かれています。ほかにもカットされているシーンやアニメオリジナルの設定もあるので、違いを比較してみるとおもしろいですよ。
アニメの各話に付けられたタイトル
アニメでは、第1話のJ.D.サリンジャー著『バナナ・フィッシュにうってつけの日』をはじめ、ヘミングウェイやフィッツジェラルドなどアメリカ文学の作品にちなんだサブタイトルが付けられています。アニメでシリーズ構成を担当した瀬古浩司のインタビューによると、原作にサブタイトルがないため、アメリカ文学のしばりで名付けたそうです。
どのタイトルも絶妙に内容とリンクしているところがすごいですね。作中でもアメリカ文学の話が登場し、作品の世界観ともマッチしています。いくつか作品をピックアップしてみたので、これを機にアメリカ文学の古典を楽しんでみてはいかがでしょうか。
『女のいない男たち ヘミングウェー短編集』
第2話『異国にて』第17話『殺し屋』などを収録
『フィッツジェラルド10 傑作選』
第7話『リッチ・ボーイ』第10話『バビロンに帰る』第19話『氷の宮殿』などを収録
『BANANA FISH』を実際に読んだ読者の声
ここでは、実際に読んだ読者の声をいくつかピックアップしてご紹介します!
号泣
全巻購入し一気見し、ラストとそのエピローグでは涙が止まりませんでした。あれが2人が19巻まで駆け抜けた物語の結末だと考えると胸が張り裂けそうですが、他の方もおっしゃっている通り、最も美しいエンディングだったと思います。
不朽の名作
近年放送されたアニメから入り全巻購入。完結から十数年後になってアニメ化が決まるのが納得の不朽の名作であり、数多に溢れる物語の中でも最も美しいエンディング。ぜひ最後まで読んでください。
最高です。
最初絵が古いかなぁと思ったけど、読んでいくうちに気にならないくらい引き込まれた。
なんで今までこの作品知らなかったんだろうと後悔です。
アニメとほぼ同じ感じで進んでます。
美しいエンディングや色あせない不朽の名作との声が多数ありました。最後まで読んだ方は、しばらく余韻から抜け出せない状態になってしまいますよね……(わかります)。
『BANANA FISH』が人気の理由を自分の目で確かめよう!
『BANANA FISH』のキャラ、名シーン、魅力、豆知識までたっぷりとご紹介しました。30年以上時代を超えて愛される本作。アッシュや英二の友情をはじめ、息を呑むような展開、心に残る名シーンの数々が、今もなお多くの人々を惹きつけています。
それぞれのキャラクターが抱える葛藤や、友情・愛情が交錯する瞬間は、ただのアクションドラマにとどまらず、読者に感動を与えます。ぜひ、自分の目でその魅力を確かめ、作品の世界に浸ってみてください!